先遣隊、前へ!
支隊長テュア・オルディエンス指揮下の駐屯地。そこは3つの街道が交錯する交通の要衝であると共に最短距離でフェスティラントへ至る『ローレライの門』への通り道でもあった。
数カ月前の攻勢で3国合わせて約1000人の死傷者を出した連合国は防御の堅い正面攻撃を避け、側面後方よりの攻撃を選択した。だが・・・。
兵数の都合上守備兵の配置は出来ないが、テュア上級大佐以下支隊幹部には側道迂回策などお見通しであり、側道各所で岩盤を崩落させたり、鋼鉄製の障害物を設置したりして、連合国の侵攻を大幅に遅れさせていた。
しかも、側道は微妙な道幅であり戦車1両ならば十分通過出来るが、2両同時となると、途端につかえてしまう。故にエスターライヒとフランシアの戦車は仲良く1列になって前進しなければならない。
各所に設置された障害物を除去しながらの前進は困難を極め、時間だけが悪戯に過ぎてゆく。
小高い丘の上に茂る林の中でその様子をジッと見つめる竜騎士達。
イレーナ・ファン・デル・ヘルダー正規軍中佐(23)「へへっ、あいつ等イイ感じに罠に引っかかってんじゃん。コイツは命(タマ)頂くチャンスだな。しかも、ご丁寧に真ん中にいる奴等エスターライヒとフランシアの将官じゃん。こいつは殺(や)るっきゃねェな」
アメリア・ファン・デル・ヘルダー正規軍大尉(21)「もう。姉さんったら。私達先遣隊の役目は少しでも早くオルディエンス支隊の援軍に入る事です。お役目お忘れですの?前線で命令違反を犯したら絞首刑か斬首刑。お尻だけでなく頭も軽い姉さんだから軍法までお忘れになられたかしら?」
イレーナ「はい、はい。セシリアちゃんは相変わらず硬ェなァ〜。前線では状況が瞬時に変化する。臨機応変にやんなきゃダメよォ〜」
アメリア「それはそうですが。でも、私達の旗下部隊は軽種竜騎士300のみ。敵はパイク兵や銃兵まで揃っていますし戦車まで持っています。ですから、今少し様子を見ては?」
イレーナ「はあ?ダメダメ!戦には戦機ってモンがあんの!敵の本隊が油断してる今がその時なの。一気に丘を下り逆落しで強襲!」
アメリア「う〜ん。分かりました。この部隊の指揮官は姉さんですからご命令には従います。ですが、もし、失敗すればネルトリンゲン伯爵少将からお叱りを・・・」
イレーナ「大丈夫、大丈夫。あたしの指示に従って動けばノー問題よ!それとも、セシリア。あんた、ネルトリンゲンの野郎が怖いんか?」
アメリア「わっ、分かりました。只今より、姉、じゃなかった分遣隊長殿の指示に従い敵本隊への強襲を敢行する。皆、突撃直前まで得物は抜かず、魔力値を最小限まで落しておいて!」
敵本隊。
ロタリンギア公の甥ジャン「ふぅ〜ふぅ〜疲れたでしゅ。やはり半年ぶりに歩くと体が重いれしゅ。今、フェスティラントのゴミ共が砦を築いている土地。伯父上はこの私に与えると言って下さったのでしゅ。エスターライヒのゴイセントロープ中将とフランシアのペールダール少将は余りヤル気がなさそうでしゅが、今回の出陣、伯父上直々の御指示である事をお2人共お忘れ無き様。のほほほほ」
ゴイセントロープ「左右がこれだけ切立った崖だと落石や落木だけでもかなりの損害を受けてしまうぞ。それにこの急角度では戦車の砲身俯角を超えてしまう。これでは戦車を連れてきた意味がない」
ペールダール「道が狭過ぎて早期に大軍が通行するには非常に不利な地形だ。敵に何本か楔を打ち込まれたら全滅すらあり得るぞ」
※今回は交流させて頂いている月光竜さんの作品世界を元に作画、設定させて頂いております。
ありがとうございます。
※今年の投稿はこれで最後になると思います。
今年1年お付き合い下さりありがとうございました!
数カ月前の攻勢で3国合わせて約1000人の死傷者を出した連合国は防御の堅い正面攻撃を避け、側面後方よりの攻撃を選択した。だが・・・。
兵数の都合上守備兵の配置は出来ないが、テュア上級大佐以下支隊幹部には側道迂回策などお見通しであり、側道各所で岩盤を崩落させたり、鋼鉄製の障害物を設置したりして、連合国の侵攻を大幅に遅れさせていた。
しかも、側道は微妙な道幅であり戦車1両ならば十分通過出来るが、2両同時となると、途端につかえてしまう。故にエスターライヒとフランシアの戦車は仲良く1列になって前進しなければならない。
各所に設置された障害物を除去しながらの前進は困難を極め、時間だけが悪戯に過ぎてゆく。
小高い丘の上に茂る林の中でその様子をジッと見つめる竜騎士達。
イレーナ・ファン・デル・ヘルダー正規軍中佐(23)「へへっ、あいつ等イイ感じに罠に引っかかってんじゃん。コイツは命(タマ)頂くチャンスだな。しかも、ご丁寧に真ん中にいる奴等エスターライヒとフランシアの将官じゃん。こいつは殺(や)るっきゃねェな」
アメリア・ファン・デル・ヘルダー正規軍大尉(21)「もう。姉さんったら。私達先遣隊の役目は少しでも早くオルディエンス支隊の援軍に入る事です。お役目お忘れですの?前線で命令違反を犯したら絞首刑か斬首刑。お尻だけでなく頭も軽い姉さんだから軍法までお忘れになられたかしら?」
イレーナ「はい、はい。セシリアちゃんは相変わらず硬ェなァ〜。前線では状況が瞬時に変化する。臨機応変にやんなきゃダメよォ〜」
アメリア「それはそうですが。でも、私達の旗下部隊は軽種竜騎士300のみ。敵はパイク兵や銃兵まで揃っていますし戦車まで持っています。ですから、今少し様子を見ては?」
イレーナ「はあ?ダメダメ!戦には戦機ってモンがあんの!敵の本隊が油断してる今がその時なの。一気に丘を下り逆落しで強襲!」
アメリア「う〜ん。分かりました。この部隊の指揮官は姉さんですからご命令には従います。ですが、もし、失敗すればネルトリンゲン伯爵少将からお叱りを・・・」
イレーナ「大丈夫、大丈夫。あたしの指示に従って動けばノー問題よ!それとも、セシリア。あんた、ネルトリンゲンの野郎が怖いんか?」
アメリア「わっ、分かりました。只今より、姉、じゃなかった分遣隊長殿の指示に従い敵本隊への強襲を敢行する。皆、突撃直前まで得物は抜かず、魔力値を最小限まで落しておいて!」
敵本隊。
ロタリンギア公の甥ジャン「ふぅ〜ふぅ〜疲れたでしゅ。やはり半年ぶりに歩くと体が重いれしゅ。今、フェスティラントのゴミ共が砦を築いている土地。伯父上はこの私に与えると言って下さったのでしゅ。エスターライヒのゴイセントロープ中将とフランシアのペールダール少将は余りヤル気がなさそうでしゅが、今回の出陣、伯父上直々の御指示である事をお2人共お忘れ無き様。のほほほほ」
ゴイセントロープ「左右がこれだけ切立った崖だと落石や落木だけでもかなりの損害を受けてしまうぞ。それにこの急角度では戦車の砲身俯角を超えてしまう。これでは戦車を連れてきた意味がない」
ペールダール「道が狭過ぎて早期に大軍が通行するには非常に不利な地形だ。敵に何本か楔を打ち込まれたら全滅すらあり得るぞ」
※今回は交流させて頂いている月光竜さんの作品世界を元に作画、設定させて頂いております。
ありがとうございます。
※今年の投稿はこれで最後になると思います。
今年1年お付き合い下さりありがとうございました!
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2021-12-29 23:49
Comments (16)
お疲れ様でございます。すごい描写に設定に驚いています。来年も是非お願いいたします。
View Replies強キャラ感満載😵😵😵
View Repliesお疲れ様です!! 一枚の紙に込められたキャラクターの数と戦況の描写が圧巻です!! やや脳筋気味な姉と真面目な妹による竜騎士姉妹、彼女達は無事にオルディンス隊に合流できるのかっ!? 本年もお世話になりました、来年も宜しくお願いいたします。
View Replies数百年後モルヒネ空軍国家元帥「やはり堅牢なトカゲ国家の攻略は陸のアホ共には厳しいだろう、ここは世界最強のエスターライヒ空軍が空から、飛龍という中世の遺物共を蹴散らし、降下猟兵とマムートやギガントで輸送した空挺戦車で攻略してやろう。
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