雪風！？・・・そんな訳無い、雪風はもっと子供っぽくて・・・

目の前のお嬢さんは自身が雪風と名乗る。
そんなはずは無い、このお嬢さんは明らかにげっ歯類の風格が微塵も感じられなかった。雪風な訳が無い。
「朝、起きたら、こんな姿になっていまして・・・」
お嬢さんは、少し、恥ずかしそうな身振りで言った。
艦娘は季節によって、少し風貌が変わる事がよくある。よくある事なので、雪風の顔立ちが少し変わるぐらいは驚くべき事でも無いのだが・・・
「それにしたって変わり過ぎだろう。身長もぐっと伸びているし、顔だって・・・その・・・」
「むうぅ・・・」
雪風は照れる様に顔を両手で隠した。
その動作は・・・何とも違和感を感じた、まったく雪風らしくない。
いつもの雪風なら、もっとやかましく、わーわー騒いがしいはずのだが、目の前の雪風はおしとやかに自身の変わった姿を恥ずかしがっている。
そんな仕草をされたら、こっちも気恥ずかしいじゃないか。
いたたまれなくなったので、私は、今日の遊びに行くのは止めようと思った。
「雪風、急に姿変わって、驚いているだろう？今日の出かけるのは、また今度にするか」
そう雪風に言い渡し、帰ろうとすると、腕を捕まれた。
「ダメですよ！約束したんですから！行きますよ！」
振り返ると、お嬢さんになっている雪風が顔を膨らませていた。
そんな訳で、電車に乗って、町まで遠出する事になったのだ。
元気で素直でちょっとやかましい、げっ歯類を遊ばせるつもりで今日、外出するつもりだったのだが
「・・・どうしたんですか？司令？」
私の隣に座る、可憐なお嬢さんになってしまった雪風が私を見ている。
ただ、雪風と一緒に座席で座っているだけだ。だけなんだが、
普段の雪風には感じられない感触を私は感じていた。

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