【HD国鉄電機01】国鉄最速の直流機【EF66形】

日本国有鉄道→西日本旅客鉄道・日本貨物鉄道EF66形：
東海道・山陽本線系統の貨物列車の高速化と、その高速貨物列車における重連運転解消による省力化を図るべく、
大出力・高速の機関車が設計された。
1966年に試作機EF90形が製作され、F級の機関車でありながら、EF65形と比較すると総出力は向上しており、
その定格出力は国鉄の高速直流電機としては最大の3900kWとなっている(EF65形は2550kW)。
これにより、牽引定数は1200tと大差ないものの、高い出力を活かして110km/hでの貨物列車牽引が可能となった。

試験成果を踏まえて1968年より量産化され、EF66形の呼称が与えられる。同時にEF90形もEF66形に編入されて901号機となった。
駆動方式は「中空軸可撓駆動」という独自の方式を採用している。
車体は両端を押し出しの強い流線形としており、当時の国鉄の特急型電車やヨーロッパの電機を思わせる
力強さと美しさを兼ね備えたデザインで、性能面とデザイン面の双方が評価され、1969年にはブルーリボン賞を受賞。
現在のところ、電気機関車としては唯一のブルーリボン賞受賞車両である。

EF66形はレサ10000系貨車を使用した生鮮品輸送列車「とびうお」「ぎんりん」などに使用され、
高速貨物列車の顔として活躍を続けてきたが、1980年代以降の車扱貨物の減少に伴い余剰が発生すると、
1985年からは「さくら」「はやぶさ」「富士」などのブルートレインの牽引を行うようになった。
本来の用途である貨物列車の減少による余剰機の活用、ということで残念がられた一方、
デザインが美しいためEF66とブルートレインの組み合わせは人気を集めた。

国鉄民営化後は40～55号機をJR西日本が継承し、引き続きブルートレイン牽引に充てたほか、
1～39・901号機はJR貨物が継承し、「フレートライナー」を始めとするコンテナ貨物列車の牽引に使用した。
この間、JR貨物所属機はキャブ・クーラーの設置や幾たびもの車体修繕と塗装変更を受けているため
時期によってさまざまなバリエーションがある。

一方のJR西日本所属機は寝台列車そのものの削減が進んだため徐々に活躍が減り、41・44・52・54号機がJR貨物に移籍。
残った車両は「富士・はやぶさ」が2009年に廃止されたのに伴いほとんどが廃車となり、
最後まで残った45・49号機も2010年に廃車となった。このためJR西日本には現在配置がなく、
JR貨物のみに残存している。

なお、1989年より製造された100番台については、ページを改めて紹介したい。