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浮遊する円盤

ぷかり、とパンケーキはゆっくりと上昇を続けた。いつの間にか遠くに見える地面をよそに、あ、はちみつの香りがする、と私は意外にも冷静なのであった。
あの子にラメ入りのスティックのりを返してもらってないけど、まぁいいや。それは帰ってからで。いつもなら不安で不安で仕方ないような出来事も、一度浮かんで仕舞えばなんてことはない。
地に足がついていないということは何と素敵なことなんでしょう。バラがいつも綺麗に咲いているはすむかいのおばあさんの言っていたことはこういうことなんだわ、と思った。
ユリはいつもふわふわして自分がないでしょう、と昨日言われてお風呂でひっそり泣いてしまったことも、ほんとうの本当に浮かんでしまえば、ふん、それはその通りだわね、と強気に言えるかもしれない。

ユリはそうして、一昨日の遠足よりもずっと楽しく、特別な1日を過ごしたのでした。
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2019-12-29 19:54

 坂本遊帆


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