軽巡洋艦 シェルホーフェン級

ヴァルキス魔導大公国の主力軽巡洋艦。
ドイツ局から技術提供を受けて開発した国産宇宙戦闘艦。
【illust/67038719】軽巡洋艦ケーニヒスベルク級を参考に、二本あった粒子煙突を統合し、船体中央部に回転式の大型探知レーダーを装備し、高い索敵性能を持つ偵察巡洋艦として活躍した。
船体は高速航行と巡航性能を重視したため、防御能力は限定的で、諸勢力の軽巡洋艦と比較すると明らかに劣り、所詮は偵察巡洋艦、駆逐艦や宙雷艇を率いる嚮導巡洋艦レベルの攻撃力と防御力であったが、高い索敵性能と優れた巡航性能と乗員の練度で補った。

軍隊と国防産業の近代化を必要とするヴァルキスと、資源の安定供給を必要としていたドイツの思惑が一致していた。
パンデモニウム宙域を支配していたサタリア魔導超帝国は崩壊し、支配権を狙う軍閥、近隣の宇宙勢力同士で内戦が始まった。そのため、ドイツの兵器メーカーは、ヴァルキスに武器と軍事支援を提供する商権の拡大を画策した。

ヴァルキスもドイツの支援を求め、ドイツで教育を受けた高級青年将校団がドイツとの交渉をほとんど一手に引き受けた。ヴァルキスが外交相手にドイツを望んだのは、ドイツが技術力を持っていたという以外にもいくつかの理由があった。

【illust/81855665】イギリスなどの国々は未だ帝国主義的であり、ヴァルキスやパンデモニウム宙域を経済、軍事的に狙っていた。また、【illust/47237048】ソ連のように政治に介入し、共産主義者の勢力の伸張を図ろうとしなかったことも理由に挙げられる。
【illust/74726941】日本系列の血鬼赤間帝国とは遠戚関係にあり、良好な関係を保っていたが、大日本宇宙帝国の傘下に入ると、【illust/81920665】宇宙最大最強のアメリカが黙っていない。
イギリスは傲慢、ソ連は共産主義で論外、日本と親密になるとアメリカが黙っていない。
ヴァルキスがパートナーに選んだのはドイツだった。そして日本局も日独伊宇宙枢軸同盟をドイツと結んでおり、ドイツと手を組むと日本も非公式ながら支援してくれる。
もう一つのパートナー候補で【illust/71241558】フランスという選択肢もあったが、自由主義はヴァルキスの風土には合わず、結局専制主義、ナチス式を取り入れた。

この辺りのヴァルキスの判断には非常に高度な政治的、外交的やり取りがあったといわれ、根回しに血鬼赤間帝国、大江提督の介入があった。
大江提督はの父親は元帥陸軍大将の大江将軍で、母親は旧ワラキム魔導公国の一級貴族のヴァンパイアであるフニャデ妃の間に生まれたハーフヴァンパイア。
カタリナ社とヴァルキスを結ぶ非常に重要なキーマンであり、日本局所属のハーフヴァンパイアでありながらあえて、ドイツ局にヴァルキスを推薦し、紹介するなどの余りにも頭が切れすぎる彼女の行動は、ヴァルキスの首脳部を唸らせた。
この一連の大江提督の行動により、イギリス、フランス、アメリカ、ソ連はパンデモニウム宙域に、表立って軍事的政治的にアクションを起こすのが困難になった。
ヴァルキスを軍事支援しているのはドイツ、しかし背後には日本がいる。もし軍事的にアクションを起こせば、ヴァルキスだけでなくドイツも動き、そして日本がどう出るかわからない。
最悪、三つの軍事勢力を相手にしなければならなくなる。
こうして、ヴァルキス魔導大公国は、ドイツと日本という強大な軍事政治、外交的支援を受け、パンデモニウム宙域でも強大な一大勢力となったが、同時にそれは新たな敵との戦いとの幕開けでもあった。