＃３　一衣帯水

俺（今日はこれくらいで上がろうか）

夕食後の運動―
部活で汗を流した後ではあるけど、どうにも身体を動かさないと不安で
雨の日やテスト期間以外はこうして傍の公園で筋トレやストレッチをするのが
ほぼ日課になっていた
オーバーワークにはもちろん気をつけているのだけど…

いつもの課題を終えて家に戻る準備をする

？？「あ、あれ！？」
声のするほうを振り返ると

俺「先生？」
牧野「なんでこんなところに？」

俺「俺んちすぐそこなんですよ
食後の運動ってところです。室内だと家族もいるんで気になって

先生はなんで？」

牧野「私も家、すぐそこなんだよ」
そう言って奥を指差した

俺「え!
あの橋の前ですよね？コーポ岩崎ですか？」

牧野「う、うん。そう。
よくわかったな」

俺「橋を挟んで向かいが俺ん家ですから」

牧野「なんだ。そうだったのか」
先生はにこっと笑った

俺「うっかり醤油や砂糖が切れた時は来て下さいよ
それじゃ　お休みなさい。先生」

牧野「あぁ、お休み」

驚くほどの緊張が身体を駆け巡っていたけど
それでもなんとか普通に会話できて安心した

胸をなでおろすと
彼女の後ろ姿を追う形で、俺も帰途についた