蒋子文

蒋子文は、三国時代の呉に現れた神です。

後漢末期、秣陵県尉の官職にあった蒋子文は、大変酒好き女好きで軽はずみな性格でした。そして彼は人々に対し「俺の骨は清らかだから、死ねば神になる。」と吹聴してまわっていたようです。
ある日、賊を追って山のふもとに向かったところ返り討ちに遭ってしまい、額に傷を受けて息絶えてしまいました。

孫権が帝位にのぼった頃のこと、蒋子文は神となって現れ、人々に対し自らを祀るよう呼びかけます。しかし孫権はその存在を信用していなかったので、蒋子文は怒り、疫病や火災をもたらして脅しをかけます。ついに孫権も蒋子文の存在を認めるようになり、爵位を与え、廟を立てて土地神として祀るようになりました。これが蒋侯神伝説の始まりであるといわれています。

蒋子文の伝承は捜神記に多く見られますが、晋書をはじめとする中国の歴史書にもたびたび名前が登場します。
時代を経るにつれて、様々な解釈のもとに戦勝の神や国家の守護神のように扱われるようになり、およそ千年にわたって民間を中心に信仰されたようです。