【PFT】それでもなお戦い続ける
第一章『アデリアの決戦』の内容になります。
拭いきれぬ違和感と不快感の中、大斧を携えた男―クロッド【illust/49891616】は、この世界<レギリア>の今後を左右するであろう決戦の地にいた。ここで余計なことを考えていたら命取りになる。だからそう、これは主に決戦を前にして抱いたものであり、戦場では実感として伴ってきたことである。
カラドア帝国の力に任せた支配は大きな抵抗力を生み出した。ザイリクの王はその力を我が物としたのだ。よって、あのカラドア帝国に対し有利な状況に至ったこと、それ自体は不思議ではないのかもしれなかった。ただ、あまりにもザイリク王国側が圧倒的過ぎること、明らかにレギリア以外の異国から来たと思われる者の多さ、この二点が気になっていた。にわかには信じ難いが、別の世界から来た者達もいるという話も耳にする。
(…別の世界だと?)
クロッドが生まれ育った国<ナリア>は、カラドア帝国によって滅ぼされた。家族も友人も失い、独りとなった。東レギリアまで逃げ延びた彼は、傭兵という道を選びここまで生きてきた。『何も持たぬ者』として世界に必要とされる戦力であろうとした。それが戦乱の続くこの世界<レギリア>に対する、彼なりの答えだった。『失われてもいい存在として、存在し続ける』そんなことを自分に課して。
別の世界の存在――それは、今まで生きてきた全てを一気にひっくり返されるような、胃の中をかき混ぜられるような、言葉では言い表しきれない不快感をクロッドにもたらしたのだった。
―この白いやつらはなんだ。
突如背後から話しかけてきた青年は「一応味方」だと言う。
「――距離を取れ、あまり近付くと巻き込む」
「おっと、それは危ないね…っと」
青年は戦場に見合わぬ緊迫感のなさで、軽く笑みをを含みながら脇へと飛び退いた。
強者の余裕か。外見は若いが、不意をつき背後を取られた時には一瞬毛が逆立ちかけた。気配でただならぬ者だとわかる。だが…
「…」
「気に障ったかな?」
言葉を交わしながらも、戦いは続いている。本来、無駄話をしている暇などない。
「油断するな」
「へえ、お兄さん、もしかして心配してくれているのかな?」
「当然だ」
「……へえ」
即答すると青年は少し面を食らったようなそぶりを見せたが、その意味を理解する気はなかった。
集中しなければ死ぬだけだ。生き残りたくば戦え――纏わり付く違和感、不快感を振り払うようにクロッドは大斧を振るった。
***
一章遅刻です!長いキャプションにお付き合い下さった方ありがとうございます。
途中からこちら【illust/50117495】の続きとなっております。前半イラストと関係無くて申し訳ないです…。
青年って言ってますが多分かなり年上のジエルさん【illust/49664321】と会話させて頂きました。口調等おかしかったらすみません…!
ロードカノン白銀騎士団様、白いやつらとか言ってしまいすみません…!
■pixivファンタジアT【illust/49662235】第一章おつかれさまでした。ザイリク勝利おめでとうございます!
とりあえず、アデリアの決戦ではクロッドはこんな心境で戦っていましたという感じです…
拭いきれぬ違和感と不快感の中、大斧を携えた男―クロッド【illust/49891616】は、この世界<レギリア>の今後を左右するであろう決戦の地にいた。ここで余計なことを考えていたら命取りになる。だからそう、これは主に決戦を前にして抱いたものであり、戦場では実感として伴ってきたことである。
カラドア帝国の力に任せた支配は大きな抵抗力を生み出した。ザイリクの王はその力を我が物としたのだ。よって、あのカラドア帝国に対し有利な状況に至ったこと、それ自体は不思議ではないのかもしれなかった。ただ、あまりにもザイリク王国側が圧倒的過ぎること、明らかにレギリア以外の異国から来たと思われる者の多さ、この二点が気になっていた。にわかには信じ難いが、別の世界から来た者達もいるという話も耳にする。
(…別の世界だと?)
クロッドが生まれ育った国<ナリア>は、カラドア帝国によって滅ぼされた。家族も友人も失い、独りとなった。東レギリアまで逃げ延びた彼は、傭兵という道を選びここまで生きてきた。『何も持たぬ者』として世界に必要とされる戦力であろうとした。それが戦乱の続くこの世界<レギリア>に対する、彼なりの答えだった。『失われてもいい存在として、存在し続ける』そんなことを自分に課して。
別の世界の存在――それは、今まで生きてきた全てを一気にひっくり返されるような、胃の中をかき混ぜられるような、言葉では言い表しきれない不快感をクロッドにもたらしたのだった。
―この白いやつらはなんだ。
突如背後から話しかけてきた青年は「一応味方」だと言う。
「――距離を取れ、あまり近付くと巻き込む」
「おっと、それは危ないね…っと」
青年は戦場に見合わぬ緊迫感のなさで、軽く笑みをを含みながら脇へと飛び退いた。
強者の余裕か。外見は若いが、不意をつき背後を取られた時には一瞬毛が逆立ちかけた。気配でただならぬ者だとわかる。だが…
「…」
「気に障ったかな?」
言葉を交わしながらも、戦いは続いている。本来、無駄話をしている暇などない。
「油断するな」
「へえ、お兄さん、もしかして心配してくれているのかな?」
「当然だ」
「……へえ」
即答すると青年は少し面を食らったようなそぶりを見せたが、その意味を理解する気はなかった。
集中しなければ死ぬだけだ。生き残りたくば戦え――纏わり付く違和感、不快感を振り払うようにクロッドは大斧を振るった。
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一章遅刻です!長いキャプションにお付き合い下さった方ありがとうございます。
途中からこちら【illust/50117495】の続きとなっております。前半イラストと関係無くて申し訳ないです…。
青年って言ってますが多分かなり年上のジエルさん【illust/49664321】と会話させて頂きました。口調等おかしかったらすみません…!
ロードカノン白銀騎士団様、白いやつらとか言ってしまいすみません…!
■pixivファンタジアT【illust/49662235】第一章おつかれさまでした。ザイリク勝利おめでとうございます!
とりあえず、アデリアの決戦ではクロッドはこんな心境で戦っていましたという感じです…
pixivファンタジアT
pixiv Fantasia T
ロードカノン白銀騎士団
ro-dokanonnhakuginnkishidann
ザイリク
zairiku
アデリアの決戦【青】
aderianokessenn
【猛き者達の剣閃】
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2015-05-04 23:59
Comments (2)
か、カッコイイ…!!素敵な共闘シーンを有難うございます!!多くの失ったものを背負い大きな決意を胸に戦ってきたクロッドさんに平然と不快感を与えておいて、それでも気にかけてくれることにさぞかし驚いたのかなと思いました…!
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