冬の旅路⑤ ペンギンの思い出
水族館の奥に進むと、ペンギンの展示エリアにたどり着いた。透明な水槽の向こうでは、愛らしいペンギンたちがすいすいと泳ぎ回っている。その様子を眺めながら、ふと掲示板の案内が目に入った。
「アルトリア、見て! ここでペンギンさんと記念撮影できるんだって!」
私はアルトリアの袖を引き、指差して見せた。彼女は少し驚いたように掲示を見つめ、それから静かに頷いた。
「ペンギンと……記念撮影ですか?」
「うん! せっかくだから、一緒に撮ろうよ。アルトリア、ペンギンさん好きだよね?」
そう言うと、アルトリアは少し考え込むような仕草を見せ、それから穏やかな微笑みを浮かべた。
「ええ。彼らの動きは愛らしく、またとても逞しくもあります。極寒の地で生き抜く強さは、見た目以上のものを秘めていますね。」
彼女らしい感想に、思わず笑みがこぼれる。
「ふふ、アルトリアっぽい。でも確かに、ペンギンさんたちってすごくたくましいよね。あ、ちょうど撮影の時間みたい!」
二人で誘導されるままに撮影スペースへ向かうと、そこには堂々としたペンギンが待っていた。
「このペンギンは……随分と大きいのですね。」
アルトリアが感心したように言う。
「これはオウサマペンギンだね。ふふ、アルトリアと一緒だね。」
私が冗談めかして言うと、アルトリアは一瞬きょとんとした後、口元に微かな笑みを浮かべた。
「私と、ですか?」
「うん。だって、どちらも品があって、堂々としていて……。でも、本当はすごく優しくて。」
そう言うと、アルトリアはわずかに頬を染め、視線をそらした。
「貴女は……相変わらず、そのようなことをさらりと言いますね。」
「だって本当のことだもん。アルトリアには負けるよ、褒め言葉は」
そんな会話を交わしながら、撮影スタッフに促され、ペンギンのそばに立つ。
「さぁ、お二人とももう少し寄ってくださいね。」
指示に従い、私はアルトリアに寄り添うように並ぶ。彼女の温もりがそっと肩に伝わると、胸がふわりと温かくなった。
「アルトリア、せっかくだし、くっつこ?」
「……ええ。」
アルトリアは一瞬ためらったものの、すぐに私の手をそっと握り返してくれる。その感触が心地よくて、私は自然と微笑んだ。
「では、撮りますよー!」
カメラのフラッシュが光る。
次は、ピースをして撮影。アルトリアにそっと促すと、最初は少し戸惑っていたものの、私が手本を見せると、おずおずと同じポーズを取ってくれた。
「こう……ですか?」
「うん、バッチリ!」
二人で顔を寄せ合い、カメラに向かって笑う。ペンギンたちもいい位置にいて、すごくいい写真になりそうだった。
最後の一枚を撮り終え、私は深く息をつく。
「楽しかったね!」
「……ええ。」
アルトリアは柔らかく微笑みながら、私の手をぎゅっと握った。
「貴女と二人……本当に素敵な思い出を残せました。ありがとうございます。」
その言葉に、私は一瞬言葉を失う。
聖杯戦争の時のアルトリアなら、こうして心から楽しんだり、ただの思い出を大切にするようなことはなかったはずだ。
彼女は、戦いの中で過去に囚われ、未来を求めることなく、ただ騎士王としての責務を果たそうとしていた。
でも今、彼女は私とともに過ごし、ただ純粋に「楽しかった」と言ってくれている。
「私のほうこそ、ありがとう。アルトリアと一緒だから、もっともっと楽しいよ。」
そう伝えると、アルトリアは照れたように目を伏せ、それからまた、優しく微笑んだ。
水族館の中で、ペンギンたちが自由に泳ぎ、歩き回るその姿が、まるで私たちの未来を祝福しているように思えた。
「アルトリア、見て! ここでペンギンさんと記念撮影できるんだって!」
私はアルトリアの袖を引き、指差して見せた。彼女は少し驚いたように掲示を見つめ、それから静かに頷いた。
「ペンギンと……記念撮影ですか?」
「うん! せっかくだから、一緒に撮ろうよ。アルトリア、ペンギンさん好きだよね?」
そう言うと、アルトリアは少し考え込むような仕草を見せ、それから穏やかな微笑みを浮かべた。
「ええ。彼らの動きは愛らしく、またとても逞しくもあります。極寒の地で生き抜く強さは、見た目以上のものを秘めていますね。」
彼女らしい感想に、思わず笑みがこぼれる。
「ふふ、アルトリアっぽい。でも確かに、ペンギンさんたちってすごくたくましいよね。あ、ちょうど撮影の時間みたい!」
二人で誘導されるままに撮影スペースへ向かうと、そこには堂々としたペンギンが待っていた。
「このペンギンは……随分と大きいのですね。」
アルトリアが感心したように言う。
「これはオウサマペンギンだね。ふふ、アルトリアと一緒だね。」
私が冗談めかして言うと、アルトリアは一瞬きょとんとした後、口元に微かな笑みを浮かべた。
「私と、ですか?」
「うん。だって、どちらも品があって、堂々としていて……。でも、本当はすごく優しくて。」
そう言うと、アルトリアはわずかに頬を染め、視線をそらした。
「貴女は……相変わらず、そのようなことをさらりと言いますね。」
「だって本当のことだもん。アルトリアには負けるよ、褒め言葉は」
そんな会話を交わしながら、撮影スタッフに促され、ペンギンのそばに立つ。
「さぁ、お二人とももう少し寄ってくださいね。」
指示に従い、私はアルトリアに寄り添うように並ぶ。彼女の温もりがそっと肩に伝わると、胸がふわりと温かくなった。
「アルトリア、せっかくだし、くっつこ?」
「……ええ。」
アルトリアは一瞬ためらったものの、すぐに私の手をそっと握り返してくれる。その感触が心地よくて、私は自然と微笑んだ。
「では、撮りますよー!」
カメラのフラッシュが光る。
次は、ピースをして撮影。アルトリアにそっと促すと、最初は少し戸惑っていたものの、私が手本を見せると、おずおずと同じポーズを取ってくれた。
「こう……ですか?」
「うん、バッチリ!」
二人で顔を寄せ合い、カメラに向かって笑う。ペンギンたちもいい位置にいて、すごくいい写真になりそうだった。
最後の一枚を撮り終え、私は深く息をつく。
「楽しかったね!」
「……ええ。」
アルトリアは柔らかく微笑みながら、私の手をぎゅっと握った。
「貴女と二人……本当に素敵な思い出を残せました。ありがとうございます。」
その言葉に、私は一瞬言葉を失う。
聖杯戦争の時のアルトリアなら、こうして心から楽しんだり、ただの思い出を大切にするようなことはなかったはずだ。
彼女は、戦いの中で過去に囚われ、未来を求めることなく、ただ騎士王としての責務を果たそうとしていた。
でも今、彼女は私とともに過ごし、ただ純粋に「楽しかった」と言ってくれている。
「私のほうこそ、ありがとう。アルトリアと一緒だから、もっともっと楽しいよ。」
そう伝えると、アルトリアは照れたように目を伏せ、それからまた、優しく微笑んだ。
水族館の中で、ペンギンたちが自由に泳ぎ、歩き回るその姿が、まるで私たちの未来を祝福しているように思えた。
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2025-03-01 14:13
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