「国境のエミーリャ」の世界の十月革命口エレクトリーチカ
以前描いた「国境のエミーリャ」の作品illust/92161978のアンケートで一番多かった115系風とソ連製の大幹線のエレクトリーチカを描いてみました。
池田邦彦氏の漫画「国境のエミーリャ」の第8話「暴走エレクトリーチカ」は、大幹線(広軌化された東北本線)の近郊電車が舞台となり、登場した電車を1.5/80スケールで描いてみました。
下段が劇中の舞台となったエレクトリーチカで、イギリスから東側に亡命してきたテロリスト、ボブ・ヘイドン(ジョン・ル・カレ原作の映画「裏切りのサーカス」の登場人物ビル・ヘイドンが元ネタと思われます)に爆弾を仕掛けられ、時速70km以下になると爆発するという、映画「新幹線大爆破」のオマージュのような展開に巻き込まれました。車両自体は前作で描いたЭР1形譲りのオーソドックスなエレクトリーチカです。単行本2巻の解説では交流用のЭР9形が大幹線に導入されていると解説されていましたが、ЭР9形は2ドアに対し、劇中では3扉の大型車体で、明らかに直流3000V用のЭР10形がモデルになっています。このЭР10形は史実では出力不足から8編成のみの製造に終わり、出力強化型のЭР20形が計画されたものの実現せず、車体デザインを一新したЭР22形が製造されました。劇中のエレクトリーチカは前面にЭР21-011(ЭР21形の第11編成)と記入されており、ЭР20形とЭР22形の中間の形式で史実では登場しなかったЭР10形の改良型と推察できます。
ЭР10形は4M4Tの8両編成ですがЭР21形はパンタグラフ搭載車が2両の6両編成であり、パンタグラフのない先頭車にもモーターが搭載されている描写があることから、ЭР10形の出力不足を解消すべく制御電動車と中間電動車でMMユニットを組んだ4M2Tの6両編成のエレクトリーチカと推測できます。車両番号はwikipediaのЭР10形のページにあった附番規則を参考にしましたが、日本人向けであることから、ソ連式の型式番号に加えて、かつての進駐軍専用客車のように日本式のクモハ、モハ、サハがつけられていると考えてみました。
上段は劇中の車両基地のシーン(2巻87ページ)の2コマのみに登場する115系風のエレクトリーチカです。詳細は前面の下半分しかでておらず、殆ど想像でЭР21形をもとに再現してみました。実車にもЭР115と形式が書いてありますが、ЭРとは「リガ車両工場製の電車」という意味ですが、おそらく劇中の人民鉄道では電車を意味する記号として車両形式に用いられているのではないかと思われます。ЭР1形をはじめとするソ連のエレクトリーチカには運転台の後ろにトイレが設置されていますが、国鉄の近郊形に合わせて先頭車の連結面にトイレが付いている設定にしてみました。ЭР21形にあわせて先頭車もクモハにしてMMユニットにし、パンタグラフも霜取り用を合わせて2基搭載してみました。扉配置も115系風にしてみましたが、これはЭР10形の配置だと扉間が長くなりすぎたために西側の国鉄111系をヒントにしたと想定しました。また、前面の塗り分けは115系と異なり、金太郎塗り分けとなっていますが、大幹線のエレクトリーチカには80系がモデルになっている車両もあり、前面の塗り分けは80系のものを踏襲しました。窓配置は見た目を優先して窓の間隔を狭めにしてみましたが、これは通勤輸送を重視してクロスシート幅を近鉄2600系並に狭いものにしたためと理由を後付けしました。ちなみに、このシートピッチは利用客からは不評で、後にЭР1形の1600mmに改造され、増備車は当初からこのシートピッチになると共に窓の配置が変更されている設定にしました。「国境のエミーリャ」の舞台は1962年で、史実の115系は高崎線、東北本線上野口向けに1963年1月に登場したので、史実よりも早い登場となりました。
また、両車とも、運転台の後ろに星とレール断面を組み合わせたマークがありますが、これはtwitterで見つけた台東人@福爾摩沙鐵路局(ふぉるもさてつろきょく)氏(https://twitter.com/Taidongren)が作成された、日本人民共和国交通建設省鉄道部の地紋(https://twitter.com/Taidongren/status/1284077770058764288)を元にしました。
これらの電車は大幹線の十月革命駅(旧・上野駅)に発着する近郊電車に活躍し、ソ連のエレクトリーチカ同様長距離運賃に比べて割安な運賃で利用できます。リガ車両工場製のエレクトリーチカは日本人から「古漬けきゅうり」というニックネームがつけられています。東側にはソ連からダーチャ(都市住民向けの貸別荘)文化が持ち込まれ、宇都宮市には週末になると東トウキョウの市民が野菜作りに過ごしに来るダーチャが多数あり、エレクトリーチカは東トウキョウ市民のダーチャへの足にもなっています。
参考
国境のエミーリャ2 池田邦彦 小学館
写真で楽しむ世界の鉄道 ヨーロッパ4 沢野周一,星晃 交友社
https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%AD%D0%A010
https://ja.wikipedia.org/wiki/ソ連運輸省ER22形電車
https://twitter.com/Taidongren/status/1284077770058764288
池田邦彦氏の漫画「国境のエミーリャ」の第8話「暴走エレクトリーチカ」は、大幹線(広軌化された東北本線)の近郊電車が舞台となり、登場した電車を1.5/80スケールで描いてみました。
下段が劇中の舞台となったエレクトリーチカで、イギリスから東側に亡命してきたテロリスト、ボブ・ヘイドン(ジョン・ル・カレ原作の映画「裏切りのサーカス」の登場人物ビル・ヘイドンが元ネタと思われます)に爆弾を仕掛けられ、時速70km以下になると爆発するという、映画「新幹線大爆破」のオマージュのような展開に巻き込まれました。車両自体は前作で描いたЭР1形譲りのオーソドックスなエレクトリーチカです。単行本2巻の解説では交流用のЭР9形が大幹線に導入されていると解説されていましたが、ЭР9形は2ドアに対し、劇中では3扉の大型車体で、明らかに直流3000V用のЭР10形がモデルになっています。このЭР10形は史実では出力不足から8編成のみの製造に終わり、出力強化型のЭР20形が計画されたものの実現せず、車体デザインを一新したЭР22形が製造されました。劇中のエレクトリーチカは前面にЭР21-011(ЭР21形の第11編成)と記入されており、ЭР20形とЭР22形の中間の形式で史実では登場しなかったЭР10形の改良型と推察できます。
ЭР10形は4M4Tの8両編成ですがЭР21形はパンタグラフ搭載車が2両の6両編成であり、パンタグラフのない先頭車にもモーターが搭載されている描写があることから、ЭР10形の出力不足を解消すべく制御電動車と中間電動車でMMユニットを組んだ4M2Tの6両編成のエレクトリーチカと推測できます。車両番号はwikipediaのЭР10形のページにあった附番規則を参考にしましたが、日本人向けであることから、ソ連式の型式番号に加えて、かつての進駐軍専用客車のように日本式のクモハ、モハ、サハがつけられていると考えてみました。
上段は劇中の車両基地のシーン(2巻87ページ)の2コマのみに登場する115系風のエレクトリーチカです。詳細は前面の下半分しかでておらず、殆ど想像でЭР21形をもとに再現してみました。実車にもЭР115と形式が書いてありますが、ЭРとは「リガ車両工場製の電車」という意味ですが、おそらく劇中の人民鉄道では電車を意味する記号として車両形式に用いられているのではないかと思われます。ЭР1形をはじめとするソ連のエレクトリーチカには運転台の後ろにトイレが設置されていますが、国鉄の近郊形に合わせて先頭車の連結面にトイレが付いている設定にしてみました。ЭР21形にあわせて先頭車もクモハにしてMMユニットにし、パンタグラフも霜取り用を合わせて2基搭載してみました。扉配置も115系風にしてみましたが、これはЭР10形の配置だと扉間が長くなりすぎたために西側の国鉄111系をヒントにしたと想定しました。また、前面の塗り分けは115系と異なり、金太郎塗り分けとなっていますが、大幹線のエレクトリーチカには80系がモデルになっている車両もあり、前面の塗り分けは80系のものを踏襲しました。窓配置は見た目を優先して窓の間隔を狭めにしてみましたが、これは通勤輸送を重視してクロスシート幅を近鉄2600系並に狭いものにしたためと理由を後付けしました。ちなみに、このシートピッチは利用客からは不評で、後にЭР1形の1600mmに改造され、増備車は当初からこのシートピッチになると共に窓の配置が変更されている設定にしました。「国境のエミーリャ」の舞台は1962年で、史実の115系は高崎線、東北本線上野口向けに1963年1月に登場したので、史実よりも早い登場となりました。
また、両車とも、運転台の後ろに星とレール断面を組み合わせたマークがありますが、これはtwitterで見つけた台東人@福爾摩沙鐵路局(ふぉるもさてつろきょく)氏(https://twitter.com/Taidongren)が作成された、日本人民共和国交通建設省鉄道部の地紋(https://twitter.com/Taidongren/status/1284077770058764288)を元にしました。
これらの電車は大幹線の十月革命駅(旧・上野駅)に発着する近郊電車に活躍し、ソ連のエレクトリーチカ同様長距離運賃に比べて割安な運賃で利用できます。リガ車両工場製のエレクトリーチカは日本人から「古漬けきゅうり」というニックネームがつけられています。東側にはソ連からダーチャ(都市住民向けの貸別荘)文化が持ち込まれ、宇都宮市には週末になると東トウキョウの市民が野菜作りに過ごしに来るダーチャが多数あり、エレクトリーチカは東トウキョウ市民のダーチャへの足にもなっています。
参考
国境のエミーリャ2 池田邦彦 小学館
写真で楽しむ世界の鉄道 ヨーロッパ4 沢野周一,星晃 交友社
https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%AD%D0%A010
https://ja.wikipedia.org/wiki/ソ連運輸省ER22形電車
https://twitter.com/Taidongren/status/1284077770058764288
34
44
2077
2021-10-15 00:27
Comments (2)
実はЭР-1系にもトイレは設置されてます。先頭車の運転室デッキと客用デッキの間のスペースで、編成中計2箇所となります。ただ数が少なすぎると不評だったためЭР-2に改良する際に中間車(サハ)にも設置され2両に一箇所の割合に。後にЭР-1も更新の際にトイレ増設されているそうです。
View Replies