SPIRIT1970 ~ Ep.35 「日米政府の判断」
クレア達に1日目の凌遅刑が執行されている丁度その頃。ハインドの銃撃で右腕を失ったフィアナが、村の病院で目を覚ました。
彼女の隣には土気色の顔をした土井医師と、クレアのホームステイ先の女の子の「花」がいた。
「フィアナお姉ちゃん!」
舌っ足らずな声で花が王女に抱きつく。そして幼女は声を上げて泣きわめいた。
「こうして君だけでも無事に帰ってきてくれて良かった。フィアナ君・・・!」
フィアナの治療で精根尽き果てた様子の土井医師が、そう言って崩れるように傍らの椅子に座り込んだ。
不意に病室の扉が開かれた。そこには在日米軍司令官エリックと、自衛隊指揮官島田の姿が。
「皆さん。このようなふがいない結果に終わって申し訳ありません・・・!」
エリックが悲痛な面持ちで、フィアナ達に頭を下げた。エリックも島田も自分達の部下の殆どを殺され、今回の敗北に心身共に打ちひしがれているようだった。
「今の状況は十分に理解しているのですが・・・」
エリックは絞り出すような声で続ける。
「我々はこの村から撤退することになりました。これは米国、日本両政府が出した結論です。加えて、村の皆さんにも、これからこの土地から退去していただきたいのです。退去に関しての諸々の必要事項については日本政府が支援・・・」
「それってどういうこと?クレア達はどうなるの!!?」
たたき付けるようなフィアナの怒声にエリックは怯んだ。がしかし、エリックは非情な言葉を王女殿下に突き付けた。
「クレア・ルージュ、エリス・ファーレンガルト、リンスレット・ローレンフロスト三名の身柄については・・・。我々の方では政治、軍事的介入ともに行わない事が決定している。すまない・・・」
「・・・ッ。クレア達は見殺し!?」フィアナは大粒の涙を流しながら激昂した。花もエリックと修平を睨み付けている。土井は静かではあるが、その面持ちは悲痛そのものだ。
「あの3人がどんな酷い事されているか分かってるの!?カラダの肉を少しずつ抉り取られているのよ。しかも今!」
しかし、エリックの言葉は覆らない。
「・・・敵の軍事力は我々のそれより遙かに強大だ。その上、主犯のネクロースは化け物のような存在。ただのテログループとして括るのは余りに危険なんだ。」
「フィアナ君の気持ちも分かる。我々としてもクレア君達を救いたい・・・。しかしだね、あれほどの力を持った武装集団は政治的にも大きな存在なんだ。今、ネクロース達をイタズラに刺激する真似はしたくない。私たちは3人の少女の事以上に、この世界そのものの調和について考えるべき立場なのだ。」
「何よ・・・!体の良い事いってるけど、結局怖いだけなんでしょ!?」フィアナは金切り声を上げた。
「そう言われても仕方が無い・・・。反論はしないさ。だが、我々がこの事のために動く事は決して無い。申し訳無いが、分かってくれ・・・」
島田も口を開く。
「せめてあの3人の魂が、世界平和の礎となってくれる事を切に願っている・・・」
病室から二人の司令官が去って行った。
フィアナは力なく病室のベッドに座り込み、慟哭した。
彼女の隣には土気色の顔をした土井医師と、クレアのホームステイ先の女の子の「花」がいた。
「フィアナお姉ちゃん!」
舌っ足らずな声で花が王女に抱きつく。そして幼女は声を上げて泣きわめいた。
「こうして君だけでも無事に帰ってきてくれて良かった。フィアナ君・・・!」
フィアナの治療で精根尽き果てた様子の土井医師が、そう言って崩れるように傍らの椅子に座り込んだ。
不意に病室の扉が開かれた。そこには在日米軍司令官エリックと、自衛隊指揮官島田の姿が。
「皆さん。このようなふがいない結果に終わって申し訳ありません・・・!」
エリックが悲痛な面持ちで、フィアナ達に頭を下げた。エリックも島田も自分達の部下の殆どを殺され、今回の敗北に心身共に打ちひしがれているようだった。
「今の状況は十分に理解しているのですが・・・」
エリックは絞り出すような声で続ける。
「我々はこの村から撤退することになりました。これは米国、日本両政府が出した結論です。加えて、村の皆さんにも、これからこの土地から退去していただきたいのです。退去に関しての諸々の必要事項については日本政府が支援・・・」
「それってどういうこと?クレア達はどうなるの!!?」
たたき付けるようなフィアナの怒声にエリックは怯んだ。がしかし、エリックは非情な言葉を王女殿下に突き付けた。
「クレア・ルージュ、エリス・ファーレンガルト、リンスレット・ローレンフロスト三名の身柄については・・・。我々の方では政治、軍事的介入ともに行わない事が決定している。すまない・・・」
「・・・ッ。クレア達は見殺し!?」フィアナは大粒の涙を流しながら激昂した。花もエリックと修平を睨み付けている。土井は静かではあるが、その面持ちは悲痛そのものだ。
「あの3人がどんな酷い事されているか分かってるの!?カラダの肉を少しずつ抉り取られているのよ。しかも今!」
しかし、エリックの言葉は覆らない。
「・・・敵の軍事力は我々のそれより遙かに強大だ。その上、主犯のネクロースは化け物のような存在。ただのテログループとして括るのは余りに危険なんだ。」
「フィアナ君の気持ちも分かる。我々としてもクレア君達を救いたい・・・。しかしだね、あれほどの力を持った武装集団は政治的にも大きな存在なんだ。今、ネクロース達をイタズラに刺激する真似はしたくない。私たちは3人の少女の事以上に、この世界そのものの調和について考えるべき立場なのだ。」
「何よ・・・!体の良い事いってるけど、結局怖いだけなんでしょ!?」フィアナは金切り声を上げた。
「そう言われても仕方が無い・・・。反論はしないさ。だが、我々がこの事のために動く事は決して無い。申し訳無いが、分かってくれ・・・」
島田も口を開く。
「せめてあの3人の魂が、世界平和の礎となってくれる事を切に願っている・・・」
病室から二人の司令官が去って行った。
フィアナは力なく病室のベッドに座り込み、慟哭した。
精霊使いの剣舞
Bladedance of Elementalers
フィアナ・レイ・オルデシア
fianareiorudeshia
アナログ
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イラスト
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2019-12-29 19:34
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