WANTED(指名手配)
リクエストにお応えしまして、ミニss付けました。どちらが右か左かは、皆様のご想像にお任せします。
③枚目 薔薇を背負う前。
④枚目 メイク前。
⑤枚目 立ち尽くす男たち。
~ミニss『犯人はお前だ!』~
パリ音楽院学園祭一ヶ月前。ユリウスは、実行委員会の席で激しく抵抗していた。
「お断りします!」
「抵抗は無意味だ。このパリ音楽院において、実行委員会の決定は絶対なんだよ」
実行委員長が冷酷に言い放つ。
「学園祭のメインである出し物には、ピアノ科とヴァイオリン科から、ナンバーワン美女を一名ずつ選出するというのが伝統だ。喜びたまえ。君は、ピアノ科満場一致で選ばれた」
今どき、ここまで潔いセクハラがあっただろうか。
「じゃあ、ヴァイオリン科は誰が選ばれたんですか?」
そのとき、背後から、カツカツと気高き靴音が響いてくる。
「わたしだ」
聴き覚えのある声に、ユリウスは振り返った。
「オスカル?」
「ユリウス、諦めろ。このわたしが折れたのだ。無駄な体力を消耗するだけだ」
というわけで、二人は渋々練習を開始する(ミニssなので飛ばしていきます)。
レッスン室でPCを開くと、東洋の二人組シンガーの動画が出てきた。
「この曲を歌って踊るらしい」
「踊る…?」
「今から再生する」
流れ始めた歌とダンスに、ユリウスは顔面蒼白になる。オスカルもテーブルに突っ伏した。
タイムリミットは一ヶ月。逃亡は許されない。
あっという間に当日。
何も知らないクラウスとアンドレは、学園祭のメインステージへ向かっていた。
「今朝、オスカルに『わたしは出かけるが、お前は家にいろ。出たらコロス』って理不尽なこと言われてさ」
「俺なんか『学園祭なんかに行ったら絶交だから』って。酷くねえか?」
なのに、あっさり破る二人である。
「で、どうして俺たち、ここにいるんだ?」
「うーん、特に目的はないけど。せっかくの学園祭だし、一つくらい何か観ようぜ」
たぶん…、虫が知らせたのだ。
「さあ、いよいよラストは、コケティッシュ・エンジェルズの登場で~す」
司会者の声と共に幕が上がった。
「コケティッシュ・エンジェルズぅ? ふざけた名前だぜ」
「何をやるんだろう? 音楽院だから楽器の演奏か、アリア(独唱)かな」
ところが、次の瞬間、彼らの目に飛び込んできたものは…。
「私の胸の鍵を~壊して逃げていった~♬」
目を見開く。驚嘆する。声を飲む。刮目する。(⑤枚目参照)
「WANTED!」
心臓が止まりかける。腰を抜かしそうになる。
何だあのピラピラは? 何だあの超ミニは? 何だあの下着みたいな服は?
何だ、あの女豹の目つきは?
何だあの歌詞は? 口づけ責め?
「願ったり叶ったりだ!」
何だあのセリフは? ある時しゃれた音楽家?
「俺のことか?」
好きよ好きよこんなに好きよ~♬
「俺も大好きだ~っ!!」
そして、男たちが何もできないうちに曲は終盤に差し掛かり…。
さあ、泣いても笑っても、これを叫べばフィニッシュだ。二人の歌姫は息を合わせ、躰を思い切り仰け反らせ、遠くでぼーっと突っ立っている観客へ狙いを定める。
恋泥棒はお前だ! と。
「う~ぉんてっどっっ!!」
それが自分たちの恋人だとは気づかずに。
(つづく)
③枚目 薔薇を背負う前。
④枚目 メイク前。
⑤枚目 立ち尽くす男たち。
~ミニss『犯人はお前だ!』~
パリ音楽院学園祭一ヶ月前。ユリウスは、実行委員会の席で激しく抵抗していた。
「お断りします!」
「抵抗は無意味だ。このパリ音楽院において、実行委員会の決定は絶対なんだよ」
実行委員長が冷酷に言い放つ。
「学園祭のメインである出し物には、ピアノ科とヴァイオリン科から、ナンバーワン美女を一名ずつ選出するというのが伝統だ。喜びたまえ。君は、ピアノ科満場一致で選ばれた」
今どき、ここまで潔いセクハラがあっただろうか。
「じゃあ、ヴァイオリン科は誰が選ばれたんですか?」
そのとき、背後から、カツカツと気高き靴音が響いてくる。
「わたしだ」
聴き覚えのある声に、ユリウスは振り返った。
「オスカル?」
「ユリウス、諦めろ。このわたしが折れたのだ。無駄な体力を消耗するだけだ」
というわけで、二人は渋々練習を開始する(ミニssなので飛ばしていきます)。
レッスン室でPCを開くと、東洋の二人組シンガーの動画が出てきた。
「この曲を歌って踊るらしい」
「踊る…?」
「今から再生する」
流れ始めた歌とダンスに、ユリウスは顔面蒼白になる。オスカルもテーブルに突っ伏した。
タイムリミットは一ヶ月。逃亡は許されない。
あっという間に当日。
何も知らないクラウスとアンドレは、学園祭のメインステージへ向かっていた。
「今朝、オスカルに『わたしは出かけるが、お前は家にいろ。出たらコロス』って理不尽なこと言われてさ」
「俺なんか『学園祭なんかに行ったら絶交だから』って。酷くねえか?」
なのに、あっさり破る二人である。
「で、どうして俺たち、ここにいるんだ?」
「うーん、特に目的はないけど。せっかくの学園祭だし、一つくらい何か観ようぜ」
たぶん…、虫が知らせたのだ。
「さあ、いよいよラストは、コケティッシュ・エンジェルズの登場で~す」
司会者の声と共に幕が上がった。
「コケティッシュ・エンジェルズぅ? ふざけた名前だぜ」
「何をやるんだろう? 音楽院だから楽器の演奏か、アリア(独唱)かな」
ところが、次の瞬間、彼らの目に飛び込んできたものは…。
「私の胸の鍵を~壊して逃げていった~♬」
目を見開く。驚嘆する。声を飲む。刮目する。(⑤枚目参照)
「WANTED!」
心臓が止まりかける。腰を抜かしそうになる。
何だあのピラピラは? 何だあの超ミニは? 何だあの下着みたいな服は?
何だ、あの女豹の目つきは?
何だあの歌詞は? 口づけ責め?
「願ったり叶ったりだ!」
何だあのセリフは? ある時しゃれた音楽家?
「俺のことか?」
好きよ好きよこんなに好きよ~♬
「俺も大好きだ~っ!!」
そして、男たちが何もできないうちに曲は終盤に差し掛かり…。
さあ、泣いても笑っても、これを叫べばフィニッシュだ。二人の歌姫は息を合わせ、躰を思い切り仰け反らせ、遠くでぼーっと突っ立っている観客へ狙いを定める。
恋泥棒はお前だ! と。
「う~ぉんてっどっっ!!」
それが自分たちの恋人だとは気づかずに。
(つづく)
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2020-09-02 13:49
Comments (6)
まさかのピンクレディ‼ユッフォー!とか友達と真似してました!ユリウスの衣装可愛い😍バックも細かい‼ オスカルさまとユリウス並んでるとこ見たい!って言ったら、めんどくさい!って怒る??( ;∀;)
View Repliesいつも無茶振りなリクエストに応じて下さり、本当にありがとうございます!( 私も見習わなくては💦) ミニSS、素晴らしく〜ピンクレディーの曲の中でもやっぱりこの選曲にしてよかった🤣🤣🤣 本当にお忙しい中、ありがとうございました😳
View Repliesアンドレとクラウスの後ろ姿がツボです。ピンクレディー踊ってほしいっておもったら(笑)WWWWWW本家より人気でる。
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