【てんしおん】貧乏転じて福となる

前【illust/87206856】
（貧乏神が福の神になる昔話が、この話の構想のもとになってますん）

天子さんのそばにいたい。
天子さんのそばにいられる自分になりたい。

わかってるんだ。
天子さんの魅力に、ボロボロの私が不釣り合いだって。

ずっと考えていた。
どうしたら、隣にいる自分が想像できるだろうって。
　
　
ボロボロの服を着替えたらいい？

お風呂に入って清潔になればいい？

ボサボサの髪を解かしたら綺麗になるかな？
　
　
もちろん身だしなみだって大切なこと。
でも違う。

人間たちをみていて気がついたんだ。
綺麗な人間は多くはないけど、少なくない。

綺麗な人間の中に、不思議と汚くみえる人間がいるんだ。

今の私が身だしなみを整えても、裕福になったって、きっとそういう人間みたいになってしまう。
　
　
・・・私が天子さんに惹かれた魅力。
それが私に足りないもの。

笑顔には笑顔。
悲しみには寄り添って。
どんな小さな幸せだって喜んでくれる。

それができたなら、貧乏なんて・・・。
なんて些細なことなんだろう。
　
　
「天子さん・・・。私も一緒にたくさんの人に手を差し伸べたい。貴女と一緒にいたい。」

気がつけば、私は福運をまとっていた。
今の私は、もうそれが欲しいわけじゃないんだ。

人の幸せを喜べる人に、この福運が届きますように・・・。