#夜雀燕楽帳　ゆゆ様とハロウィン

…目が覚めると其処は、見慣れた長屋の天井ではなく　蜘蛛の巣と埃が支配する　知らない天井だった。

薄明かりの中、視界に入るのは…
足元に転がる、綺麗に食べられた魚の骨や顔の書かれた蜜柑。

天井でピカピカと点灯する赤や黄色の光。

そして最も目立つ部屋の中央には、西洋風の墓標…アレは確か十字架か？
(僕の持つ能力により、その物の名前は直ぐにわかるのである。)

その下には、同じく西洋の棺桶⚰が置かれていた。

棺桶⚰(名称　あいつの棺桶⚰。用途　霖ちゃんを捕まえ、引き摺り込むもの。)

…よし！逃げよう！！

僕が世界記録ばりの瞬足のクイックターンで踵を返しドアに体当たりするのと、ほぼ時を同じくして棺桶⚰の蓋が開けられる音がしたッッ

「トリックオアトリック〜〜〜ト‼︎お菓子をくれないと犯しちゃうぞ〜〜ッッ💕…って、逃げないでよ霖ちゃん！！.°(ಗдಗ。)°.っ💦」

「ヴァカめ！！ 誰が待つか！！僕の童貞は絶対にお前にはやらん！！」

「大丈夫っ💕、怖くないから…。ちょっと味見するだけっだからぁ〜っ」

僕は走った!走った‼︎曲がった‼︎登って！！降って！！少し休憩して！！また走った！！

いや、この屋敷広いわ！！
何故か窓は開かないし、後に騒霊の屋敷とかになるんじゃないか！！⁈っ💦

その後、数時間の間ホラーゲーム的追いかけっこをした僕らの結末は、朝方に妖忌老が来るまで続いていた💧💧

妖忌老「うちのゆゆが"また"迷惑掛けた様ですまんな、霖。この始末はまた後日改めて伺うよ。」

未だにジタバタと手足を動かして元気そうに暴れる、あいつを小脇に抱えながら。

妖忌はそう言い残し西の空に旅立って行った…っ💦

こうして僕の童貞はまた今日も守られたのである…。