【PFAOS】帳尻合わせと等価交換【氷壁の神殿】
時間軸的にこの後のお話です
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エナジド殿の力を借りて何とか、目標とするガーグランド殿の頭部まであと少しの距離へと接近できた。
「っ…ガーグランド殿っ…!」
しかし、先程まで湧いていた勾玉の力と、自身の強化魔法が感じられない。リミットの3分はまだ経っていない筈なのだが…効果を掻き消されてしまったのか?だが、今更引き返す選択肢などある筈もない。ならば、予定は狂ったが当初の作戦通りに動くのみだ。大丈夫、運は無いが、まだ魔法は使える……あまり使いたくはなかったが…。
「…おい、魔本に巣食う魔物よ、聞こえているのだろう?」
腰の魔本に手を当て語りかける。すると、頭の奥からおどけた様な声が響いてくる。
『なんだぁ?お前から話しかけるとは珍しい。俺が話しかけないから、寂しくなっちまったかぁ?』
響いてくる声の主…それは、私の魔本に憑く魔物であり、私が最も嫌う精神の持ち主だ。
「……。」
『なんだよぉ…そんな邪険にしなくたっていいじゃんかぁ。まだ、あの事怒ってんのぉ?』
「…黙れ下郎。」
『おや、手厳しいねぇ?ま、そんな下郎に話しかけるって事は、何か頼み事かなぁ?』
「……あぁ。……単刀直入に言う、貴様の魔物の力を私に使役させろ。」
『へぇ、俺の力を?友人であるお前の為なら、安い御用さ!と言いたいが……ねぇ?』
「心にも無い事を…どうせ代償目当てだろう?
……はぁ…ならば、私の身体の支配権の一部を貴様にも解放しよう。身体の無いお前にとっては嬉しい話だと思うが。」
『ふむふむ…ま、妥当な提案じゃないか。大丈夫大丈夫!さすがの俺も、お前が死ぬ様な事に身体を使わないからさぁ!』
「どうだかな…とにかく時間が無い。癇に障るが…貴様の力…見せてみろぉ!」
『契約完了っとぉ!安心しなって、お代の分はしっかり働くからよぉ!』
「っ…ぐっ…がはっ……!」
頭に響く声が途切れるのと同時に、全身へ異質な力が流れ込んでいく。普段の身体強化の魔法とは比にならない程に力強く、同時に身体が張り裂ける感覚にも襲われる。苦しい……だが……目前の仲間を正気に戻す為ならばこれ位……
もうじき、ガーグランド殿の頭部へと接触できる。あと少し…もう少しで…!
『グ…ガァァァァァッ…!』
飛んでくる私を警戒したのか…彼は大きな翼を翻して身を固める
「ぐっ…これでは……!でも…止まるものか……っ!」
メスを握る右腕に力を込め、立ちはだかる翼へ突っ込んでいく。時間と共に消耗する精神を集中させ、執刀の精度を高める。
「………ここだ……っ!」
堅牢な翼と衝突する一瞬、翼鱗の隙間へメスを滑り込ませ、大きな一文字を描く様に切りつける。執刀を行った箇所はすぐ様ズレていき、最後にはポトリと落下し、頭部への道が開ける。
『グガァァッ?!ウ…グオォォォォォ…ッ!』
「…切除完了…これで頭部へ………なっ…?!」
壁となる翼を退けて安心した矢先、切除した箇所から再生が始まり、またも道を塞ぐ様に元通りになってしまう。
『グウゥ…ウガァァァッ!』
「がっ…あっ……?!」
彼の注意を引くダメージは与えられたが、正気に戻せるには程遠く…力強く広がる翼に振り払われ飛ばされてしまう。
「んっ!ぐあぁっ!?はっ…はぁっ…!」
…息ができる……まだ生きている…。雪山に飛ばされたのか…?埋まっている訳ではない…ならばまだ…!
(っ…?!身体が……く、くそぉっ…!)
魔物の力の負荷に耐えきれなかったのか…身体がピクリとも動かず、呼吸をするのでやっとだった。
(ガーグランド…殿……まだ…私、はまだ…何……も……)
遠くとも、大きな影として映るガーグランド殿を見届けながら、意識が途切れてしまう。
『まったく……無茶しちまってよぉ…。
あーあ、身体も何もボロボロじゃねぇかよぉ。痛みまで共有してなくて良かったなぁ?』
ヴァングの意識が途切れてから少し後、先程まで倒れていたヴァングの身体がムクリと起き上がる。
『身体はちょっと弄るが…まぁ、ちょっとした補助ってヤツだから勘弁な?
お前が死んだら、俺も死んじまう訳でね…というか、魔物使い荒すぎなんだよ…』
起き上がったヴァングの身体は自身に魔法を施し、暫くして何とか歩ける程になっていた。
『さて、魔物に借りを作っちまったんだ…俺が満足するまでは、面白おかしく足掻いてくれよなぁ?』
衝撃で外れたサークレットを拾い、殆ど元通りになったヴァングの身体はトライデントパレスへと歩みを進める。変化があるとするならば…身体の中身と、額から生える一対の角だろうか
ガーグランドさん鎮圧戦は終わりましたが、3章の締めという事で投稿致しました。
戦闘終了時点でヴァングの身体は別の何かによって動いてますが、本船帰還後には身体の主導権はヴァングに戻っています。意識も、少し休んだら元に戻っています。
また、身体的なダメージは別の何かのお陰で軽減されてはいるものの、帰還して暫くは要療養が義務付けられます。
お借りしました
ガーグランドさん
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名前お借りしました
エナジドさん
illust/79178584
大まかな展開はこちらから
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ウチの子のヴァング
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エナジド殿の力を借りて何とか、目標とするガーグランド殿の頭部まであと少しの距離へと接近できた。
「っ…ガーグランド殿っ…!」
しかし、先程まで湧いていた勾玉の力と、自身の強化魔法が感じられない。リミットの3分はまだ経っていない筈なのだが…効果を掻き消されてしまったのか?だが、今更引き返す選択肢などある筈もない。ならば、予定は狂ったが当初の作戦通りに動くのみだ。大丈夫、運は無いが、まだ魔法は使える……あまり使いたくはなかったが…。
「…おい、魔本に巣食う魔物よ、聞こえているのだろう?」
腰の魔本に手を当て語りかける。すると、頭の奥からおどけた様な声が響いてくる。
『なんだぁ?お前から話しかけるとは珍しい。俺が話しかけないから、寂しくなっちまったかぁ?』
響いてくる声の主…それは、私の魔本に憑く魔物であり、私が最も嫌う精神の持ち主だ。
「……。」
『なんだよぉ…そんな邪険にしなくたっていいじゃんかぁ。まだ、あの事怒ってんのぉ?』
「…黙れ下郎。」
『おや、手厳しいねぇ?ま、そんな下郎に話しかけるって事は、何か頼み事かなぁ?』
「……あぁ。……単刀直入に言う、貴様の魔物の力を私に使役させろ。」
『へぇ、俺の力を?友人であるお前の為なら、安い御用さ!と言いたいが……ねぇ?』
「心にも無い事を…どうせ代償目当てだろう?
……はぁ…ならば、私の身体の支配権の一部を貴様にも解放しよう。身体の無いお前にとっては嬉しい話だと思うが。」
『ふむふむ…ま、妥当な提案じゃないか。大丈夫大丈夫!さすがの俺も、お前が死ぬ様な事に身体を使わないからさぁ!』
「どうだかな…とにかく時間が無い。癇に障るが…貴様の力…見せてみろぉ!」
『契約完了っとぉ!安心しなって、お代の分はしっかり働くからよぉ!』
「っ…ぐっ…がはっ……!」
頭に響く声が途切れるのと同時に、全身へ異質な力が流れ込んでいく。普段の身体強化の魔法とは比にならない程に力強く、同時に身体が張り裂ける感覚にも襲われる。苦しい……だが……目前の仲間を正気に戻す為ならばこれ位……
もうじき、ガーグランド殿の頭部へと接触できる。あと少し…もう少しで…!
『グ…ガァァァァァッ…!』
飛んでくる私を警戒したのか…彼は大きな翼を翻して身を固める
「ぐっ…これでは……!でも…止まるものか……っ!」
メスを握る右腕に力を込め、立ちはだかる翼へ突っ込んでいく。時間と共に消耗する精神を集中させ、執刀の精度を高める。
「………ここだ……っ!」
堅牢な翼と衝突する一瞬、翼鱗の隙間へメスを滑り込ませ、大きな一文字を描く様に切りつける。執刀を行った箇所はすぐ様ズレていき、最後にはポトリと落下し、頭部への道が開ける。
『グガァァッ?!ウ…グオォォォォォ…ッ!』
「…切除完了…これで頭部へ………なっ…?!」
壁となる翼を退けて安心した矢先、切除した箇所から再生が始まり、またも道を塞ぐ様に元通りになってしまう。
『グウゥ…ウガァァァッ!』
「がっ…あっ……?!」
彼の注意を引くダメージは与えられたが、正気に戻せるには程遠く…力強く広がる翼に振り払われ飛ばされてしまう。
「んっ!ぐあぁっ!?はっ…はぁっ…!」
…息ができる……まだ生きている…。雪山に飛ばされたのか…?埋まっている訳ではない…ならばまだ…!
(っ…?!身体が……く、くそぉっ…!)
魔物の力の負荷に耐えきれなかったのか…身体がピクリとも動かず、呼吸をするのでやっとだった。
(ガーグランド…殿……まだ…私、はまだ…何……も……)
遠くとも、大きな影として映るガーグランド殿を見届けながら、意識が途切れてしまう。
『まったく……無茶しちまってよぉ…。
あーあ、身体も何もボロボロじゃねぇかよぉ。痛みまで共有してなくて良かったなぁ?』
ヴァングの意識が途切れてから少し後、先程まで倒れていたヴァングの身体がムクリと起き上がる。
『身体はちょっと弄るが…まぁ、ちょっとした補助ってヤツだから勘弁な?
お前が死んだら、俺も死んじまう訳でね…というか、魔物使い荒すぎなんだよ…』
起き上がったヴァングの身体は自身に魔法を施し、暫くして何とか歩ける程になっていた。
『さて、魔物に借りを作っちまったんだ…俺が満足するまでは、面白おかしく足掻いてくれよなぁ?』
衝撃で外れたサークレットを拾い、殆ど元通りになったヴァングの身体はトライデントパレスへと歩みを進める。変化があるとするならば…身体の中身と、額から生える一対の角だろうか
ガーグランドさん鎮圧戦は終わりましたが、3章の締めという事で投稿致しました。
戦闘終了時点でヴァングの身体は別の何かによって動いてますが、本船帰還後には身体の主導権はヴァングに戻っています。意識も、少し休んだら元に戻っています。
また、身体的なダメージは別の何かのお陰で軽減されてはいるものの、帰還して暫くは要療養が義務付けられます。
お借りしました
ガーグランドさん
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名前お借りしました
エナジドさん
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大まかな展開はこちらから
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ウチの子のヴァング
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2020-03-15 20:56
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