カール・シャルロッタ・ヘンネンハイム　提督

ゼンクセン帝国軍の最高司令官として日露宇宙戦争、スカンザ宙域動乱、極点宙域防衛戦争、第一次スカンザ宇宙戦争を指揮した。
当初は士官候補生としてロシア帝国宇宙軍に入隊し、日露宇宙戦争などで実績を積み将軍となった。第一次宇宙世界大戦中にスカンザ宙域で大規模な動乱が発生し、その後の混乱から起こった極点宙域防衛戦争で、本国防衛軍の司令官としてプロイセン宇宙王国、ポーランド宇宙共和国、オーストリア＝ハンガリー二重帝国の宇宙艦隊を撃退し、そして第一次スカンザ宇宙戦争では、新生ロシア超帝國と対峙、スカンザ宙域をゼンクセン宇宙帝国の盟主たる決定的な勝利を確実にし、ゼンクセン宇宙帝国で最も偉大で人気の高い将軍となった。
しかし、ヘンネンハイムの最高司令官としての戦時の記録は評価が簡単ではなく、今日でさえ、ヘンネンハイムの大きな名声に対抗して戦争中の指揮内容はほぼ国家反逆であるという批判が存在する。こうした批判はおそらく最も簡単なのは彼女の役割を政治家と軍司令官の2つに分けることである。軍司令官としての彼女はおおむね成功した。彼の指導の下、軍はゼンクセンをロシアの占領から守った。彼女は艦隊戦力を浪費しないように注意しており、不要な危険を避けた。
おそらく最大の短所は人を介して報告を聞くことを嫌うことである。彼女は政治力にも優れていたが、逆に優れすぎていて、本国の政治家の進言をほぼ無視し、独断で敵軍の将校と交渉するなどやりたい放題だったが、結果としてうまく成功し、無能な本国の政治家や貴族連中を相手にしていなかった。
彼女は軍人、政治家として国家の主権存続のためにあらゆる手段を行い、結果、成功するが、多くの本国の政治家や貴族たちは「結果論ありきで話し、非常に権威主義的なヘンネンハイムは傲慢」との評価を下している。
出身はゼンクセン帝国と新生ロシア超帝国との国境宙域付近のセンゲンマンデ星。
父親はロシア帝国に半分自治を認められていたソフィンム大公国で市民軍の将校であり、議会議員であり伯爵の称号を得ていた特権軍閥貴族で、シャルロッタは身長187ｃｍを超す長身で堂々たる体格とず太い性格をしており非常に乱暴者で、毎日、酒場やカジノに入り浸り乱闘や乱痴気騒ぎを起こしており、大学での素行の問題から自己規律と専門知識を習得させるために父親はブチ切れてシャルロッタをロシア帝国軍にぶち込んだ。
父親にぶん殴られて軍隊に入隊させられたシャルロッタは「敵の軍隊、ロシアに娘をぶち込んで戦地に行かせるなんて、最高な父親を持って私は幸せものだ！思う存分大暴れできる」と笑ったと逸話がある。

当時の新生ロシア超帝国は大日本宇宙帝國と極東宙域の利権をめぐって非常に険悪な情勢下にあり、同盟国や支配下の有力な軍閥や貴族からの支援が必要であり、ヘンネンハイムは近衛騎兵艦隊に配属になり、そこで厳しい規律と艦隊運用のイロハを覚え、ついにロシアと日本が極東宙域で激突する「日露宇宙戦争
」が勃発すると、ヘンネンハイムは奉天宇宙会戦において騎兵2個艦隊を指揮してロシア軍右翼で警戒と偵察を行い、大日本宇宙帝國の第三宇宙軍の行動を捉えるなどの功績を挙げ、昇進した。
戦後、シャルロッタは見聞と地域事情と軍事情勢を調査する諜報活動を兼ねたアジア、極東宙域を数百年旅し、中国宙域の遅い近代化、教育、軍の改革、異民族地方のカタリナ社宇宙勢力の殖民地化、工業、産業、宇宙航路建設、日本の影響などを報告書としてまとめた。
その功績が認められ、ロシア皇帝を護衛する近衛長槍騎兵連隊の指揮官を任される。
その後、オーストリア＝ハンガリー二重宇宙帝国がセルビアへ宣戦布告を行い、セルビア独立を支持するロシアは動員を開始した、のちに第一次宇宙大戦と呼ばれる宇宙全体を巻き込んだ大宇宙戦争で、近衛騎兵宇宙艦隊はロシア第4宇宙軍に配備されオーストリア＝ハンガリーに対する緒戦と、続く戦いで名を上げ、聖ゲオルグ十字章を受けている。彼女はこの章を受けたときに「今、心安らかに死ねる」と語ったという。

第一次宇宙大戦のさなか、スカンザ宙域ではカタリナ社ドイツ局の宇宙勢力の影響が強くなり、これを危惧した新生ロシア超帝国は、ヘンネンハイム提督に、本国に戻り情勢を探るようにゼンクセン宇宙帝国に派遣された。
この時点で、ロシアとゼンクセンの間は良好で、ヘンネンハイムはゼンクセン宇宙帝国の高級将校として宇宙艦隊の司令官に着任し、騎兵艦隊大将として序列を示した。
スカンザ宙域動乱、極点宙域防衛戦争では、スカンザ宙域で大規模な動乱が発生し、その後の混乱から起こった極点宙域防衛戦争で、本国防衛軍の司令官としてプロイセン宇宙王国、ポーランド宇宙共和国、オーストリア＝ハンガリー二重帝国の宇宙艦隊を撃退したが、勝利を収めると、ゼンクセン政府は親ドイツの勢力が強まった。
戦後、新ロシアに反対する発言から、ヘンネンハイムは中道から左派、保守派、貴族派にかけての多くの政治家や貴族から問題人物と見られていた。ゼンクセンの社会主義者はヘンネンハイムを「ブルジョワジー」や「白い将軍」と認識し、反感を抱いていた。ヘンネンハイムは主義主張に基く現代の政党政治や旧来の貴族連中がよい指導者を生み出せるかどうか疑問に思っていた。彼女の悲観的な認識としては、国益は党利党略のために「民主的な政治家」「懐古主義的な貴族」によって頻繁に犠牲にされていた。
この頃のゼンクセン宇宙帝国は名前だけの象徴的な皇帝と、過去の権威を振り飾す貴族と愚民のご機嫌取りしか考えない低能な政治家によって混乱期にあり、ファシスト政権のナチスドイツ宇宙勢力と旧来の帝国主義を推し進めるロシア帝国勢力の間に挟まれていた。

彼女はドイツも信用していなかったが、長年、軍で勤めてきたロシアも信用していなかった。
改めてゼンクセン宇宙帝国は、ゼンクセンたるべしと結論づけ、スカンザ宙域の交易利権をめぐってロシア帝国と大激突した。
ゼンクセン宇宙帝国は新生ロシア宇宙帝国より軍事力、国力は劣っていたが、スカンザ宙域にロシア艦隊が侵入するには、極点宙域の複雑に入り組んだ宇宙航路や極度に凍結した絶対零度宙域などの難所を抜けてこなければならず、ゼンクセンは自軍に有利な防衛陣地を構築し、ロシア艦隊を待ち伏せしたりしてなんとか本国領土を防衛することに成功する。
当初、ロシアはヘンネンハイムは親ロシア側の人間で、戦争は起きないだろうとたかをくくっていたのが失敗の一つであり、また彼女はロシア帝国軍の戦術や戦略をこれ以上ない程に熟知し、手の内を知り尽くしていた。
この戦争後にゼンクセン宇宙帝国はスカンザ宙域の盟主たる確固たる地位を築くが、政治家や貴族連中はロシアやドイツに対してあえて敵対するような行動をとったヘンネンハイムを邪魔もの扱いした。
せっかくの利権や貿易交渉でロシアやドイツに対して政治家や貴族の権益が少なくなったのが原因の一つだったが、国民は主権存続と独立を維持したことを評価したので、表立って批判はできなかった。