軍艦清輝 スエズを征く

明治11年１月、軍艦清輝は一年三ヶ月にわたる欧州各国を巡る航海に出発しました。清輝は明治9年に竣工した日本初の国産軍艦です。日本人のみで遠征して来た清輝(艦長 井上良馨少佐)を各国は大歓迎しました。

残念ながらその航海記にはコロンボ〜マルタの記録が欠落していて、日本軍艦として初めてスエズ運河を通過した時の様子は分かりません。だから絵は想像です。初期のスエズ運河の水深は浅く、大型の艦船は石炭や積荷を下ろして曳船に引かれたらしいです。またこの一帯は無風で、帆走できなかったとも。

今回地味な絵面の割に悩みどころ満載でした。最初は清輝を大きく中央に配した構図でしたが、砂漠の広がりを見せたくて船を小さく描きました。また途中まで順光で描いていたのを、太陽の光を強調したくて逆光に。

アクリル　キャンバス　F６