双子のヒューマロイド
生まれた時からずっと一緒だった、佳織と彩織。
幼稚園も小学校も、中学も高校も、そして大学も同じ。
けれども、大学4年の時に起きた些細な不運が、2人の就職先を分けてしまった。
しばらくの間は、その悲しみに打ちひしがれていた2人。だが、
「しょうがないよ。お互いに頑張ろう、彩織」
「うん。ずっと離れ離れになるわけじゃないからね、佳織」
2人は気持ちを切り替えて、それぞれの新天地で仕事にいそしんでいた。
そんな折、2人はそれぞれの職場で、労働補助型ロボット・ヒューマロイドとなるための改造手術を勧められる。業界最大手の同業他社がヒューマロイドを積極的に導入していることから、ウチも負けてはいられない……会社にはそんな思惑があった。
もともと、ヒューマロイドに興味のあった2人は、会社からの勧奨を受けることにした。
だが、お互いにそのことを相手には伝えなかった。
「私がヒューマロイドになったら、きっと驚くだろうなあ」
そんな悪戯心を、お互いに秘めていたから。
時は流れ、いよいよ手術当日。
2人は相手に行き先を告げずに改造手術を受け、同日同刻にヒューマロイドとして起動した。
これから始まる新たな日々に、そして、相手の驚く顔を楽しみにしながら、2人は帰路に就いた。
そうして、お互いに顔を合わせた時、2人の顔に一瞬だけ驚きが浮かび……一瞬で消えた。
『PDS103LCPー0123KSの認証登録が完了しました』
『EXS380CSG-0124SSの認証登録が完了しました』
感情の消えた顔を向かい合わせ、同じ響きを備えた電子音声がそれぞれの口から淡々と流れた後、何事もなかったかのように、2人は驚きの表情を見せた。
『……えっ? PDS103LCPー0123KSもヒューマロイドになったの!?』
『私だって、EXS380CSG-0124SSがヒューマロイドになるなんて知らなかったよ!』
そして2人は、それぞれの職場のイメージカラーに彩られたボディスーツ(それは「外皮」と呼ばれ、ヒューマロイドにとっての皮膚のようなものである)を見つめ、珍しそうに互いの体に触れあった後、声を上げて笑い合った。
相手のことを、名前ではなく、固有識別番号で自然と呼び合っていることに気づかずに。
幼稚園も小学校も、中学も高校も、そして大学も同じ。
けれども、大学4年の時に起きた些細な不運が、2人の就職先を分けてしまった。
しばらくの間は、その悲しみに打ちひしがれていた2人。だが、
「しょうがないよ。お互いに頑張ろう、彩織」
「うん。ずっと離れ離れになるわけじゃないからね、佳織」
2人は気持ちを切り替えて、それぞれの新天地で仕事にいそしんでいた。
そんな折、2人はそれぞれの職場で、労働補助型ロボット・ヒューマロイドとなるための改造手術を勧められる。業界最大手の同業他社がヒューマロイドを積極的に導入していることから、ウチも負けてはいられない……会社にはそんな思惑があった。
もともと、ヒューマロイドに興味のあった2人は、会社からの勧奨を受けることにした。
だが、お互いにそのことを相手には伝えなかった。
「私がヒューマロイドになったら、きっと驚くだろうなあ」
そんな悪戯心を、お互いに秘めていたから。
時は流れ、いよいよ手術当日。
2人は相手に行き先を告げずに改造手術を受け、同日同刻にヒューマロイドとして起動した。
これから始まる新たな日々に、そして、相手の驚く顔を楽しみにしながら、2人は帰路に就いた。
そうして、お互いに顔を合わせた時、2人の顔に一瞬だけ驚きが浮かび……一瞬で消えた。
『PDS103LCPー0123KSの認証登録が完了しました』
『EXS380CSG-0124SSの認証登録が完了しました』
感情の消えた顔を向かい合わせ、同じ響きを備えた電子音声がそれぞれの口から淡々と流れた後、何事もなかったかのように、2人は驚きの表情を見せた。
『……えっ? PDS103LCPー0123KSもヒューマロイドになったの!?』
『私だって、EXS380CSG-0124SSがヒューマロイドになるなんて知らなかったよ!』
そして2人は、それぞれの職場のイメージカラーに彩られたボディスーツ(それは「外皮」と呼ばれ、ヒューマロイドにとっての皮膚のようなものである)を見つめ、珍しそうに互いの体に触れあった後、声を上げて笑い合った。
相手のことを、名前ではなく、固有識別番号で自然と呼び合っていることに気づかずに。
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2021-09-25 17:49
Comments (6)
这篇可以出文啊能看到不啊
View Replies一枚目のどうやって作ってるんですか?(いまいちわからなくて)
View Replies一枚目が本当に素敵でかわいいですー
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