file.11　「ぽっち」

たんぽぽの綿毛に似た白くふわふわしたモンスター。どこか狂気じみている愛らしい目の印象から取り、「ぽっち」と命名。

風に影響を受けずに宙を漂うことが出来る。仲間がいることは認識しているものの、その多くが仲間と出会わずに生涯を終える。他のモンスターと比べて発見数が極端に少ないことから生息数が少ないことが窺え、保護環境の製作に励む研究所が増えてきている。

この研究所が観測したぽっちは、白くふわふわした体の下部に鳥の羽を纏ったぽっちだ。日中の行き先を探ったところ、彼はTVが好きな幼い子の家をよく巡っていた。羽で繕われた謎の衣装は、おそらく教育番組のメインキャラクターであるメンダコを真似て作ったものだ。最近は道端の三角形の小石や尖ったスナック菓子などに興味を持っていたから、きっと角の部分を探しているのだ。それを探している時のぽっちの顔は、どこか輝いて見える。

何気なく目にしたものが、ふとした瞬間に自分を生き生きとさせるものに変わる。
このぽっちは、どういった生涯を送るのだろうか。我々はこれからも観測を続けていく。