春コミおしながきと通販のお知らせ

HARU COMIC CITY26　閃華春大祭2020
西1オ34a　洋杏(ようあんず)

一冊目(上巻):A5版本文モノクロ358ページ
二冊目(下巻):A5版本文モノクロ364ページ
各2500円、二冊セットで4000円

pixivで書いていた「見習いおっさんと研修先女審神者」シリーズのまとめ本です
本文リンク→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10788289 
スレッド+掌編形式です
内容はpixivに全編上がっており、今後も消す予定はありません
本にするにあたって全体的に改稿したので、読み返しても楽しめる内容になってる(たら嬉しい)と思います　また下巻にささやかな書き下ろしをつけてます
余力があったら無配のペーパー掌編が出るかもしれません

boothで通販します　春コミ以降発送します
https://youanzu.booth.pm/items/1835299

本編とはあまり関係ないあらすじ
　やあ、僕は燭台切光忠。顕現歴三年の厨係さ。実はうちの本丸、ちょっとおかしいんだ。一年半前くらいかな？　和泉守君が折れた日から、なぜか主が一部の刀剣を無視するようになってしまってね。そのせいで獅子王君や山伏君たちが折れてしまって、同田貫君や小狐丸君たちも毎日傷だらけだ。
　他の仲間たちも水面下でぎすぎすしていて、唯一無事な桜三枚(元)太刀の僕と大倶利伽羅にとっても、なんだか息苦しい日々が続いてるよ。

　そんなうちの本丸に、なんと見習いがやってくることになったんだ！　主と年の近い、若い女の子らしいと聞いて、僕らは久々にわくわくしていた。主以外の人が来たら、主が何を考えているのか分かるかもしれないと思ったからね。でも、当日になって突然「見習いは手違いで来ないことになった」って……
　少ししょんぼりしながら、流しに立って昼ごはんの準備をしていた翌日の僕。すると窓の向こうに、突然見知らぬおじさんが逆さに生えてきたんだよ。咄嗟に叫び出さなかったことを褒めてほしいな。

「上から失礼。昨日からこの本丸に来ていた見習いだ。本丸への立ち入りを拒否されたので、こうして屋根からぶら下がっている。今は離れに滞在しているんだが、どうにもこの本丸は不可解なことが多すぎるな。よければ少しばかり、この本丸について教えてほしい」

　教えるのはいいけど、よくその体勢で喋っていられるね？　本丸に立ち入るなって言われたけど屋根の上ならセーフ、とかそういうことじゃないと思うな？　確かにこの本丸もおかしいけど、僕にとってはあなたの筋力と思考回路の方が相当不可解だよ？

　そんなこんなで、主に本丸立ち入りを拒否されたおじさん見習い君は、二週間の研修期間を離れで暮らすことになった。
　僕らは、離れに食材を届けて無事を祈ることしかできない。けれど、どうかあの見習いさんと初期刀君が無事に研修期間を生き延びられますように。
　それと、こんなことを自分勝手に頼むのはカッコ悪いのだけど。どうか、主の不可解な無視の理由を見つけてほしい。どうか、離れにいる七振りの仲間たちを救ってあげてほしい。どうか、いつも明るくて優しかった、僕らの先輩の加州君を取り戻してほしい。どうか、この本丸のいつまでも明けない夜を終わらせてやってほしい。
　保護されるべき見習い先の本丸で、いきなり命を脅かされたあの人間に、僕なんかが厚かましくそんなことを頼めた義理はないのだけれど。
　でも、本丸に入るなと言われて迷わず屋根を突っ走るような、あんな破天荒な人間なら、もしかして。心のどこかで、少しそんな風にも思ってしまうんだ。