不撓不屈、紫苑の重騎士

リュウソウジャーの物語が始まる以前の『スーパー戦隊最強バトル!!』にて正体不明の第三勢力として姿を現したガイソーグ。キョウリュウジャーのドゴルドの血を引く『生きた鎧』という正体で終わると思いきや、劇場版では過去の世界での強敵として存在感を示し、テレビシリーズでまたも登場、リュウソウジャーたちの尽力でその宿命から解放されたのも束の間、素顔となったナダさん共々壮絶な散り様を見せるという立場の目まぐるしさは歴代シリーズの善玉ではなかなかいないのではないだろうか。

リュウソウレッドのコンペでコウに敗れ、ヒーローの成り損ないと自分を責めて責めて責めまくっていたナダさんの心の隙に『生きた鎧』が付け入った。ひょっとしたらナダさんは子供たちではなく親御さんの方からの人気があったのではないだろうか。彼にしてみれば、自分は何故リュウソウレッドになれなかったのだろうと思っていた訳だが、大人になると彼ほどではないにせよ似たような経験をする人は数多いと見ている。考えても見れば、人気の職業程定数は少ない訳で(例えばプロスポーツ選手を志す子供は沢山いそうだが当のプロスポーツ選手、それも花形ともなれば何万人単位でいるものではないよね)、そのチャンスを射止めることができなかった彼の心中は測り知れないものがある。ゴレンジャーやチェンジマンには予備軍がいたけどリュウソウ族にそんなシステムはないらしく、いろいろ知っていると彼の不憫さがより一層浮彫になってしまうのである。似た境遇のキャラクターは最近のジャグラス・ジャグラー(ウルトラマンオーブ)をはじめ沢山いるし、主人公以上に波乱万丈な人生を送っている訳だから彼が主役の話が作れても全くおかしくない。あそこまで作品を盛り上げたのだから散ってしまうにはあまりにも惜しい!!その点、彼の形見であるマックスリュウソウチェンジャーが慰霊碑に供えられていたのがせめてもの救いか。