私はお前から消えたりはしない。

わかっているんだろう！？何も治ってなんかいないんだ！あの頃の私は、お前の身体から消えたりはしない！小さくもならない！薄く霞んだりもしない！ただあの時の私の姿のまま、お前の身体を揺さぶり続けるんだよ！声が聞こえるだろう！？姿が見えるだろう！？手が動くだろう！？足が動くだろう！？身体が傾くだろう！？「無意識」で片付けているだろう！？何が無意識だ！その声は私だ！見えているのは私だ！その手足を動かしているのも私だ！前庭を乱しているのも私だ！あの頃の私だ！薬は飲んだか？カウンセリングは受けたか！？悪夢は見たか！？金縛りには遭ったか！？押し入れに隠れたか！？しつこい教師から逃れようともがいたか！？マンションの９階に住んでいる事を、有り難く思ったかい！？
死を、考えたか！？あの海辺の光景を思い出すか！？どれも随分とご無沙汰のようだな！それで、完治したとでも思った
かい！？血が滲んでも、首の後ろを掻き続けるのは何故だ！？今持っている全ての物を、バラバラにしたいと思ってしま

うのは何故だ！？築いた交友関係を、一気に崩してしまいたいと思ってしまうのは何故だ！？自分の事が、嫌いで嫌いで

嫌いで嫌いで嫌いで仕方ないのは何故だい！？いっその事、気が狂ってしまいたいと思うのは何故だい！？私は決してお

前から離れない！お前は決して私から逃れられない！お前が薬を飲まないというのなら、私が代わりに飲んでやろう！悪

夢に唸されてやろう！金縛りに遭ってやろう！人という人を、心の底から恐れてやろう！手首を切ってやろう！駅のホー

ムから、落ちてやろう！大音量をイヤホンから流して、目を瞑ったまま、自転車で大通りの脇を運転してやろう！首を掻

きむしり続けてやろう！洗剤を混ぜてやろう！マンションから落ちてやろう！全てを壊してやろう！全てを絶ち切ってや

ろう！人を殺してやろう！だが、安心しろ。お前は死なない！お前も私も、死ぬ勇気なんてものは持っていないのだから

！なあに、恐れることは無い。仲良くやっていこうぜ。上手くやれるさ。これからもよろしくな。