雪原にて

数秒前まで、君のからだの内で流れていた液体が、僕の顔にかかる。

あたたかい、とおもった。それは君の命の温度。
寒さで鈍った鼻が微かに鉄のにおいをひろう。鼻にツンと痛みが走った。これは君の命のにおい。

はやくこの真っ白な雪が僕たちに降り積もりますように。
僕の心も君の体もしろく、しろく…

冷えた頬を、今度は僕の温い液体が伝っていった。

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2019-11-12 00:52

 インキャ量産機


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