ライアーフォーカス

「この前は世話になったな、約束通り あんたの望みかなえるぜ 誕生日おめでとう」

真昼「・・・サンキューね」

「それにしても、笑顔の写真ばかり撮っているのはなぜだね？」

真昼「それは・・・人間が一番輝いてる時だから、他に理由はないでしょ？」

「そうかな、人間の表情ってのは晴れの日もあれば、曇りの日、雨の日だってある ありのままに撮るほうが美しいと思うがね、あんたのお母さんのように 何か見たくないものでもあるのかな？・・・っと野暮な事はやめとこう、さあ 行きな」

小泉は東吉の描いたドアをくぐって他の世界へ行った

九頭龍「小泉には、まだ謝らせてくれねえのか・・・？」

「ぼっちゃんよ、謝るってのは何に対してだい？」

九頭龍「それは・・決まってんだろうが！！」

「彼女を殺させたことか？自分の家族同然の女性を死刑台に送っちまったことか？それとも自分の妹を殺されたことを恨んだことか？あと・・・明確な理由もわからないまま謝るってのはまだ早いと思うぜ」

九頭龍「何言ってんだ？他に理由なんてねえだろうが！」

「いーや、あんたも小泉もうすうす感じてるんじゃねえのか？自分の過去についてさ」

九頭龍「・・・」

「例え記憶が頭から失われても、体にも記憶は刻まれるものさ、人は過去からは絶対に逃れられねえ 俺はそのためにあんたたちの世界にやってきたのさ」

九頭龍「俺たちの過去を知って・・何がしてえんだ？」

「『真実』を知るためよ、なぜ希望ヶ峰の崩壊から世界の崩壊につながったのか、そこにはどんな人間がいて、どんな『真実』があったのか、あんたの妹はどうして死ななきゃいけなかったのか・・それを明らかにしなきゃ俺の気が済まねえというかね、いや むしろ やらなきゃいけないのさ それはこの先の未来のためにな・・・」

九頭龍「お前は一体、何者なんだ！？」

「そんなことはどうでもよかろう、あんたのここでの記憶も、元の世界に戻った時は消えている いずれあんたたちの『真実』を俺も見る時が来よう、その時はどんなものが見えるのか『楽しい』とか『悲しい』とか、そんなものはどうでもいい、俺が見たいのはその時にどんなことがあったかだ・・・あんたがつけたこの傷も・・・真実が明らかになるにつれて上書きされていく証なのさ またその時にあおうぜ・・今日は朝日奈葵ちゃんの誕生日も同じ日だそうだ 祝ってやっておくんなさいよ」