Attractive
8歳でクラエス家の養子になり其処から専属の使用人が身の回りの世話をしてくれる生活が始まった。僕の日々の生活は全てにおいて真逆になり、義父さんと義母さんは本当の息子のように接してくれて使用人達も優しく、そして義姉さんのスキンシップは、幼い僕には過激すぎるほどに刺激的だった。
数ヶ月生活をしていて気付いたのは、義姉さんはかなり規格外の令嬢であり、一般的な貴族のマナーは頭に入っているはずなのに意識が別のものに興味を持っていかれると途端に奇天烈な行動を取ってしまい、その度に義母さんが目眩を起こして寝込むというのがお決まりの展開になっているという事だ。
養子として両親の期待に沿えれるよう努力をするのは勿論だけれど、義姉さんのフォローが出来るように僕は何でも自分で出来る紳士にならなければと使用人には最低限の世話だけをお願いするようになった。
10歳くらいになると体型も少々変化し、背もいつの間にか追い越して服装も少しだけ大人びたデザインの物を着るようになった。ただネクタイをする時は、使用人が手伝ってくれていて其れがちょっともどかしかった。自分でやってみたい。
今日も手伝ってくれていた手の動きを観察していると其れに気がついた使用人が手を止めてくれてこう言ってくれた。
「キース様、ネクタイが気になるのですか?」
「あ、…うん。あのね、自分でネクタイ結べるようになったら…格好いいかなって思って。僕、はやく一人前の紳士になりたいんだ」
「私の仕事が1つ減るのは寂しいですが、今日から練習してみましょうか」
「えっ、いいの!?」
僕専属の使用人は、色々と察しの良い人物で僕がやりたい物や事には意味がちゃんとある事を見抜いて2人でいる時は、こっそりと色々教えてくれる本当に本当の意味で優しい人間だった。
その日から数日一緒に練習し、僕は基本系のプレーンノット、ダブルノット、ウィンザーノット、パーティー用のノンノットを習得出来た。
「キース様、素晴らしいです」
「本当?」
「はい。キース様は、手先が器用ですのできっとネクタイ以外の物も興味を持たれる事は直ぐにご自分で覚えられるのではないかと思います」
どういう言い方で伝えれば相手が嬉しがりそして自信をつけるか、その辺りも長けている人だったので僕の幼少期から青年期にかけての人格形成のいくらかは、この使用人から影響を受けていると言っても過言では無かった。
「ありがとう。これからも色々教えて欲しいんだけど…いい?」
「勿論です」
翌日、心地の良い朝がやってきた。今日は、義姉さんが僕とお出かけしたいという嬉しい約束がある日だったので天気が良くなってホッとしている。
「キース様、お召し物はいかが致しましょう」
「義姉さんが似合ってると言ってくれた藤色のシャツが良いな」
「わかりました。シャツに合うネクタイをご用意致します」
使用人からネクタイを受け取り途中まで結びかけていると廊下から賑やかな声が聞こえてくる。クラエス家で賑やかといえば義姉さんと振り回されているアンしかいない。今日は意外と早起き出来たんだなぁと思うとそれに気が付いた使用人が「カタリナ様も今日のお出かけが楽しみでいらっしゃるみたいですね。」と僕に嬉しい言葉をかけてくれた。
僕の部屋の扉が勢いよく開く。「いきなり扉を開けてはいけません!」とアンの声。
「おはよう、キース!」
「おはよう、義姉さん。今日は早いね」
「今日は、キースとお出かけだからね!早めに寝たから早く起きれたわ!…んっ、キース、ネクタイ自分で結べるの!?」
「あ、うん。ちょっと待っててね。直ぐ終わるから」
きちんと整えた後、シャツの袖のボタンも自分で止める。
「お待たせ、義姉さん」
「凄いわー!流石キース、自慢のお義弟よ〜っ」
終始見つめていた義姉が勢い良く抱きついてきたので僕専属の使用人は優しい笑顔で見守ってくれ、アンは「お嬢様、はしたないです!奥様に見られたらどうするのですか!」と慌てて必死にたしなめに入り、僕はといえば相変わらず慣れない過度なスキンシップに心拍数が上がり平常心ではいられなくなったので、その日の朝食があまり口に入らなかった。
**************************
思春期に入る前くらいの歳(10〜11歳)のキースは、
幼少期の髪型だったら良いなぁという妄想です。
なんでも器用にこなす自立心高めな子ならきっと
ネクタイもこのくらいの時期に自分で結ってそう。
数ヶ月生活をしていて気付いたのは、義姉さんはかなり規格外の令嬢であり、一般的な貴族のマナーは頭に入っているはずなのに意識が別のものに興味を持っていかれると途端に奇天烈な行動を取ってしまい、その度に義母さんが目眩を起こして寝込むというのがお決まりの展開になっているという事だ。
養子として両親の期待に沿えれるよう努力をするのは勿論だけれど、義姉さんのフォローが出来るように僕は何でも自分で出来る紳士にならなければと使用人には最低限の世話だけをお願いするようになった。
10歳くらいになると体型も少々変化し、背もいつの間にか追い越して服装も少しだけ大人びたデザインの物を着るようになった。ただネクタイをする時は、使用人が手伝ってくれていて其れがちょっともどかしかった。自分でやってみたい。
今日も手伝ってくれていた手の動きを観察していると其れに気がついた使用人が手を止めてくれてこう言ってくれた。
「キース様、ネクタイが気になるのですか?」
「あ、…うん。あのね、自分でネクタイ結べるようになったら…格好いいかなって思って。僕、はやく一人前の紳士になりたいんだ」
「私の仕事が1つ減るのは寂しいですが、今日から練習してみましょうか」
「えっ、いいの!?」
僕専属の使用人は、色々と察しの良い人物で僕がやりたい物や事には意味がちゃんとある事を見抜いて2人でいる時は、こっそりと色々教えてくれる本当に本当の意味で優しい人間だった。
その日から数日一緒に練習し、僕は基本系のプレーンノット、ダブルノット、ウィンザーノット、パーティー用のノンノットを習得出来た。
「キース様、素晴らしいです」
「本当?」
「はい。キース様は、手先が器用ですのできっとネクタイ以外の物も興味を持たれる事は直ぐにご自分で覚えられるのではないかと思います」
どういう言い方で伝えれば相手が嬉しがりそして自信をつけるか、その辺りも長けている人だったので僕の幼少期から青年期にかけての人格形成のいくらかは、この使用人から影響を受けていると言っても過言では無かった。
「ありがとう。これからも色々教えて欲しいんだけど…いい?」
「勿論です」
翌日、心地の良い朝がやってきた。今日は、義姉さんが僕とお出かけしたいという嬉しい約束がある日だったので天気が良くなってホッとしている。
「キース様、お召し物はいかが致しましょう」
「義姉さんが似合ってると言ってくれた藤色のシャツが良いな」
「わかりました。シャツに合うネクタイをご用意致します」
使用人からネクタイを受け取り途中まで結びかけていると廊下から賑やかな声が聞こえてくる。クラエス家で賑やかといえば義姉さんと振り回されているアンしかいない。今日は意外と早起き出来たんだなぁと思うとそれに気が付いた使用人が「カタリナ様も今日のお出かけが楽しみでいらっしゃるみたいですね。」と僕に嬉しい言葉をかけてくれた。
僕の部屋の扉が勢いよく開く。「いきなり扉を開けてはいけません!」とアンの声。
「おはよう、キース!」
「おはよう、義姉さん。今日は早いね」
「今日は、キースとお出かけだからね!早めに寝たから早く起きれたわ!…んっ、キース、ネクタイ自分で結べるの!?」
「あ、うん。ちょっと待っててね。直ぐ終わるから」
きちんと整えた後、シャツの袖のボタンも自分で止める。
「お待たせ、義姉さん」
「凄いわー!流石キース、自慢のお義弟よ〜っ」
終始見つめていた義姉が勢い良く抱きついてきたので僕専属の使用人は優しい笑顔で見守ってくれ、アンは「お嬢様、はしたないです!奥様に見られたらどうするのですか!」と慌てて必死にたしなめに入り、僕はといえば相変わらず慣れない過度なスキンシップに心拍数が上がり平常心ではいられなくなったので、その日の朝食があまり口に入らなかった。
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思春期に入る前くらいの歳(10〜11歳)のキースは、
幼少期の髪型だったら良いなぁという妄想です。
なんでも器用にこなす自立心高めな子ならきっと
ネクタイもこのくらいの時期に自分で結ってそう。
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2022-02-13 06:50
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