【PFLS】氷壁散華

最後の矢【illust/73961228】を射った後
予定としては即座に戦線を離脱し
後続の隊に後を任せて休息を取るはずだった。

射った体勢のまま動かなくなった巨影に向かって
ファイアランド軍に加入していた、あまり強くない
どこかの傭兵部隊が砲撃を打ち込んだ。
その些細な衝撃で、砂糖菓子よりも脆くなっていた
巨躯の多くは粉々になって吹き上げられ、
オーロラを描いて空に溶けた。

ケイヴァンの体は、たとえ大きく失われたとしても
基本的には、変身を繰り返すうちに再生される。今回も、
他の巨影により回収され、一命をとりとめたかに思われた。

しかし、この戦より１ヶ月後に容体が急変、
常夜の氷壁ケイヴァンは死亡した。

直接の原因は、最後の戦い、
砕撃のソルバ【illust/72951881】より受けた
スリーアクセル・ソルブリッド【illust/73972671】の衝撃によるものである。

ソルバの最初の攻撃が様子見のためのものであったなら耐えたかもしれない。
ソルバの生涯が巨影殺しに捧げられたものでなければ生き延びたかもしれない。

しかし
ケイヴァンが古の海神に「対戦相手からの最初の攻撃は受けきる」と誓った以上
そして
その初撃が、巨影を倒すことのみを目的に生き抜いたソルバの……しかも
巨影殺しとしての呪いをねじ伏せ祝福として受け入れ、究極の頂きへと至った男による、
全力を超えた全力だった以上、避けられない運命だった。

生前のケイヴァンはこの時のソルバの一撃を振り返り、
その健闘を深く讃えている。「アレは効いた」と。

そして訪れる、

親愛なる人々との離別。

駆け抜けたという充足。

騎士の旅の、終わり。
　
　
　
　
　
【illust/73126162】

蘇生はご不要です。
人間体で安静にしていたのに、ある日ふつっと命が切れた感じです。
生まれ故郷に近い北の海辺で養生する予定ですが、
アフターの帝国の状況にもよります。