【PFAOS】神狼は若き同朋の為に【星の船の残骸】
「リリアァァァック!!!」
――――考えるよりも先に体が動いた。
突如として出現した化け物から、リリアックを庇うようにして立ち塞がる。神通力で咄嗟に張り巡らせた結界は、自分と【若き同朋】を守ってくれた。
「無事か、リリアック!……カァッカカァ!はじめてのおつかいにしては前途からして多難ではないか!以前といいお主は余程、厄介事に好かれる質と見えるな!」
状況が飲み込めずに居るであろうリリアックに、努めて明るく声をかける。
だがそうしている間にも、張り巡らせた結界は刻一刻とその強度を失っていた。やはりな、とウルズは思う。
突如として出現した化け物――【星石食らい】と呼ばれるそれは、文字通り星光石を食らい続けて進化した存在である。その中でも特に異常な進化を遂げたこの個体【月食い】は、星石に関わるもの――星石の力を得た者たちの天敵だった。
元は妖獣であるウルズも例外ではない。使用する神通力は、長年溜め込んだ星石の力が大部分を占める。その相性は致命的なまでに悪い。星石の力は【月食い】に食われ、発動者であるウルズの体をも徐々に侵していった。
このままでは、保たない。
「良いか、リリアック。お主はまだ理解しきれんだろうが、こやつに善悪はない。こやつは星光の輝きを求めているだけだからだ。それは習性だ。習性に善悪はない。お主にこやつはまだ早い」
「(逃げるの?)」
「戯け、戦略的撤退と言わんか!お主の目的は『買い物』であろう?」
リリアックを庇いつつ、後退する。
「この場を乗り越えることがお主の『前進(せいちょう)』だ。機を見つけたのなら、迷わず駆けよ」
「(……ウルズは?)」
「お主が安全な所まで離れたのなら、儂も退く。なぁに、心配するでないわ。儂は『神を退け、悪魔をも脅かす』と言われた獣よ」
不敵に笑ってみせる。
「この程度の修羅場は何度もくぐり抜けてきたからの」
全く、人の世は――否、この世は度し難い。
何故、こうも奪おうとするのか。何故、こうも奪われるのか。
赤頭巾の少女は死んだ。成長して尚、無垢な心を持ち続けていた彼女は、世を照らす程の『輝き』を秘めていた。
【古き同朋】は死んだ。膨大な知識を蓄えた精霊は、心無い者たちに蹂躙され、信奉する者と『輝き』を失った。
どれも強く輝けたはずのものだ。どれも自分が見落としてきたものだ。
そして今、自らの眼の前で、成長しようとする『輝き』が失われようとしている。
――それは、何よりも度し難い。
「【愚かな同朋】よ。『輝き』に焦がれるあまり、『輝くモノ』の価値を忘れた【古き同朋】よ。いずれ行き着く、儂の末路よ」
【月食い】の瘴気に侵された体に活を入れる。
「この体は傷つけさせぬ。この魂は侵させぬ。こやつの輝きはこやつのものだ。誰にも渡さん。例え【古き同朋】であろうともだ」
ひび割れた結界に力を注ぎ込む。
この世は度し難い。
『輝き』を奪うことが神の所業ならば。
『輝き』を失うことが悪魔の仕業ならば。
己は神をも害し、悪魔をも脅かす獣となろう。
「遠き者は音に聞き、近き者は眼にも見よ!心無き者はその身に刻め!
我こそは、『神害魔脅(じんがいまきょう)』!」
名乗りを上げる。失われた名が、決意と共に示される。
其は神狼。神の末席に名を連ねし獣。
其は魔狼。魔をも誑かす狡猾なる獣。
其は獣王。
獣を超え、世の驚異となり、無尽の『輝き』を見守る者。
その名は――――!
「――獣王、ネロである!」
■信じて送り出した【若き同朋】がこんなことになるなんて
【若き同朋】から【リリアック】呼びになるまでとか書いてる場合じゃなかった。こちらは後に補完したいと思います。
助けなきゃ(使命感)
■【同朋】表現
長命種だったりヒトじゃなかったりする相手に対する呼称。
または自分が認めた相手に対する呼称。
敵味方関係なく使うので誰を指しているかは状況による。
■神狼の状態
実際のところ満身創痍。瘴気に侵されパワーダウン。
『輝き』を守る気力だけで保ってる状態。ダレカキテー
「化け物を倒すのって、いつだって人間だと思うの儂。儂もしょっちゅう倒されてたし?」
※どなたの行動を制限するものではありません。
都合が悪ければパラレルスルー願います。
■お借りしました(敬称略)
【守りたい『輝き』】リリアック(illust/79291542)
【古き同朋】バード・クオルギア(illust/79006179)レスポンス作品の冒頭を受けて
■うちの子
【赤ずきん布教を忘れた神狼】レッドキャップ・ウルズ
人狼の姿(illust/78984894)
神狼の姿(illust/79272781)
うちの子のリリアック君に対する解釈は(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12388194)
――――考えるよりも先に体が動いた。
突如として出現した化け物から、リリアックを庇うようにして立ち塞がる。神通力で咄嗟に張り巡らせた結界は、自分と【若き同朋】を守ってくれた。
「無事か、リリアック!……カァッカカァ!はじめてのおつかいにしては前途からして多難ではないか!以前といいお主は余程、厄介事に好かれる質と見えるな!」
状況が飲み込めずに居るであろうリリアックに、努めて明るく声をかける。
だがそうしている間にも、張り巡らせた結界は刻一刻とその強度を失っていた。やはりな、とウルズは思う。
突如として出現した化け物――【星石食らい】と呼ばれるそれは、文字通り星光石を食らい続けて進化した存在である。その中でも特に異常な進化を遂げたこの個体【月食い】は、星石に関わるもの――星石の力を得た者たちの天敵だった。
元は妖獣であるウルズも例外ではない。使用する神通力は、長年溜め込んだ星石の力が大部分を占める。その相性は致命的なまでに悪い。星石の力は【月食い】に食われ、発動者であるウルズの体をも徐々に侵していった。
このままでは、保たない。
「良いか、リリアック。お主はまだ理解しきれんだろうが、こやつに善悪はない。こやつは星光の輝きを求めているだけだからだ。それは習性だ。習性に善悪はない。お主にこやつはまだ早い」
「(逃げるの?)」
「戯け、戦略的撤退と言わんか!お主の目的は『買い物』であろう?」
リリアックを庇いつつ、後退する。
「この場を乗り越えることがお主の『前進(せいちょう)』だ。機を見つけたのなら、迷わず駆けよ」
「(……ウルズは?)」
「お主が安全な所まで離れたのなら、儂も退く。なぁに、心配するでないわ。儂は『神を退け、悪魔をも脅かす』と言われた獣よ」
不敵に笑ってみせる。
「この程度の修羅場は何度もくぐり抜けてきたからの」
全く、人の世は――否、この世は度し難い。
何故、こうも奪おうとするのか。何故、こうも奪われるのか。
赤頭巾の少女は死んだ。成長して尚、無垢な心を持ち続けていた彼女は、世を照らす程の『輝き』を秘めていた。
【古き同朋】は死んだ。膨大な知識を蓄えた精霊は、心無い者たちに蹂躙され、信奉する者と『輝き』を失った。
どれも強く輝けたはずのものだ。どれも自分が見落としてきたものだ。
そして今、自らの眼の前で、成長しようとする『輝き』が失われようとしている。
――それは、何よりも度し難い。
「【愚かな同朋】よ。『輝き』に焦がれるあまり、『輝くモノ』の価値を忘れた【古き同朋】よ。いずれ行き着く、儂の末路よ」
【月食い】の瘴気に侵された体に活を入れる。
「この体は傷つけさせぬ。この魂は侵させぬ。こやつの輝きはこやつのものだ。誰にも渡さん。例え【古き同朋】であろうともだ」
ひび割れた結界に力を注ぎ込む。
この世は度し難い。
『輝き』を奪うことが神の所業ならば。
『輝き』を失うことが悪魔の仕業ならば。
己は神をも害し、悪魔をも脅かす獣となろう。
「遠き者は音に聞き、近き者は眼にも見よ!心無き者はその身に刻め!
我こそは、『神害魔脅(じんがいまきょう)』!」
名乗りを上げる。失われた名が、決意と共に示される。
其は神狼。神の末席に名を連ねし獣。
其は魔狼。魔をも誑かす狡猾なる獣。
其は獣王。
獣を超え、世の驚異となり、無尽の『輝き』を見守る者。
その名は――――!
「――獣王、ネロである!」
■信じて送り出した【若き同朋】がこんなことになるなんて
【若き同朋】から【リリアック】呼びになるまでとか書いてる場合じゃなかった。こちらは後に補完したいと思います。
助けなきゃ(使命感)
■【同朋】表現
長命種だったりヒトじゃなかったりする相手に対する呼称。
または自分が認めた相手に対する呼称。
敵味方関係なく使うので誰を指しているかは状況による。
■神狼の状態
実際のところ満身創痍。瘴気に侵されパワーダウン。
『輝き』を守る気力だけで保ってる状態。ダレカキテー
「化け物を倒すのって、いつだって人間だと思うの儂。儂もしょっちゅう倒されてたし?」
※どなたの行動を制限するものではありません。
都合が悪ければパラレルスルー願います。
■お借りしました(敬称略)
【守りたい『輝き』】リリアック(illust/79291542)
【古き同朋】バード・クオルギア(illust/79006179)レスポンス作品の冒頭を受けて
■うちの子
【赤ずきん布教を忘れた神狼】レッドキャップ・ウルズ
人狼の姿(illust/78984894)
神狼の姿(illust/79272781)
うちの子のリリアック君に対する解釈は(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12388194)
pixivファンタジアAOS
pixiv Fantasia: Age of Starlight
星石食らい
【流転竜宮クオルギア】
rutennryuuguukuorugia
星の船の残骸【青】
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2020-02-26 00:20
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