鉄の森の魔女

彼女は不具者である。
それを補うため、右手と右足は鉄から作り出した義手と義足をつけている。
鉄の手と鉄の足は彼女の魔力を吸い、とても強力な力を持つが、疲れやすくなるため、鉄のイバラの車輪の車椅子に乗っている。
車椅子は視えない亡霊の従者が押しているため、傍目には自動で動いているかのように見えるだろう。
彼女は額冠の他は一切身につけておらず、惜しげもなく裸身を晒している。
長いプラチナブロンドの髪を無造作に垂らし、傍らには黒く巨大な鉄の表紙の魔導書を抱えている。
彼女は鉄の森の奥にある鉄のイバラの城に1人で住んでいる。従者は森で死んだ亡霊達である。
彼女は時折、鉄の森を歩き、亡者を集めて来て、手伝いをさせる。
運良く生きて彼女に会うことができ、鉄の城に招かれたならば、何かひとつ頼みごとを聞いてくれるだろう。
人間嫌いではあるが、生きた人間と話ができることは稀であるため、尊敬をもって接すれば意外と親切である。