地蔵菩薩峠の雨に消える
灰崎は二人の不良から一方的にボコられていた
「よぅ灰崎くんよぉー、今日はずいぶんシャバいじゃねえのー どしたのー?もう不良は卒業ですかぁー?実はそこで犬のフンを踏んじまってよぉー、お前の体で拭かせろよなー、ヒャハハハハハ!!ボロゾーキンのようなお前にはぴったりだぜぇー!!」
「おう、もうそろそろ行こうぜ、こんなウンコくせえ奴相手にしてたら、こっちまでニオイがうつっちまうぜ、いいかぁ?今度でけー顔して表歩いてたら殺すぞ!?今度からスカートでもはいて歩けよ、灰崎凌子ちゃあーん!!ギャハハハハハハ!!!」
気がすんだのか、二人は爆笑しながら灰崎にツバを吐きかけて去っていった
灰崎は遠ざかる意識の中で、母が昔歌ってくれた子守歌を聞いていた
彼は久しぶりに心地よい気分で、母におぶられる夢を見ていた
そして気が付くと、本当に誰かに背負われているのだった
「気が付いたか?」
最初はわからなかったが、その相手の顔を見ると
灰崎は急に恥ずかしくなって、狼狽した
「・・・キャプテン!!何をしてんだ!下ろせよ!!」
「けが人を放って帰れというのか?俺はキャプテンだぞ!?」
「今は部活じゃねえ!!関係ねえだろ!!」
灰崎がどんなにわめいても、水神矢はやさしく笑っていた
「だが今はお前の世話係だ、なぜなら先輩として・・人間として放ってはおけないからな、それにずいぶん汚れてるじゃないか、家に連れて帰って風呂に入れてきれいにしてやるよ!」
水神矢の実直な性格を知っている灰崎は、これ以上逆らっても無駄だと悟った
「・・・・フン、物好きだな あんた」
「まあな、将来は介護士になるつもりだよ」
「・・・俺は年よりかよ!!」
「まぁ、手のかかる子供かな?」
「ケッ!!あの道を通ってくれよ、人通りが少ない」
灰崎は地蔵通りを指さした
「はいよ、実は俺はお前に謝らなきゃいけないんだ、お前のことを知ってるつもりで、まるで知らなかった・・・俺は恥ずかしいよ、だから今日のお前の屈辱は俺の屈辱だ、だが決して相手に報復しようなんて考えるなよ?お前は星章学園の一員なんだから・・・後は仏様が罰してくださるさ」
「・・・・」灰崎は何も言わなかった、というか言えなかったのだ
灰崎は自分の体が心底から熱くなって行くのを感じた
冷たい雨に打たれているのにもかかわらず
水神矢も照れ隠しに歌をうたった
「なーきはーななきー♪ねーんこー♪つらにくし~♪わーるいーまなこを~ぬいて~やーろー♪」
水神矢はその通りに歩きながら歌を歌った
「まったく、とんだ厄日だぜ・・・」
灰崎は自分を背負わせた男に、遠い昔に慕っていた人を思い出していた
顔を見られてなかったのが幸いだった
灰崎の顔に無邪気だったころの面影が浮かんだ
~どうでもいい注釈~
どこかにある『ちゃいるど・ぷれい神社』に願をかけると
人形たちが復讐を代行してくれるという伝説がある
しかし、それは同時に自分に呪いがかかる 恐ろしいもの
試したものがいるかは 記録には残っていない
「よぅ灰崎くんよぉー、今日はずいぶんシャバいじゃねえのー どしたのー?もう不良は卒業ですかぁー?実はそこで犬のフンを踏んじまってよぉー、お前の体で拭かせろよなー、ヒャハハハハハ!!ボロゾーキンのようなお前にはぴったりだぜぇー!!」
「おう、もうそろそろ行こうぜ、こんなウンコくせえ奴相手にしてたら、こっちまでニオイがうつっちまうぜ、いいかぁ?今度でけー顔して表歩いてたら殺すぞ!?今度からスカートでもはいて歩けよ、灰崎凌子ちゃあーん!!ギャハハハハハハ!!!」
気がすんだのか、二人は爆笑しながら灰崎にツバを吐きかけて去っていった
灰崎は遠ざかる意識の中で、母が昔歌ってくれた子守歌を聞いていた
彼は久しぶりに心地よい気分で、母におぶられる夢を見ていた
そして気が付くと、本当に誰かに背負われているのだった
「気が付いたか?」
最初はわからなかったが、その相手の顔を見ると
灰崎は急に恥ずかしくなって、狼狽した
「・・・キャプテン!!何をしてんだ!下ろせよ!!」
「けが人を放って帰れというのか?俺はキャプテンだぞ!?」
「今は部活じゃねえ!!関係ねえだろ!!」
灰崎がどんなにわめいても、水神矢はやさしく笑っていた
「だが今はお前の世話係だ、なぜなら先輩として・・人間として放ってはおけないからな、それにずいぶん汚れてるじゃないか、家に連れて帰って風呂に入れてきれいにしてやるよ!」
水神矢の実直な性格を知っている灰崎は、これ以上逆らっても無駄だと悟った
「・・・・フン、物好きだな あんた」
「まあな、将来は介護士になるつもりだよ」
「・・・俺は年よりかよ!!」
「まぁ、手のかかる子供かな?」
「ケッ!!あの道を通ってくれよ、人通りが少ない」
灰崎は地蔵通りを指さした
「はいよ、実は俺はお前に謝らなきゃいけないんだ、お前のことを知ってるつもりで、まるで知らなかった・・・俺は恥ずかしいよ、だから今日のお前の屈辱は俺の屈辱だ、だが決して相手に報復しようなんて考えるなよ?お前は星章学園の一員なんだから・・・後は仏様が罰してくださるさ」
「・・・・」灰崎は何も言わなかった、というか言えなかったのだ
灰崎は自分の体が心底から熱くなって行くのを感じた
冷たい雨に打たれているのにもかかわらず
水神矢も照れ隠しに歌をうたった
「なーきはーななきー♪ねーんこー♪つらにくし~♪わーるいーまなこを~ぬいて~やーろー♪」
水神矢はその通りに歩きながら歌を歌った
「まったく、とんだ厄日だぜ・・・」
灰崎は自分を背負わせた男に、遠い昔に慕っていた人を思い出していた
顔を見られてなかったのが幸いだった
灰崎の顔に無邪気だったころの面影が浮かんだ
~どうでもいい注釈~
どこかにある『ちゃいるど・ぷれい神社』に願をかけると
人形たちが復讐を代行してくれるという伝説がある
しかし、それは同時に自分に呪いがかかる 恐ろしいもの
試したものがいるかは 記録には残っていない
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2018-07-28 16:20
Comments (2)
さすがですね。分三郎さん(^^♪ラストの明日人君が泣いていた理由も奥深いです・・・ 灰崎君が理不尽に一方的にボコられたシーンを見た時は共感性羞恥というものが湧きまして、私も1年ぶりに創作意欲に駆り立てられました
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