自分から手錠をねだる少女（ウェンデル・アイナ編 ）

こうして俺はアイナを「タイホ」した。手錠されたアイナは自分の両手首をじっと眺め、手を動かしてその感触を確かめるような動作をしていた。 そして、まるでアクセサリを付けられたかのように手をかかげてうっとりしている…

本人は嫌そうなそぶりを見せないが、傍から見ると「可哀そう」という感情も抱いていた。 親友でもある幼馴染が、酷寒の雪国で薄着で震えながら手錠をかけられているのだ。傍からみると、虐待されているようにも見えるのではないか。ともかく、このド田舎では人目も無く、二人が家に着くまで誰かの目に見られる心配は基本無かった。（たまに車が近づく音がすると、俺が彼女の前に立って手錠を隠すのが習わしになっていた…）

アイナは暫くすると、「さ、私を家まで連行してね！ ちゃんと逃げないように見張っているのよ！」
逃げるも何ももともと隣同士に住んでいるのだが、ともかく俺は彼女のノリに合わせて、彼女を捕らえた役人のようにふるまう。
「よし罪人！ さっさと歩け！」 とアイナの背中をポンと押す。

その時、アイナが小さな声で「あ…」と呻き声を上げ、そのまま下を俯いて歩き始めた。