【PFMOH】道しるべの遺構

深緑の草原を見晴らすと、塔のような影をいくつか見つけることがある。
近づいてみれば、それはまるで巨大な刃のような形をしたボロボロの岩の塊。に見えるが、触れてみるとほのかに暖かく、岩というより金属に近い。
かすかな音と、時折瞬く光は、君の知覚する魔法や技とは異なった、はるか昔の遺跡の一つ。
壊してみようと思ったものもいたかもしれない。ただしそれは見た目にそぐわぬ硬度を持ち、あらゆる魔法を跳ね返した。
何のために建っているのか、何かの役目があったのか、いずれにせよ今はただ静かにたたずむその遺構には、不思議と魔物は近寄らず、人が引き寄せられて出会いの場となるだろう。
広い広い草原のただなか、いつしかそれは道しるべの一つとなっていた。

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紅の夢。気まぐれにそうなずけた戦士と治癒者の二人組は、謎の少女スズにいきなり依頼されたホーングリズリー（おいしそう）退治もさながら、道しるべの遺構で三人の魔術師（一人寒そう）と出会う。

「なんじゃーお主。ホーングリズリーの肝が欲しいんか？　上手く食うにはまず酒で蒸してから燻製に……」
「いや料理には使わないナ。あとは換金して高値になりそうな部位をくれヨ。タダで」

少しばかり安全な遺構のそばで獣の肉を解体して依頼主に渡す。
切り出した肉は一晩燻して保存すればしばらく持つだろう。あとは鍋にして食べてしまおうと、セッキは近くに埋まっていた岩の一つをごべりと削って肉やら酒やらを放り込む。

「なんとこの塔はあらゆる魔術を跳ね返す！　どうにか引きはがして装備にできないものか……できぬ…？」
「まるどり」
「もふもふ」

みれば魔術師達がそのあたりを転がっていたまるどりをぽんぽんと触っていた。
手触りがいいらしい。

「そういえば」

解体を手伝っていたレーヴァがふと顔を上げる。

「まるどりは熱や魔法を使えば比較的簡単につかまりますよね。どうして捕獲難度が高いと言われているのでしょうか」
「あー、それは肉より皮のが何倍も高く取引されるからじゃ。冒険者の多くは皮目当てなんじゃよ」
「皮、ですか？」
「あんな見た目だが丈夫なんじゃよ。弾力もあるしのー、魔術師のローブやら、ビキニアーマーやら」

「ビキニ！　それは魔法に耐性は……」
「ない」
「……そうだろうね」

毛むくじゃらの魔術師は心なしか悲しげな横顔を遺構に向けていた。

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【PFMOH】尋ね人のおまじない（illust/88150430）でスズさんと交流いただき、
【PFMOH】いざ、草原を抜けて！【深緑の大草原】（illust/88168538）【きゃすもふ】の皆さんにお声をかけていただきました流れで描かせていただきました。
時列や受け答えなどご都合悪いようでしたらパラレルスルーでお願いします。

今夜は熊鍋よ～～。

＊3/7キャプション修正しました。

◆お借りしました
【PFMOH】鈴（illust/87788903）

【PFMOH】高潔の劫術師アイオン・トゥーエア【魔術師】（illust/87738567）
【PFMOH】魔蚕のシュエ【魔術師】（illust/87787736）
【PFMOH】魔蚕のユィン【魔術師】（illust/87787724）

【PFMOH】ホーングリズリー【モンスター】（illust/87881273）
【PFMOH】まるどり【モンスター】（illust/88086234）

　素敵ロゴ
　【PFMOH】非公式ロゴ素材集（illust/87720297）

◆PT紅の夢
【PFMOH】レーヴァ【治癒者】（illust/87721032）
【PFMOH】セッキ【戦士】（illust/87736854）

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企画 Mountain of Heaven　pixivファンタジア外伝（illust/87556705）