2人のこと
ベッドにパタリと倒れる、スマホと私の脱力した手。
事務室でパソコンに向かっていたら急に視界がグラグラし始め、頭から冷や水を被ったような気がしたと思ったら床に転がっていた。
気を失ったようで、頭を相当打ちつけていたらしいのに痛みは感じなかった。
吐き気がする。手足も冷たい。軽く呼吸が乱れる。
いつもはこんな重くないのに、今日は何故かダメだ。日頃の不摂生が祟ったか。
担架で医務室に運ばれ、硝子の診察を受ける。
打った頭は少したんこぶになっているが、それ以外は問題無いという判断だった。
医務室には外科治療と毒物治療の器具薬品は置いてあれど、婦人科系で使えそうなのは痛み止めくらいしかない。
何錠かそれを受け取り、ふらつく足取りで寮の自室まで辿り着く。
血が通わない四肢が震える。
靴だけを頑張って脱ぎ、あとは重力に任せてベッドに沈んだ。
オフィスカジュアルのブラウスとスカートのままだが、着替えるための体力はもう無い。
万が一の時のために握っていたスマホに彼から連絡が来たのは、心細かった私にはとても有難かった。
最後の返信を見て目を閉じる。瞼を開けているのでさえつらい。
しばらく経っただろうか。腰に不快さを感じて飛び起きる。
スカートを通り越し、シーツまで全滅だ。
これを着替えて、取り替えて、洗って、干す…。
大きくため息をついた途端にドアが開いて、髪を下ろした悟が買い物袋をぶら下げて部屋に入ってきた。
シーツを見下ろす私に気付き、買い物袋を置いて、替えの下着や寝間着、シーツをポイポイとタンスから引っ張り出す。
「僕が替えとくから着替えちゃいなよ」
そう言って衣類とナプキンを持たされ、トイレまで背中を押された。
情けない…と思いながらトイレで全て着替えて出てくれば、ベッドは新しいシーツに替えられ、また汚しても大丈夫なようにバスタオルまで敷かれている。
はい、貰うねーと私が抱えていた汚れてしまった服を奪われ、シーツと共にユニットバスへ消える悟。
「え、あ、いや、私やる。情けなさすぎる」
「情けなくなんかないよ?赤ちゃん産むために必要なことじゃん。僕にも関係あることだよ」
なんて事ないという顔で洗濯を始めた彼。
ベソべソ泣きながら、悟の買ってきてくれた鉄分のゼリーとおにぎりを食べる。
洗い物を終えて出てきた彼は、私の泣き顔を見て笑った。
「大好き」
と言葉に出した途端にポロポロ流れ落ちた涙は、恥ずかしさや情けなさではない。ありがとうの涙だ。
―――――
「パンツは力加減分からないから水に浸けてあるよ」
「女慣れしてるみたいで怖い」
「まさか。こんなことしてあげるのは君だけ」
―――――
生理に対して理解のある男性…とても良いなって思って作りました。
苦手な方いたらごめんなさい。
事務室でパソコンに向かっていたら急に視界がグラグラし始め、頭から冷や水を被ったような気がしたと思ったら床に転がっていた。
気を失ったようで、頭を相当打ちつけていたらしいのに痛みは感じなかった。
吐き気がする。手足も冷たい。軽く呼吸が乱れる。
いつもはこんな重くないのに、今日は何故かダメだ。日頃の不摂生が祟ったか。
担架で医務室に運ばれ、硝子の診察を受ける。
打った頭は少したんこぶになっているが、それ以外は問題無いという判断だった。
医務室には外科治療と毒物治療の器具薬品は置いてあれど、婦人科系で使えそうなのは痛み止めくらいしかない。
何錠かそれを受け取り、ふらつく足取りで寮の自室まで辿り着く。
血が通わない四肢が震える。
靴だけを頑張って脱ぎ、あとは重力に任せてベッドに沈んだ。
オフィスカジュアルのブラウスとスカートのままだが、着替えるための体力はもう無い。
万が一の時のために握っていたスマホに彼から連絡が来たのは、心細かった私にはとても有難かった。
最後の返信を見て目を閉じる。瞼を開けているのでさえつらい。
しばらく経っただろうか。腰に不快さを感じて飛び起きる。
スカートを通り越し、シーツまで全滅だ。
これを着替えて、取り替えて、洗って、干す…。
大きくため息をついた途端にドアが開いて、髪を下ろした悟が買い物袋をぶら下げて部屋に入ってきた。
シーツを見下ろす私に気付き、買い物袋を置いて、替えの下着や寝間着、シーツをポイポイとタンスから引っ張り出す。
「僕が替えとくから着替えちゃいなよ」
そう言って衣類とナプキンを持たされ、トイレまで背中を押された。
情けない…と思いながらトイレで全て着替えて出てくれば、ベッドは新しいシーツに替えられ、また汚しても大丈夫なようにバスタオルまで敷かれている。
はい、貰うねーと私が抱えていた汚れてしまった服を奪われ、シーツと共にユニットバスへ消える悟。
「え、あ、いや、私やる。情けなさすぎる」
「情けなくなんかないよ?赤ちゃん産むために必要なことじゃん。僕にも関係あることだよ」
なんて事ないという顔で洗濯を始めた彼。
ベソべソ泣きながら、悟の買ってきてくれた鉄分のゼリーとおにぎりを食べる。
洗い物を終えて出てきた彼は、私の泣き顔を見て笑った。
「大好き」
と言葉に出した途端にポロポロ流れ落ちた涙は、恥ずかしさや情けなさではない。ありがとうの涙だ。
―――――
「パンツは力加減分からないから水に浸けてあるよ」
「女慣れしてるみたいで怖い」
「まさか。こんなことしてあげるのは君だけ」
―――――
生理に対して理解のある男性…とても良いなって思って作りました。
苦手な方いたらごめんなさい。
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2022-09-02 18:00
Comments (4)
素敵…と思いながらキャプションも読ませて頂きました。こんなんされた暁には自分の一生捧げちゃいます
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