嫌いになるわけない
事の発端は、私のスマホを覗き見た悟がブチギレたことだった。
別に見られて困るものなんて無いので、相手から来た連絡に普通に返事を書いていたらいきなりスマホを取り上げられ、すごい剣幕で問い詰められた。
多分悟は、チラ見した内容で一番自分にとってナイーブなワードだけを掬い取ってしまったのだ。
それは、元許婚の名前、結婚、結婚式、何にする、とかそのあたりだろう。
実際は私と彼の共通の幼馴染が結婚したので結婚式に出るかどうか、お祝いは何にするかの連絡だった。
最初は彼の方が連絡をするのを躊躇っていたけれど、これは友達としての連絡だし、決して無用な会話ではないと思ったから、そこは気を遣わないで欲しいと私から言ったのだ。
確かに「こういう連絡が来たから返事をするね」と詳らかに悟に説明しなかった責任はある。
しかし、何を言っても怒ったまま。
挙句、嫌だと言ったのに酷く乱暴に抱かれた。最悪な気分だった。
そんなに信用無かったんだなという気持ちと、彼の独占欲の強さを改めて感じ、今後のことをきちんと話し合わねばと決心した。
自宅でおでんを煮ていると、カチャっと静かに扉が開く。
いつも豪快に開けて入ってくるので、反省はしているらしい。
彼はキッチンに立つ私に擦り寄り、エプロンの端っこを指先で引っ張った。
見上げると、大の大人が眉を八の字に下げて落ち込んでいる。
「嫌いになってないよ」
私の言葉を聞いた悟は、長い両腕を私の後ろから前に回して背中にピトッとくっつく。
私の好きな匂い。私の好きな体温。
嫌いになんかなるわけないよ。
別に見られて困るものなんて無いので、相手から来た連絡に普通に返事を書いていたらいきなりスマホを取り上げられ、すごい剣幕で問い詰められた。
多分悟は、チラ見した内容で一番自分にとってナイーブなワードだけを掬い取ってしまったのだ。
それは、元許婚の名前、結婚、結婚式、何にする、とかそのあたりだろう。
実際は私と彼の共通の幼馴染が結婚したので結婚式に出るかどうか、お祝いは何にするかの連絡だった。
最初は彼の方が連絡をするのを躊躇っていたけれど、これは友達としての連絡だし、決して無用な会話ではないと思ったから、そこは気を遣わないで欲しいと私から言ったのだ。
確かに「こういう連絡が来たから返事をするね」と詳らかに悟に説明しなかった責任はある。
しかし、何を言っても怒ったまま。
挙句、嫌だと言ったのに酷く乱暴に抱かれた。最悪な気分だった。
そんなに信用無かったんだなという気持ちと、彼の独占欲の強さを改めて感じ、今後のことをきちんと話し合わねばと決心した。
自宅でおでんを煮ていると、カチャっと静かに扉が開く。
いつも豪快に開けて入ってくるので、反省はしているらしい。
彼はキッチンに立つ私に擦り寄り、エプロンの端っこを指先で引っ張った。
見上げると、大の大人が眉を八の字に下げて落ち込んでいる。
「嫌いになってないよ」
私の言葉を聞いた悟は、長い両腕を私の後ろから前に回して背中にピトッとくっつく。
私の好きな匂い。私の好きな体温。
嫌いになんかなるわけないよ。
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2022-11-28 18:00
Comments (6)
はじめまして! 嫉妬と独占欲でワガママしたあとの、嫌いにならないで別れないで可愛いです...五条には悪いですが!
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