ハイスピードの恋 スローダウンの夢（漫画84話）

幼いころ、日本に来てからからずっと右も左もわからない自分の面倒を見てくれていた。守ってくれていた。ずっと、一緒にいた。けれども、周りが言うように２人は恋人かと言うと、少し違う様にも思う。　…――でも―――…巧君と離れ離れ…。鍵盤の上の指が止まる。◆◆　
規則正しく並んだ白と黒の88の鍵盤。指で弾くと内部で羊毛に包まれたハンマーが弦を叩き、そして発せられる音。鍵盤打楽器ピアノ。ソフィの自己表現のフィールド。ソフィは母に倣ってピアノと共に在る。叔父Jazzドラマーのミハエルと交わした約束｢いつか一緒に、大きな舞台で｣を胸に、この道を歩んできた。春になれば、４月からは東京の音楽大学で学ぶ。クラシックを専攻したのは母の薦めだ。自分は、卒業したら音大に進学するために東京へ。巧は、名古屋の工業大学に通うため地元に残る。冬の終わりが近づくにつれ、その実感がソフィの胸を締め付けていた。◆◆
…――！！…私…これまで、巧君に｢してもらって｣ばかりで、まだ何も｢してあげて｣いない……。…何も、返せていない…。
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★BGM★
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