四方掌位

レイレガリアは病床で最後の時を迎えようとしていた

彼は火星におりたち、そこでアルドノアを発見した夢を見ていた

「アルドノアは素晴らしい・・これこそ、人類を救う叡智だ！！・・これさえあれば 人類がみな幸福になることができるのだ・・・！」

「残念ながら それは夢物語に終わったよ」突然声が響いた

「何者だ？」だが 聞き覚えのある声だ

「また会ったな、あなたの過去を描いたものさ、お迎えに来ましたよ」

「そうか・・お前はやはり・・地獄の使いか？さすがに・・天使には見えぬ」

「心外だな 俺はこれでも人間でね アルドノアはあなたの孫娘に受け継がれ、平和への利用を目指して一旦は終息を見せた だがアルドノアを巡る権謀術数の数々が人類にとって限りない悲劇をもたらした事実は直視しなければならん あなたの過去を描き出したのも そのためだよレイレガリア博士」

「・・・そうだったな、お前が描いた私が地球人だったころの日々、神は我々を見捨てたのだ・・ならば我々が神になるしかなかった あやまちだとわかっていても、絶対王政を引いて管理しなければならなかったのだ 全ての人間があれを手に入れれば大変なことになる それほどあれは絶対的な力だったのだ・・・」

「それが多くの人間を虐げることになり、あなたの息子や孫娘たち、何の変哲もない地球人の少年と、もう一人のかつて地球人だった少年の人生をも狂わせた だが、あれは人類にとって必然だったかもしれぬ・・・この物語の完結がどういう方向に向かうかは 全ては風の吹くままよ」

「そうか・・私をどこへ連れて行くというのだ？」

「勘違いしなさんな 6月15日は地球人歴であなたの誕生日だろう おめでとうございますレイレガリアさん あなたにとって大事な人間とともに手をつないで向こうまで飛んでいくがいい その先にあるものが何なのか 俺にはこれ以上描く力がない」

レイレガリアは手をつなぎ 宇宙の向こうへと飛んで行った

「人間ってのは、自分を認めてくれる存在が一人でもいれば それで十分なのさ 家族に恵まれた人間は・・それだけで幸せだよ・・・ここへいざ戦わんと 導かれしは～♪時局をかんがみて、一丸となれ～♪まもり継ぐ～愛と、輝け命～♪果敢に進む、我ら～誇りと 共に～♪」