【PFAOS】泣き人形のカンナ【ピクファン奇譚】

むかしむかし、紫帝国には生贄の風習があったそうだ。
ある年に、人間が人間を見てよだれをたらすほどの飢饉が起こったのさ。
そこで当時の王は生贄を出すことにした。口減らしも兼ねていたみたいだね。
たいていの生贄は、農民の子供や借金が返せなくなった商人。
けれどね、1人だけ貴族の子供も生贄に出されたんだそうだ。
そいつの名前はカンナ。
なんでかって？
王は自分の息子を王にしたいわけよ。
カンナは誰よりも星光石の扱いが上手かったから、民に慕われていた。
このままじゃカンナが女王になりそうだったのね。
だから生贄という形でカンナを殺した。
カンナは悔しかったろうね。無念だったろうね。
この話はここで終わりじゃないのさ。

ある時商人が王宮の近くを歩いていると、何かにつまづいて転んだのさ。
足元を見ると、女の子の人形が転がっている。
商人が人形を拾うと、声が聞こえたのさ。
｢我は紫帝国の本来の女王、カンナなり。私を王に金貨1枚で売れ、さもなくばお前を呪い殺そうぞ｣
商人は気味が悪くてたまらない。王の元に急いだ。
王宮に行くと、不気味なほどすんなりと買い取ってもらったと。
王宮では王子のオモチャとしてカンナの人形が使われた。
しかし、王子はすぐに病気になってしまい死んでしまったのさ。
占いの結果、人形が原因だとわかった王は人形を燃やしてしまった。
こうして王宮には再び平和が訪れたのさ。
めでたしめでたし。

やっぱりお前さんもこれで終わりだとは思わないよな。
実はこの人形、未だに目撃証言があるのさ。
お前さんの家の玄関に置いてあるかもしれないから気をつけるんだよ。

ココハ・イズコ漂流団【illust/78953748】に漂流してきました。
ちょっと呪われてるだけのただの人形なので煮るなり焼くなり好きにしてください。