金カム時代ノオト3　陸海軍人の喪章について【資料】

実は今回の原稿、今ＵＰすべきか悩みました。本誌の現在(第292話)の展開と変に結び付けて欲しくはなかったので。でも2週間後の展開もどうなるか判らないので、ますます出し辛い事になっても…と思い、ＵＰする事にしました。
このテーマは個人的に服装史を調べていて派生したネタであって、金カム本編にこういったシーンが出てくると予想している訳ではないし、出て欲しくは無いですね。

さて、こうして起源を辿っていくと、喪章と言うものが洋装と連動した官製であって自然発生したものではない事が判ります。
そこで今回の豆知識は、「洋装化」です！！
洋装化が定着する歴史は民間人からではなく官員・軍隊・官立学校から始まりました。そもそも洋服を仕立てられる店が明治4年頃までは国内にありませんでしたし、国産素材もありませんでした（大河ドラマは明治2年であんなにパリっとした襟のシャツや身体にフィットしたコートを簡単に着てますが、そこのところちょっとフィクションですね。日常的に洋服で出仕していいという規定も本当は明治4年以降です）。
民間人の場合、東京大阪あたりは明治30年頃で服装は和洋半々といったところです。農村部では昭和前半まではまだまだ和装の方が主流でした。
大喪儀の写真に出てくるような大礼服に至っては、やたら高価だし仕立てられる店が少ないしで、公務員さえ中々作りたがりませんでした。国が公務員のお尻を叩いて叩いてやっとあそこまで揃ったのです。

（その他）
※「靹（とも）」について…5ページ目に出てくる靹（とも）はこの場合、恐らく護拳（鍔の輪っかの部分）の事だと考えられます。
※喇叭譜について…譜面はすべて古い教本から譜面アプリで直しましたが、引用本の画像ノイズが酷くて、細かい記号などが正確ではないかも知れないです。
それから、同じタイトルの曲でも、唱歌と喇叭譜では全く別のメロディーだったりします。喇叭は５音階しかないので、唱歌を吹くことはできないのです。「命を捨てて」は作中では鼓笛譜の方を紹介しましたが、喇叭譜の「命を捨てて」も存在します。何故作中で「命を捨てて」の喇叭譜でなはく鼓笛譜を紹介したかというと、まず「命をすてて」の喇叭譜は明治30年の教本と明治41年の教本でまったく異なる曲である事と、明治30年の喇叭譜の元画像の状態が悪くて正確に再現する自信が無かったからです。

2022.09.29追記
安倍元総理の国葬儀、儀仗隊目当てで序盤の中継映像を見たのですが、折角の刀礼シーンが後ろ向きで良く判らなかった…肩刀の人が一人見えたけどあっという間に走り去った…ホント一瞬でした…

2023.5.2追記
実は『ヲーシャン』の事が判明しました。金カムノオトシリーズ12-2で楽譜を公開中です！