短時間挑戦 2446

　＊さて、本日の短時間挑戦は飛行物体で御座います。
　御覧の通り操縦席の窓の大きさからご理解頂けるかと存じますが相当に巨大な機体で、その独特の翼の形状のバランス取りに骨を折る事に。
　お時間は28分となりました。

　＊本日の飛行機はボーイング社のB-52で御座います。
　この機体も又膨大な文面の資料が御座いますので、ばっさりと割愛させて頂きます。

　B-29でもお解り頂けますようにこのシリーズは爆撃機で、当然こちらもその数値がかなり大きな物となっておりますので、かなりの物が搭載出来るようです。
　そして、この機体は爆撃機の上に位置する、戦略爆撃機。
　愛称はストラストフォートレス、(Stratofortress)成層圏の要塞と言うのだとか。

　大陸間爆撃機に航続力と搭載力をまし、更に音速近く出せるように改良された機体。
　当然核を運用出来る代物なのですが普通の自由落下型爆弾も搭載可能でベトナム戦争などではお得意の絨毯爆撃も行い、「死の鳥」とまで呼ばれたそうです。
　
　初期型は水爆しか搭載出来なかったそうですが後期形になると巡航ミサイルも主兵層として加えられております。
　そして、エンジンもターボジェットからターボファンへ移行し、燃費も向上したのだとか。
　見えない特徴として、着陸用のタイヤがそれぞれハンドルを切るように曲げられ、機体の向きと滑走路の向きが違う際等に横滑りする事を防止出来るのだそうです。

　自縄自縛とは言った物で、核を持てば相手も同じ程度の核を持つ。
　それ故、ソビエトの核攻撃を恐れたアメリカは常にこの機体に核を搭載させて飛ばしておく事で報復核攻撃が行えるようにしていたのだとか。
　しかし、見事に二度墜落し、どちらの事故でも核爆発はしなかった物の、放射能汚染を引き起こすという大失態を演じます。
　そして、62年から続けられたこの戦略パトロールも最後の墜落を機に68年で中止。

　弾道ミサイル搭載計画もあったようですが、これは潜水艦が担う事になり、これ以降そう言った計画はないそうです。

　冷戦時であっても友好国や西側諸国で導入された事はなく、結局時刻のみが運用しているのだとか。
　そして、62年の最終納入から半世紀が経った今も現役で、古いからこそ積み重ねられ熟成された経験による信頼度もあり改修などを施しつつ70機以上が保有され続けて居るそうです。

　古い機体であるが故に簡素な作りでそれが柔軟な兵装に対応出来る結果となり、加えて維持費も安く済む為にこれ以降の爆撃機などよりも結局長くこの任に就かされる結果となっております。
　何かしらこれより秀でていても、総合力でこの機体に勝った物が登場出来ず、未だ現役に縛り付けられているのだとか。
　何より、もうこれ程の重爆撃機と言う物が必要ない時代となっているので、国としても新規開発に其処迄注力していない為でもあるのでしょうねぇ。

　＊本日の見学者さんは古く簡素な作りであるが故に未だ運用を続けられるという技術的皮肉を含んだ存在ですのでカッパさんで御座います。
　基本は大事という言葉が常につきまとう技術職。
　新しい研究であっても結局それらは細かに分解して行けば様々な理論の基本に立ち返る事になります。
　それ故、考えが煮詰まった時などに現世に出かけ、旧時代の兵器などを見学して初心に立ち返るカッパさん。

　今回であったのは死の鳥と呼ばれ、今なお現役に縛り付けられている巨大な鉄の鳥。
　一点特化であれば性能に勝る物の、維持費などで断念せざるを得なかったり等、総合力に於いて勝る物の無い鉄の鳥。
　そろそろ引退したいと嘆くそのくたびれた鉄の鳥を自身の研究に照らし合わせて見学し続けたカッパさん。
　ある程度考えも纏まったらしく、そのまま帰途に就くのでした。