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姉ちゃんのハンバァグ

ただいま。
玄関前から喉を撫でる、ぼくの大好きなあの匂い。
床を蹴って駆け込むと、いつもの優しい姉ちゃんが、晩御飯を作っている。
香りだけでわかったよ。ああ はやく分けてもらいたい。
でもその前に、あの日いきなり消えちゃった、父ちゃんの墓の前に行き、手を合わせて思い浮かべるよ。
まだ生きていた頃の思い出。優しくぼくを呼ぶあの声。
小さい手を包み込む温かい手。どれも大切な父ちゃんの記憶。
なぜかポロポロ地面を濡らしながら顔を真っ赤に泣きはらして
わあわあ泣きながら帰ったらどうしたのと姉ちゃんが駆けつけて、
苦しそうにむせび泣くぼくの隣にいてくれた。
ほら、今ちょうどご飯ができたところだよと、姉ちゃんに連れられて食卓に向かった。

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はかばのばか。

使用画材
色鉛筆
鉛筆

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2022-03-04 21:58

 月見里 右京


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