【PFMOH】Gross Eating【不帰の洞窟】

おお―"肉"だ"肉"だ　久方ぶりの"肉"の臭いだ

眼が見えずとも臭う臭う 外気を纏った"肉"の臭い
眼が見えずとも聞こえる聞こえる　慣れぬ岩肌の"肉"の足音

暴れる"肉"が逃げないように 爪をがっちり食い込ませる
舌をべろりと覗かせて　牙で"肉"を貪り喰らう

"肉"を喰らう――困惑 恐怖 苦痛
"肉"を喰らう――苦悶 後悔 絶叫
"肉"を喰らう――懇願 希望 …

ああ―美味だ、美味だ　久方ぶりの"肉"の味

なんでも世の中には"肉"の"殻"を好む生き物もいるらしい
なんとも変わった生き物もいるものよ
あんな血生臭くて脂肪と塊など とても食えたものではない

やはり喰らうは"肉(ﾀﾏｼｲ)"が美味い

そおれ狩りの時間だ
最後に喰らった"肉"の味など とうの昔に忘れたわ

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悪食(Gross Eating)

狼程度の大きさをした黒い影。
針金のように硬い体毛、背からチラチラ覗く興奮の炎を押さえて
不帰の洞窟の中、目を白く光らせ"肉"の到来をじっと待つ。

彼らが喰らうは【恐怖】の感情。
臓物に向かって牙を立てど、獲物の"身体"に傷はつかない。

けれど"中身"を確実に食べていく。
絶命するその瞬間まで、生きながら食われる獲物の恐怖を苦痛を懇願を、美味い美味いと骨の髄までしゃぶり尽くす。

獲物の肉体(ｶﾗ)には興味がなく、外傷の無いただの魂の無い躯のみが岩肌に転がる。
それは奴らが食べた残り滓。

肉に飢えた悪食は次の"肉"を探す。
―ついさっき食べた気もするが、もう忘れてしまったのだから仕方ない。

■pixivファンタジア外伝 Mountain of Heaven【illust/87556705】
■PFMOH第一章「ヘヴンへの道」【illust/88070704】
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