第一話「獅子、大地を駆ける」

ここから、サザンレイザーの物語を描いて行こうかと思います。
大まかな流れは、PRWS大図鑑の年表に簡単に記入させていただいています。

今回は、オルトスのシートにいただいたアイデアをもとに、
バトルライオーとのダブルヒーローアクション！
というテーマで書いてみました！

時系列的には、ピクロボSの物語が始まって間もないころ、
まだ「悪魔達の宴」事件も起こっていない時期のお話です。

お借りしました
タテガミ運送の皆さん&バトルライオーillust/81245542
Dr.ケトルillust/81351966

うちの子
サザンレイザー・オルトス&トウヤillust/83030980
BATA illust/83416208

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眼下には深夜の鉄工所。
縦横に走るパイプラインを照らし出すのは、
吹き上がる炎と、その元凶、金属食性敵性異星生命体
『BATA』の群れの、深緑の眼光。

「目標地点への到達を確認した。
レイザーレーン解除、通常空間へ遷移する。」
総司令官パトリック・ブキャナンの言葉とともに、
三機のレイザーマシンの周囲を包む光の伝送路が消滅する。
光速の限界すら突破する超速空間から投げ出され、
急激な減速感を感じたのも束の間のこと。

「よぉ、タテガミの旦那に姐さん！お勤めご苦労様！！」
「ええ。ちょっと組合から救援物資を預かりましてね。」

真っ先に荒れ果てた地表に降り立ったトウヤの
レイザーレオと並走するのは、タテガミ運送のマッハライオー。
「うむ！合流できたようじゃの！
そのまま総一郎くん達の進路を確保してくれ！」
Dr.ケトルの指示に、残る2機のレイザーマシンから異論が返される。

「待て！市街地に入るのは下策だ。
上空へ敵を引き付けて、ソル・エルシオからの援護を利用するぞ！」
空中戦を提案する、レイザーファルコンのミセリコルデ。
「港湾エリアまで抜けて水中戦に持ち込む。
ドロゥブンEからの応援とも合流できる」
水中戦を提案する、レイザーオルカのクーリア。

「はッ！そういう話は、俺の前を走ってからにしな！
飛ばすぜ姐さん！ついてこいよな！！」
「へぇ、言うようになったじゃないか！
せいぜい見失わないように踏ん張りな！！」
鉄工所まで間近に迫る両車に、察知したBATA達が一斉に襲い掛かる。

金属を腐食させる強酸が吐き出され、豪雨の如く降り注ぐ中を
レイザーレオとマッハライオーが泳ぐように駆け抜け、
夜闇にテールランプの軌跡が刻まれる。
「デカいケツがフラついてるぜ！痩せた方がいーんじゃねぇか？」
「そっちこそ、コーナーの詰めが甘いね！もっと命がけで攻めな！」
迫る危険も何のその。
2人のスピード狂のドライビングはさらに加速し、
二頭の獅子は危険地帯のど真ん中へと爆走していく。

サイド・バイ・サイドのままストレートへ突入した2台の前に、
斜めに地表へ突き刺さった金属の巨塔が姿を表す。
今もBATAを次々に放出するそれこそ、襲撃の元凶。
何処かにあるBATAの巣から投射された卵塊弾だ。

「っしゃァ！ヘッドはオレだ！超速！合体ッ！！」
「そろそろだね・・・いくぜ社長！」
本拠地を守る大量のBATAを前に、両者は戦闘形態へと移行する。

宙に刻んだ光の轍を足がかりに、上空へと舞い上がった
レイザーレオが上半身に変形。
次にウイングに変形したレイザーファルコンが、
最後に下半身に変形したレイザーオルカが続く。

マッハライオーがコンテナとトラクターに分離。
速度を緩めずに下半身へと変形したトラクターが、
上半身に変形したバトルグリフォンとドッキングする。

「行くぜェ！サザンレイザー・・・オルトスッ！！」
「各部接続、システム切り替えよし・・・バトルライオー、起動！」
大気を震わす名乗りの勢いもそのままに、巨人達が卵塊弾へと迫る。

「超速一閃！アクセル！スタンプ！！ーーー」
遥か上空へと舞い上がったサザンレイザー・オルトスが、
流星となって卵塊弾を一蹴。
「ーーーイン・・パクトォ！！！」
全長500メートル、直径70メートルに及ぶ巨塔が、
オルトスの脚部から放たれた衝撃波で、真ん中からくの字に折れ曲がる。

「ーーーそこですね！」
負荷が集中した折れ曲がった一点を逃さず、
バトルライオーのバリアを纏った槍の一撃が卵塊弾を両断。
並び立つ両雄の背後で、BATAの発生源は巨大な爆炎と化した。
吹き流されるオルトスのマフラーとバトルライオーの鬣が、
爆圧の凄まじさを物語る。

「そんじゃ、後片付けは任せたぜ！社長！！」
「ええ。物資をお願いします、響子さん。」
マッハライオーのコンテナから変形した三輪バイク、
マッハギャリーを操る響子を見送って、
自らを取り囲むBATA達に向き直る。
「この場は僕が・・・引き受けます！！」

背中合わせに立つオルトスとバトルライオー目掛け、
BATAの群れが一斉に襲いかかるが。
「百烈鉄拳！ハンドレッド！アクセルッ！！」
「バトルジャベリンに、隙はありません！」
無数の鉄拳と神速の刃に退けられ、ただの一撃さえ、与えられない。

「相手が悪すぎるぜ！何しろこのオレと、
あのバトルライオーが相手なんだからな！！」
「うつけが！油断するな・・・来るぞ！」
「後方でBATAの『共食い』を確認」

「このタイミングで、共食いですか・・・？」
訝しむ総一郎に、トウヤが状況を説明する。
「旦那はBATAと戦うのは初めてだったよな。
奴らも、このままじゃ勝てない、と思ったら合体するんだ。」
「正確には、相互に捕食行動を開始し、
生き残った個体を核として戦闘形態に変態する。」
「ここからが本番ということです。
戦闘形態のBATAを撃破できれば、一挙に殲滅できるが、
その戦闘力は特機に勝るとも劣りません。」

目前のBATA達を食い荒らし、出現した巨体は全高だけでも
バトルライオーと互角、体長に至ってはその倍にすら届くだろう。
威圧するように咆哮する巨大な顎門は、
特機でさえ丸呑みにできるほどの大きさを誇り、
内部に犇く牙は濃緑の溶解液に塗れて不吉にギラつく。

「さぁ、やってやろうぜ旦那！俺たちは、お前らなんぞにゃ
負けやしねぇってところを、見せつけてやるんだ！！」