ヤエノムテキ ウマ娘チョコ恋物語

ムテキ「――いざ、尋常に勝負！！
……と言いたいところだが、今日ばかりはそのような場ではないな。
ふむ……落ち着いて、心を込めて。

これは、バレンタインの品だ。
私が心を込めて作った、特製のチョコレート。受け取ってほしい。
……なに？ 意外か？
確かに、菓子作りは武術とは無縁に見えるかもしれぬが、何事も極めるのが金剛八重垣流の心得よ。
ましてや、ただの義理ではない、特別な想いを込めたものならば、なおさらだ。

……ふぅ、やはりこういうことを言うのは、慣れぬな。
しかし、覚悟を決めてきたのだ。いざ言葉にしよう。

私は――お前のことが、好きだ。
敬意ではない、憧れでもない。 ただ、ひとりのウマ娘として……お前という存在に心惹かれている。
ふっ……まさか、私がこんな気持ちになるとはな。
だが、事実だ。 この想い、己を偽ることなどできぬ。

お前は、強い。走りも、人としての在り方も、まっすぐで揺るがない。
そんな姿を見ているうちに、気づけば私の心の内もまた、お前に向かって一直線になっていた。 もはや、目を逸らすことはできぬ。

……さて、どうする？ 受け取るも受け取らぬも、お前次第だ。
だが――まさか、ここまで真剣な想いを込めたチョコを、拒むわけではあるまいな？ フフッ、試されているぞ？

……いや、今のは半分冗談だ。だが、残る半分は本気だ。
この気持ちは、強さでも勝負でもない、私の本心。 どうか、受け取ってくれ。」