【終の病】ニエ【第1期】
=================
「可愛い踊り子のお嬢さんかと思った?
残念でした~、俺はいい歳したおじさんで~す」
「着飾って黙っていれば 俺だって結構可愛いでしょ?」
「もし良かったら話を聞かせてくれよ
おじさんはこの国と、テントと、砂漠しか知らないんだ」
=================
●参加企画様
「終の病」【illust/101528139】
承認日 01/30
メッセージを1件返信致しました。不着の際はご連絡頂けますと幸いです。 2023/03/21
**。 …素敵なご縁を頂きました… **。
初めて見上げた真っ暗な空に、ポッカリと浮かぶのは煌々と輝く満月と、鏤められた星々
そう、丁度こんなにも静かで穏やかな夜だった事を覚えている。
それに反して、もう死んでいるんじゃないかと思っていた俺の心臓が
うるさいくらいに鼓動して、それで、必死に先導するお前を追い掛けて。
目の前でパチパチと散る火の粉がまるで、あの日の星空の様に瞬き、煌めいて。
なぁビビ、今日は旅の話じゃなくてよ。
あん時の話を、俺達の始まりの話をしよう。
=================
●詳細
名前:ニエ
年齢:38歳
種族:196
一人称:俺、おじさん
二人称:キミ、お前、○○(性別問わず)
所属国:月の国 リュアリク国【ユーザーID:7】
奇病数:【0】
●詳細
呑気な性格をしている。
見世物小屋として張られたテントの中で踊り観客を楽しませる事を生業としている。
自身を見世物の商品と認識している為か基本的に自分からテントの外へ出る事は無く、
外への憧れを抱きながら日々過ごしている。
唯一の娯楽である他者とのコミュニケーションが好き。
訪れた観客との話の中で、他国の話や自分の知らない知識
様々な話を聞く事を何よりも楽しみにしている。
●奇病について
若いとは言えない自分の年齢と、奇病によって踊る事が出来なくなる事実から
要らないものだと捨てられてしまう事を恐れている。
いつ訪れてしまうか分からない終わりの日に怯えながら
今日もテントという檻で、皆の為に踊り明かす。
=================
そう、あの日も相も変わらず俺は見世物小屋の中で踊っていたんだ。
観客も見知ったヤツらばかりで、所謂常連客、ファン、たまに旅の合間に寄っていく新規客。
踊る事でしか自分の存在価値を見出せない俺は、生きる為に踊っていた。
今思えば、おじさん、もう既に心は死んでいたのかもな。
でもその日は、そんな中で入り口の方でこっそりと中を覗く、奇妙な客を見つけたんだよ。
随分と熱烈な視線で俺の踊りを見て、話しかけて来る事も無く、そのまま帰っちまった。
くくっ、キミの事だよ、ビビ。
あんだけ見慣れない姿のヤツに見つめられりゃ、目についちまうって。
あぁ、でも夢の話は初耳だな。俺の夢を見るなんて、よっぽどおじさんの踊りはお前を虜にしたらしい。
それは踊り子明瞭に尽きるってもんだな。
しかし、夢の中の俺は一体、キミになんて言ったんだろうな?
踊りを見てくれたお礼か、それとも……その時からキミに助けを求めていたのかもな、なんてな。
あぁ、そうそう、その後キミが何度も見世物小屋に来ていた事も知っていたんだぞ?
演目が終わっても演者に話しかけずに帰る常連客、って演者達の中でちょっと有名だったんだぜ。
だからキミが話しかけてくれた時、正直俺もビックリしたんだけど
それよりも、ようやく話しかけてくれたなって気持ちが大きかったな。
ただ…あぁ、俺の第一声に対してキミのポカーンとしていた顔、今思い出しても堪らないよ。
悪かったな、女だと思っただろうけど…この通りおじさんでな。
正直、幻滅されるんじゃないかと思っていた。そういう客も少なく無かったしな。
でもキミはそんな事も気にせず、そう、キミは俺の望みの通り旅の話を聞かせてくれただろ?
俺にとってキミの語る夢物語の数々は、外に出られない分色々な情景を魅せてくれた。
だってそれはキミが実際に目にしてきたものなんだろ?羨ましいと思ったよ、心底な。
……俺が目を輝かせていたって?ったく、からかわないでくれよ。これでもおじさんは、心はまだ少年だぜ?
しかし珍しいな、キミがそうも色々と素直に伝えてくれるなんて。
ッハハ、悪い悪い、からかっている訳じゃないんだ。嬉しいんだよ。ほら、話を続けてくれ。
キミの親父さんが奇病で亡くなったって知ったのはいつだったっけな。
たまにキミがツンケンした態度を取ってきて、不思議に思ったのは事実だよ。
何か理由があったのか、はたまたそういう性格なのかなって思っていたけどな。
キミは俺に問い掛けてきただろう?"死ぬのは怖くないのか"って。
俺は奇病で死ぬよりも、誰からも見放されて、棄てられて、孤独に死ぬ方が怖かったよ。
だからそうなる前に、遠くて誰も知らない場所で…綺麗な景色を誰かと一緒に見ながら死にたいと願った。
ここから出て、キミの語る夢物語の様な世界を見たかった。
……まさか、キミがおじさんの事を連れ出しに来てくれるとは思ってもみなかったけど。
年甲斐にもなくドキドキしちゃったよ。抜け出した事もだけど、連れ出してくれたキミにもね。
今でもキミを巻き込んでしまった事、申し訳無いと思ってはいるんだけど。
けどさ、おじさん、今はそれ以上に幸せだよ。
=================
●関係
─ 生涯キミだけが、おじさんの全てを攫ってくれた ─
ビビさん【illust/104582379】
「……あらら、もう追手が来たんだ。
彼らも酷いなぁ、おじさん達をゆっくり休ませてくれないんだ」
「彼らには悪いけど、おじさんだってちょっと家出したって良いのにね?
それに結構楽しいよ、愛の逃避行」
「おじさんもね、キミの事が大好きだよ、ビビ
今日はどこに行こうか……ははっ、年甲斐にもなくワクワクするよ」
逞しい息子【illust/106275805】
気弱な息子【illust/106302010】⇒【illust/107676100】
「ニニ、お前の言いたい事は分かるさ。俺の家出に怒ってるアイツらの気持ちもな。
極力傷付ける事はしたくねぇの分かってくれや。
そら、この先の景色でも見て心落ち着けようぜ。
ビスはほら、もっと堂々と振る舞っていいんだぜ?
キミの舞う踊りは天下一品だぞ。キミもそう思うよな、ビビ?」
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「可愛い踊り子のお嬢さんかと思った?
残念でした~、俺はいい歳したおじさんで~す」
「着飾って黙っていれば 俺だって結構可愛いでしょ?」
「もし良かったら話を聞かせてくれよ
おじさんはこの国と、テントと、砂漠しか知らないんだ」
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●参加企画様
「終の病」【illust/101528139】
承認日 01/30
メッセージを1件返信致しました。不着の際はご連絡頂けますと幸いです。 2023/03/21
**。 …素敵なご縁を頂きました… **。
初めて見上げた真っ暗な空に、ポッカリと浮かぶのは煌々と輝く満月と、鏤められた星々
そう、丁度こんなにも静かで穏やかな夜だった事を覚えている。
それに反して、もう死んでいるんじゃないかと思っていた俺の心臓が
うるさいくらいに鼓動して、それで、必死に先導するお前を追い掛けて。
目の前でパチパチと散る火の粉がまるで、あの日の星空の様に瞬き、煌めいて。
なぁビビ、今日は旅の話じゃなくてよ。
あん時の話を、俺達の始まりの話をしよう。
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●詳細
名前:ニエ
年齢:38歳
種族:196
一人称:俺、おじさん
二人称:キミ、お前、○○(性別問わず)
所属国:月の国 リュアリク国【ユーザーID:7】
奇病数:【0】
●詳細
呑気な性格をしている。
見世物小屋として張られたテントの中で踊り観客を楽しませる事を生業としている。
自身を見世物の商品と認識している為か基本的に自分からテントの外へ出る事は無く、
外への憧れを抱きながら日々過ごしている。
唯一の娯楽である他者とのコミュニケーションが好き。
訪れた観客との話の中で、他国の話や自分の知らない知識
様々な話を聞く事を何よりも楽しみにしている。
●奇病について
若いとは言えない自分の年齢と、奇病によって踊る事が出来なくなる事実から
要らないものだと捨てられてしまう事を恐れている。
いつ訪れてしまうか分からない終わりの日に怯えながら
今日もテントという檻で、皆の為に踊り明かす。
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そう、あの日も相も変わらず俺は見世物小屋の中で踊っていたんだ。
観客も見知ったヤツらばかりで、所謂常連客、ファン、たまに旅の合間に寄っていく新規客。
踊る事でしか自分の存在価値を見出せない俺は、生きる為に踊っていた。
今思えば、おじさん、もう既に心は死んでいたのかもな。
でもその日は、そんな中で入り口の方でこっそりと中を覗く、奇妙な客を見つけたんだよ。
随分と熱烈な視線で俺の踊りを見て、話しかけて来る事も無く、そのまま帰っちまった。
くくっ、キミの事だよ、ビビ。
あんだけ見慣れない姿のヤツに見つめられりゃ、目についちまうって。
あぁ、でも夢の話は初耳だな。俺の夢を見るなんて、よっぽどおじさんの踊りはお前を虜にしたらしい。
それは踊り子明瞭に尽きるってもんだな。
しかし、夢の中の俺は一体、キミになんて言ったんだろうな?
踊りを見てくれたお礼か、それとも……その時からキミに助けを求めていたのかもな、なんてな。
あぁ、そうそう、その後キミが何度も見世物小屋に来ていた事も知っていたんだぞ?
演目が終わっても演者に話しかけずに帰る常連客、って演者達の中でちょっと有名だったんだぜ。
だからキミが話しかけてくれた時、正直俺もビックリしたんだけど
それよりも、ようやく話しかけてくれたなって気持ちが大きかったな。
ただ…あぁ、俺の第一声に対してキミのポカーンとしていた顔、今思い出しても堪らないよ。
悪かったな、女だと思っただろうけど…この通りおじさんでな。
正直、幻滅されるんじゃないかと思っていた。そういう客も少なく無かったしな。
でもキミはそんな事も気にせず、そう、キミは俺の望みの通り旅の話を聞かせてくれただろ?
俺にとってキミの語る夢物語の数々は、外に出られない分色々な情景を魅せてくれた。
だってそれはキミが実際に目にしてきたものなんだろ?羨ましいと思ったよ、心底な。
……俺が目を輝かせていたって?ったく、からかわないでくれよ。これでもおじさんは、心はまだ少年だぜ?
しかし珍しいな、キミがそうも色々と素直に伝えてくれるなんて。
ッハハ、悪い悪い、からかっている訳じゃないんだ。嬉しいんだよ。ほら、話を続けてくれ。
キミの親父さんが奇病で亡くなったって知ったのはいつだったっけな。
たまにキミがツンケンした態度を取ってきて、不思議に思ったのは事実だよ。
何か理由があったのか、はたまたそういう性格なのかなって思っていたけどな。
キミは俺に問い掛けてきただろう?"死ぬのは怖くないのか"って。
俺は奇病で死ぬよりも、誰からも見放されて、棄てられて、孤独に死ぬ方が怖かったよ。
だからそうなる前に、遠くて誰も知らない場所で…綺麗な景色を誰かと一緒に見ながら死にたいと願った。
ここから出て、キミの語る夢物語の様な世界を見たかった。
……まさか、キミがおじさんの事を連れ出しに来てくれるとは思ってもみなかったけど。
年甲斐にもなくドキドキしちゃったよ。抜け出した事もだけど、連れ出してくれたキミにもね。
今でもキミを巻き込んでしまった事、申し訳無いと思ってはいるんだけど。
けどさ、おじさん、今はそれ以上に幸せだよ。
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●関係
─ 生涯キミだけが、おじさんの全てを攫ってくれた ─
ビビさん【illust/104582379】
「……あらら、もう追手が来たんだ。
彼らも酷いなぁ、おじさん達をゆっくり休ませてくれないんだ」
「彼らには悪いけど、おじさんだってちょっと家出したって良いのにね?
それに結構楽しいよ、愛の逃避行」
「おじさんもね、キミの事が大好きだよ、ビビ
今日はどこに行こうか……ははっ、年甲斐にもなくワクワクするよ」
逞しい息子【illust/106275805】
気弱な息子【illust/106302010】⇒【illust/107676100】
「ニニ、お前の言いたい事は分かるさ。俺の家出に怒ってるアイツらの気持ちもな。
極力傷付ける事はしたくねぇの分かってくれや。
そら、この先の景色でも見て心落ち着けようぜ。
ビスはほら、もっと堂々と振る舞っていいんだぜ?
キミの舞う踊りは天下一品だぞ。キミもそう思うよな、ビビ?」
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