【牧場学園】Please find the ghost.

決められた衣装を纏い、求められるように振る舞って。
そう在ることに疑問を抱かず、痛みも恐怖も感じなかったのなら。
例えるならば人形のようにいられたらどんなに良かっただろう。
あるいは兄のように、自分自身を押し通す強さを持っていたなら。
牧場ガールではなく、人間として生まれていたら。馬だったら。
そんなふうに思い悩み眠れない夜は、変身して外へ出る。
今日選んだのは淡い色合いの、所謂華ロリと呼ばれるタイプのワンピースだ。
始めは「王子様」から離れたい一心だった「女の子」の格好も、今ではすっかり馴染んでしまった。
綺麗な格好をするのは好きだ。
汚れた自分を隠してくれるから。
その時だけは、自分が綺麗なものになれたような気がするから。
……あくまで気のせい、勘違いだとわかっている。
この「変身」自体が間違いだとわかっている。
こんなのはただの逃避だ。求められていない「自分」に縋るなど不毛極まりない。
だというのに、なぜ見つかってしまう恐怖に怯えてまでこんなことを続けているのだろう。
自責の念は募るばかりだ。
それでも──スカートを撫でる夜風に感じてしまった心地良さを忘れられないまま、今日も幽霊のように彷徨っている。

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以前Twitterで頂いた女装深夜外出ネタを形に
2枚目は上着無し差分です

見つかるか見つからないか雪彦【illust/91052568】