昼の陽気
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昼の陽気に誘われて私は眠くなっていた。
ふと台所でお昼の食器を片付けてくれている姪の方を見る。カチャカチャと食器を片付ける音が部屋に響く。何も言わずとも家事を手伝ってくれる姪はやっぱり良い子だなぁと思う反面無理はしてないと良いなとも思う。
居間に広げていた洗濯物を畳み終え姪を呼んだ。
「侑奏ちゃん」
濡れていた手をタオルで拭き私の元へと駆け寄って来てくれる。洗濯物を畳み終わったのに窓際で座り続ける私を不思議そうに見た。
「どうかしたんですか」
「眠くならない?」
「まあ、お昼ご飯食べたので確かに眠いですけど……」
「じゃあ」
私は寝転がって見せた。部屋に程よく射し込む陽の光やたまに窓から入ってくる風が気持ち良くてすぐにでも眠ってしまいそうだ。
「この時間の昼寝て凄く気持ち良いんだよ」
姪は困り顔を浮かべながらも私の隣に座った。
「はい、寝転がって」
困惑しながらも素直に寝転がってくれる。
「どう?」
「き、気持ち良いです」
なんだかぎこちない姪を不思議に思う。
「どうしたの?」
「なんでもないです」
間近にある姪の顔がなんだか赤いような気がする。でも、体調が悪いようにも見えないから気のせいなのだろうか。
「こう言うの良いね」
「食後すぐに横になるのはあんまり体によくなさそうですけど」
確かに。
「じゃあ、今日は特別て事で」
そう笑いかけると間近にある姪の顔が喉に何かを詰まさせたような表情になった。
「侑奏ちゃんてたまに百面相するよね。ころころ変わって見るのは面白いけど」
「それは亜紀さんの顔が」
「顔が?」
「ち、近いとなんだか…」
姪の言葉はだんだんと小さくなっていって途中からは聞こえなくなってしまった。
ふむ。まあ、確かに姪ももう高校生。年頃の子が叔母と近くで添い寝をするというのはとても恥ずかしくて抵抗があるのだろうか。じゃあ、しょうがないかと離れてあげたい所だけど、それはそれで私が寂しい。
「今日だけだから」とお願いするとなんだか苦そうな表情で目を閉じられた。私に背を向けて寝るか離れるかすれば問題は緩和しそうな気もするけど、そうはしない所がまた可愛いなと思ってしまう。
自慢の姪である彼女が来てから私の生活は変わった。毎日がとても楽しい。なんだか日々が新鮮な事の繰り返しで前のようにただ時間が過ぎていくような感覚は無くなった。自分に娘がいたらこんな感じだったのだろうかと想像する。けど、きっと毎日が楽しいのは姪が侑奏ちゃんだったからで他の誰かならまた違った日常を過ごしていただろう。
だから、大変照れくさい話しだけど姪が侑奏ちゃんで良かったと心から思う。
「ねぇ、侑奏ちゃ」
私は声をかけようとして止めた。
気がつくと何とも気持ち良さそうに眠っていた。疲れてもいたのだろうか。気持ち良さそうに眠る顔を見て私は微かに笑ってしまった。
1人だった私に訪れた心地のよい幸せ。そんな幸せな日々であるからこそいつか来る姪との別れの日を想像してしまう私。高校生活という短い3年間、それが終われば姪はこの家を出て行ってしまう。寂しいと感じてしまうのはやっぱり私の生活にもう姪は欠かせないものになっているからだろう。でも、人は寂しいと想えるから今を大事にしようとも想えるのかもしれない。
目を閉じると簡単に意識が遠のいていく。
外から聞こえる車の音が幻聴のように聞こえ、なんだか世界に姪と2人きりになってしまったようなそんな感覚を覚えてしまう。
微かに聞こえる姪の寝息の心地良さに私の意識は簡単に落ちていくのだった。
次(illust/91047672)
昼の陽気に誘われて私は眠くなっていた。
ふと台所でお昼の食器を片付けてくれている姪の方を見る。カチャカチャと食器を片付ける音が部屋に響く。何も言わずとも家事を手伝ってくれる姪はやっぱり良い子だなぁと思う反面無理はしてないと良いなとも思う。
居間に広げていた洗濯物を畳み終え姪を呼んだ。
「侑奏ちゃん」
濡れていた手をタオルで拭き私の元へと駆け寄って来てくれる。洗濯物を畳み終わったのに窓際で座り続ける私を不思議そうに見た。
「どうかしたんですか」
「眠くならない?」
「まあ、お昼ご飯食べたので確かに眠いですけど……」
「じゃあ」
私は寝転がって見せた。部屋に程よく射し込む陽の光やたまに窓から入ってくる風が気持ち良くてすぐにでも眠ってしまいそうだ。
「この時間の昼寝て凄く気持ち良いんだよ」
姪は困り顔を浮かべながらも私の隣に座った。
「はい、寝転がって」
困惑しながらも素直に寝転がってくれる。
「どう?」
「き、気持ち良いです」
なんだかぎこちない姪を不思議に思う。
「どうしたの?」
「なんでもないです」
間近にある姪の顔がなんだか赤いような気がする。でも、体調が悪いようにも見えないから気のせいなのだろうか。
「こう言うの良いね」
「食後すぐに横になるのはあんまり体によくなさそうですけど」
確かに。
「じゃあ、今日は特別て事で」
そう笑いかけると間近にある姪の顔が喉に何かを詰まさせたような表情になった。
「侑奏ちゃんてたまに百面相するよね。ころころ変わって見るのは面白いけど」
「それは亜紀さんの顔が」
「顔が?」
「ち、近いとなんだか…」
姪の言葉はだんだんと小さくなっていって途中からは聞こえなくなってしまった。
ふむ。まあ、確かに姪ももう高校生。年頃の子が叔母と近くで添い寝をするというのはとても恥ずかしくて抵抗があるのだろうか。じゃあ、しょうがないかと離れてあげたい所だけど、それはそれで私が寂しい。
「今日だけだから」とお願いするとなんだか苦そうな表情で目を閉じられた。私に背を向けて寝るか離れるかすれば問題は緩和しそうな気もするけど、そうはしない所がまた可愛いなと思ってしまう。
自慢の姪である彼女が来てから私の生活は変わった。毎日がとても楽しい。なんだか日々が新鮮な事の繰り返しで前のようにただ時間が過ぎていくような感覚は無くなった。自分に娘がいたらこんな感じだったのだろうかと想像する。けど、きっと毎日が楽しいのは姪が侑奏ちゃんだったからで他の誰かならまた違った日常を過ごしていただろう。
だから、大変照れくさい話しだけど姪が侑奏ちゃんで良かったと心から思う。
「ねぇ、侑奏ちゃ」
私は声をかけようとして止めた。
気がつくと何とも気持ち良さそうに眠っていた。疲れてもいたのだろうか。気持ち良さそうに眠る顔を見て私は微かに笑ってしまった。
1人だった私に訪れた心地のよい幸せ。そんな幸せな日々であるからこそいつか来る姪との別れの日を想像してしまう私。高校生活という短い3年間、それが終われば姪はこの家を出て行ってしまう。寂しいと感じてしまうのはやっぱり私の生活にもう姪は欠かせないものになっているからだろう。でも、人は寂しいと想えるから今を大事にしようとも想えるのかもしれない。
目を閉じると簡単に意識が遠のいていく。
外から聞こえる車の音が幻聴のように聞こえ、なんだか世界に姪と2人きりになってしまったようなそんな感覚を覚えてしまう。
微かに聞こえる姪の寝息の心地良さに私の意識は簡単に落ちていくのだった。
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2021-03-01 12:15
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