【仁本物語弐】女衒屋 裕夢【第壱世代】
世代交代企画「仁本物語【弐】【illust/52333018】」へ参加させていただきます。
文明退化の昨今仁本におきましては皆様いかがお過ごしでございましょう。
増えるガス灯、拓く道 されど路地裏の闇は深くなりゆくばかり、ばかり。
ここにおわすはしがない女衒屋。
そんな深みへいたいけな少女たちを引きずり込む
人の身なれどその性分、まさに化け物にございます。
「俺なんかを信じたあんたが悪いだ」
俺はあんたにただ幸せになってほしかった
□
「はじめまして。 私がお招きにあずかりました女衒屋裕夢にございます。 さて、件の娘様はどちらでしょう」
「ヤァヤァお待ちしておりました。 あなたの一生を私に預ける覚悟はできましたか」
「安心しなよお嬢さん。 あんたほどの別嬪さんを、掃き溜めみたいなとこにゃあ送らねえよ」
名前:裕夢
職業:女衒
性別:男
年齢:35歳
種族:人間
素性の知れない女衒。
薄汚れた風貌に似合わず人当たりの良く、柔和な言葉遣いをする男。
その立ち居振る舞いから人の懐に入るのが得意で
幾多の貧しい家から娘を買い受けてきた。
女を食い物にしながら
女に食い物にされる男共を傍らでよく見ていたため、
女の扱いのモットーは「落とさず、上げず」
その適度な距離感が心地よいと遊女たちからの評判は良く
また、斡旋後の面倒見も良いので女衒としての信頼も厚い。
それが本人にとっては重荷でならなかった。
□
詳細の知れぬその素性の正体は
先の天災にて一族のほとんどが死傷し、一家離散のことと相成った悲劇の華族『菅部男爵家』の末の息子。
人当たりの良さの元となっている、どこか品のある物腰の由来は華族だったころの名残。
小さいながらも会社を興していた当主の父を尊敬し、よくついて回っていたため人を見る目と交渉の話術はその社交の場で身につけた。
そんな華々しい思い出の一つ一つのすべてが今の女を陥れる職の助けになっていること
そんな職の自分の地位を助けていることが耐えがたく
過去を思い出すたびに良心の呵責に苛まれている。
せめてもの罪滅ぼしにと遊女たちへ文字を教えたり
恋文の代筆を行ったりしている。 達筆。
「そんなことしたからなんだってんだ」
「俺が最低な人間なことを、あんたには忘れないでいてほしい」
□10/16素敵なご縁がありました!
野猪芳江さん【illust/52911836】
さてさてこの卑しき女衒屋、商売の道すがらとある少女に出合ったのです。
-あんなに世の中が憎くて、生きるのが苦痛だと訴えているくせに「世界が好き」とのたまうとは酔狂な娘さんだ。
年のころは一回りと少しばかり離れていましょうか
彼女はとある村の村長のご令嬢
重苦しい呪いを負ってなおもがき生き続ける、いじましいばかりの少女でございました。
「のろい…呪い―――ですか。 いたいけなお嬢さんとその娘を代々呪うとはずいぶんと心の狭い神様だ。
だが残念でしたね。 私には貴女の心が透けて見えるのですよ」
「貴女は自分の生きる世界が嫌いだ そうでしょう?」
-そうさ、俺と同じように
始まりはそう、よく似た感情を心の昏いところに持つ者同士の慰めあいを期待していたのかもしれない。
一人の少女に手を差し伸べることで、今まで女どもを暗がりに落としてきた罪の清算を期待していたのかもしれない。
けれど
少女の心の壁が解けていく 簡単に傷に触れ合ってしまえるほどに溶けて小さくなっていく
「近くで見ると――ああやっぱり。 お嬢さんの目は正直者の目をしている」
触れてしまえば溢れてしまう 堤防の代わりに立ちふさがってくれていた壁はもう、ないのだから
「俺を『女衒』と呼ばないのはあんただけなんだ。
俺を『嫌って』くれるのもあんただけで 俺を『好いて』くれるのも
あんただけ あんただけなんだよ。 芳江さん」
「こんな年かさのいった男なぞに言い寄られて、迷惑だろう。 迷惑だと言ってくれよ、芳江さん」
「そうすれば俺は」
「あんたを信じてしまうから」
「俺が幸せになるなんて馬鹿げている。 許されるはずがない。
だから俺は貴女に愛をささげ続けるけれど 貴女はずっと俺に『嫌い』と
そう言い続けてくれないか」
「愛している、芳江。 俺は貴女に出合って初めて死にぞこない続けたことに感謝したんだ」
嫌い 嫌い 世界のすべてが大嫌い
だけど貴女の傍ら数寸だけは 愛おしくてたまらない世界になると知った。
どうぞ末永くよろしくお願いいたしします。
□関係者様
気都 喜左さん【illust/52809172】
「嫌な妖怪に捕まっちまったもんだ。 仕方がない、賽銭なら置いてってやるよ。 だがそこまで言うからにゃあご利益は期待していいんだよな? 喜左の旦那」
気が向いたときに立ち寄る神社の神主(?)さん。正体が何であれ、貴重な気の置けない話し相手と思っています。
□
偏屈で悪人になり切れない悪人です。
敵か味方かでいうと間違いなく女の敵。
婚姻のほかにも既知・友人関係など結んでいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
文明退化の昨今仁本におきましては皆様いかがお過ごしでございましょう。
増えるガス灯、拓く道 されど路地裏の闇は深くなりゆくばかり、ばかり。
ここにおわすはしがない女衒屋。
そんな深みへいたいけな少女たちを引きずり込む
人の身なれどその性分、まさに化け物にございます。
「俺なんかを信じたあんたが悪いだ」
俺はあんたにただ幸せになってほしかった
□
「はじめまして。 私がお招きにあずかりました女衒屋裕夢にございます。 さて、件の娘様はどちらでしょう」
「ヤァヤァお待ちしておりました。 あなたの一生を私に預ける覚悟はできましたか」
「安心しなよお嬢さん。 あんたほどの別嬪さんを、掃き溜めみたいなとこにゃあ送らねえよ」
名前:裕夢
職業:女衒
性別:男
年齢:35歳
種族:人間
素性の知れない女衒。
薄汚れた風貌に似合わず人当たりの良く、柔和な言葉遣いをする男。
その立ち居振る舞いから人の懐に入るのが得意で
幾多の貧しい家から娘を買い受けてきた。
女を食い物にしながら
女に食い物にされる男共を傍らでよく見ていたため、
女の扱いのモットーは「落とさず、上げず」
その適度な距離感が心地よいと遊女たちからの評判は良く
また、斡旋後の面倒見も良いので女衒としての信頼も厚い。
それが本人にとっては重荷でならなかった。
□
詳細の知れぬその素性の正体は
先の天災にて一族のほとんどが死傷し、一家離散のことと相成った悲劇の華族『菅部男爵家』の末の息子。
人当たりの良さの元となっている、どこか品のある物腰の由来は華族だったころの名残。
小さいながらも会社を興していた当主の父を尊敬し、よくついて回っていたため人を見る目と交渉の話術はその社交の場で身につけた。
そんな華々しい思い出の一つ一つのすべてが今の女を陥れる職の助けになっていること
そんな職の自分の地位を助けていることが耐えがたく
過去を思い出すたびに良心の呵責に苛まれている。
せめてもの罪滅ぼしにと遊女たちへ文字を教えたり
恋文の代筆を行ったりしている。 達筆。
「そんなことしたからなんだってんだ」
「俺が最低な人間なことを、あんたには忘れないでいてほしい」
□10/16素敵なご縁がありました!
野猪芳江さん【illust/52911836】
さてさてこの卑しき女衒屋、商売の道すがらとある少女に出合ったのです。
-あんなに世の中が憎くて、生きるのが苦痛だと訴えているくせに「世界が好き」とのたまうとは酔狂な娘さんだ。
年のころは一回りと少しばかり離れていましょうか
彼女はとある村の村長のご令嬢
重苦しい呪いを負ってなおもがき生き続ける、いじましいばかりの少女でございました。
「のろい…呪い―――ですか。 いたいけなお嬢さんとその娘を代々呪うとはずいぶんと心の狭い神様だ。
だが残念でしたね。 私には貴女の心が透けて見えるのですよ」
「貴女は自分の生きる世界が嫌いだ そうでしょう?」
-そうさ、俺と同じように
始まりはそう、よく似た感情を心の昏いところに持つ者同士の慰めあいを期待していたのかもしれない。
一人の少女に手を差し伸べることで、今まで女どもを暗がりに落としてきた罪の清算を期待していたのかもしれない。
けれど
少女の心の壁が解けていく 簡単に傷に触れ合ってしまえるほどに溶けて小さくなっていく
「近くで見ると――ああやっぱり。 お嬢さんの目は正直者の目をしている」
触れてしまえば溢れてしまう 堤防の代わりに立ちふさがってくれていた壁はもう、ないのだから
「俺を『女衒』と呼ばないのはあんただけなんだ。
俺を『嫌って』くれるのもあんただけで 俺を『好いて』くれるのも
あんただけ あんただけなんだよ。 芳江さん」
「こんな年かさのいった男なぞに言い寄られて、迷惑だろう。 迷惑だと言ってくれよ、芳江さん」
「そうすれば俺は」
「あんたを信じてしまうから」
「俺が幸せになるなんて馬鹿げている。 許されるはずがない。
だから俺は貴女に愛をささげ続けるけれど 貴女はずっと俺に『嫌い』と
そう言い続けてくれないか」
「愛している、芳江。 俺は貴女に出合って初めて死にぞこない続けたことに感謝したんだ」
嫌い 嫌い 世界のすべてが大嫌い
だけど貴女の傍ら数寸だけは 愛おしくてたまらない世界になると知った。
どうぞ末永くよろしくお願いいたしします。
□関係者様
気都 喜左さん【illust/52809172】
「嫌な妖怪に捕まっちまったもんだ。 仕方がない、賽銭なら置いてってやるよ。 だがそこまで言うからにゃあご利益は期待していいんだよな? 喜左の旦那」
気が向いたときに立ち寄る神社の神主(?)さん。正体が何であれ、貴重な気の置けない話し相手と思っています。
□
偏屈で悪人になり切れない悪人です。
敵か味方かでいうと間違いなく女の敵。
婚姻のほかにも既知・友人関係など結んでいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
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2015-10-01 00:40
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