【PFMOH】もしやこれが不味いというものか【青の樹海】
ことのきっかけは些細な……
そう、本当に些細なものだったのだ。
『青の樹海』と呼ばれる森林地帯に足を踏み入れてから数日——ヘヴンを目指す3人の冒険者はアウストラを先頭に次いで中衛のウォル、魔術師の定位置として殿のオリガと一列に歩いていた。
戦闘ではこのパーティでの連携にも慣れてきて、あとはこの樹海を抜けるだけとなっていた状況である。
そんなときだ、彼がそれを見つけたのは——
「あれ? ねぇ、なんか落ちてるよ」
隊列の真ん中を歩いていたウォルが指し示す位置には、なんらかの遺跡の痕跡があった。
その手前では、仄暗い樹海のわずかな光を反射する、異様な鉄の塊があるのだ。
3人でその場に近づき、今では見る影もないほど荒れ果てた遺跡を確認する。
石碑には古代文字が刻まれているようだが、全体が掠れてしまって読めたものではない。
遺跡の確認は諦めて、ウォルは目的である鉄の塊を拾い上げる。
「……何コレ?」
土にまみれたそれはまるで羊皮紙のような薄さだが、硬質で形自体はしっかりしたものだった。
「……『数字板』と呼ばれる道具のようだな」
首を傾げるウォルの疑問に答えたのは、アウストラだった。
「魔力を流し込むことによって乗騎用ゴーレムを呼び出すものだそうだ。古代の遺産らしくそれなりに価値があると聞く」
「マジすか。じゃあどっかで商人に会ったら売った方がいいすかね?」
「いや……無理だな」
抑揚の少ない声音で提案を上げるオリガに、アウストラは静かに首を横に振る。そして、ウォルの手にある鉄の板を指さした。
「……欠けている。これでは売るどころか召喚も不可能だろう」
「えぇーっ、そうなの⁉︎ 乗騎用ゴーレムって見たことないから残念だなあ」
重ねた年月の長さ故か、その『数字板』は半分以上が形を失っている。
ウォルはため息を漏らすと、落としていた腰を持ち上げた。
「まあ、いいか。それじゃ先に行こうよ」
「そうすね」
「うむ」
三者三様に頷き、その場から離れるため足を動かす。
そんな時だ——
ウォルの踏み出したのとは逆の足……自重を支える唯一の柱の真下で、砂利の滑る音がした。
「えっ」
バランスを崩した彼の体は大きく傾き、手にしていた『欠けた数字版』は空中へと飛び出す。
それは青い光を受ける樹木にぶつかり、誰も予想だにしなかった方向へと飛ぶ。
「——む?」
アウストラの正面に回り込んだソレは、まるで誘われるかのように甲冑の隙間に滑り込み——
すぽっ
——入り込んだ。
「あ……」
その一部始終をしっかりと見ていたオリガだけが、そんな声を上げた。
——直後、異変は起こった。
アウストラの鋼の身体が、突如として青白い強烈な光に包まれる。
誰もが言葉を失い、見守るしかできないまま数秒の時が過ぎた。
——やがて謎の光が消え去ると、そこには新たな姿となった『彼』がいた。
普段とは真逆の横に伸びた体躯。頭部らしき部位から飛び出したハンドル。前後に並ぶ二つの車輪。どう考えても人型とは思えない姿を前にして、沈黙が落ちる。
「……解せん」
その空気に耐えきれなかったのか、はたまた自分のに起きた現象を受け入れがたかったのか、珍しく不機嫌そうなアウストラの声は『ブロロン』というエンジン音とともに樹海に響いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
番外編です。
すいません。
いろいろホントにすいません。
手に入れた『欠けた数字板』によってアウストラさんのトランスフォームが可能になりました。
身体の中にある『欠けた数字板』を抜き取ることで元の姿に戻れます。
もしかしたら、味がするのかもしれません…
ウォルは「カッケーーーー⁉︎ 乗せて乗せて!」と6歳児丸出しの反応を見せます。
運転は割と簡単なのですぐ覚えました。
時系列は特に設定してないので、もしかしたらどこかで乗り回してるかもしれません。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
お借りしました!
アウストラさん[illust/87722027]!
オリガさん[illust/87720359]!
こちらのアイテムがベースです
数字板[illust/88330713]
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ご報告などありましたら、メッセージへお願いします。
そう、本当に些細なものだったのだ。
『青の樹海』と呼ばれる森林地帯に足を踏み入れてから数日——ヘヴンを目指す3人の冒険者はアウストラを先頭に次いで中衛のウォル、魔術師の定位置として殿のオリガと一列に歩いていた。
戦闘ではこのパーティでの連携にも慣れてきて、あとはこの樹海を抜けるだけとなっていた状況である。
そんなときだ、彼がそれを見つけたのは——
「あれ? ねぇ、なんか落ちてるよ」
隊列の真ん中を歩いていたウォルが指し示す位置には、なんらかの遺跡の痕跡があった。
その手前では、仄暗い樹海のわずかな光を反射する、異様な鉄の塊があるのだ。
3人でその場に近づき、今では見る影もないほど荒れ果てた遺跡を確認する。
石碑には古代文字が刻まれているようだが、全体が掠れてしまって読めたものではない。
遺跡の確認は諦めて、ウォルは目的である鉄の塊を拾い上げる。
「……何コレ?」
土にまみれたそれはまるで羊皮紙のような薄さだが、硬質で形自体はしっかりしたものだった。
「……『数字板』と呼ばれる道具のようだな」
首を傾げるウォルの疑問に答えたのは、アウストラだった。
「魔力を流し込むことによって乗騎用ゴーレムを呼び出すものだそうだ。古代の遺産らしくそれなりに価値があると聞く」
「マジすか。じゃあどっかで商人に会ったら売った方がいいすかね?」
「いや……無理だな」
抑揚の少ない声音で提案を上げるオリガに、アウストラは静かに首を横に振る。そして、ウォルの手にある鉄の板を指さした。
「……欠けている。これでは売るどころか召喚も不可能だろう」
「えぇーっ、そうなの⁉︎ 乗騎用ゴーレムって見たことないから残念だなあ」
重ねた年月の長さ故か、その『数字板』は半分以上が形を失っている。
ウォルはため息を漏らすと、落としていた腰を持ち上げた。
「まあ、いいか。それじゃ先に行こうよ」
「そうすね」
「うむ」
三者三様に頷き、その場から離れるため足を動かす。
そんな時だ——
ウォルの踏み出したのとは逆の足……自重を支える唯一の柱の真下で、砂利の滑る音がした。
「えっ」
バランスを崩した彼の体は大きく傾き、手にしていた『欠けた数字版』は空中へと飛び出す。
それは青い光を受ける樹木にぶつかり、誰も予想だにしなかった方向へと飛ぶ。
「——む?」
アウストラの正面に回り込んだソレは、まるで誘われるかのように甲冑の隙間に滑り込み——
すぽっ
——入り込んだ。
「あ……」
その一部始終をしっかりと見ていたオリガだけが、そんな声を上げた。
——直後、異変は起こった。
アウストラの鋼の身体が、突如として青白い強烈な光に包まれる。
誰もが言葉を失い、見守るしかできないまま数秒の時が過ぎた。
——やがて謎の光が消え去ると、そこには新たな姿となった『彼』がいた。
普段とは真逆の横に伸びた体躯。頭部らしき部位から飛び出したハンドル。前後に並ぶ二つの車輪。どう考えても人型とは思えない姿を前にして、沈黙が落ちる。
「……解せん」
その空気に耐えきれなかったのか、はたまた自分のに起きた現象を受け入れがたかったのか、珍しく不機嫌そうなアウストラの声は『ブロロン』というエンジン音とともに樹海に響いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
番外編です。
すいません。
いろいろホントにすいません。
手に入れた『欠けた数字板』によってアウストラさんのトランスフォームが可能になりました。
身体の中にある『欠けた数字板』を抜き取ることで元の姿に戻れます。
もしかしたら、味がするのかもしれません…
ウォルは「カッケーーーー⁉︎ 乗せて乗せて!」と6歳児丸出しの反応を見せます。
運転は割と簡単なのですぐ覚えました。
時系列は特に設定してないので、もしかしたらどこかで乗り回してるかもしれません。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
お借りしました!
アウストラさん[illust/87722027]!
オリガさん[illust/87720359]!
こちらのアイテムがベースです
数字板[illust/88330713]
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ご報告などありましたら、メッセージへお願いします。
14
21
650
2021-03-13 03:36
Comments (0)
No comments