【てんしおん】本当に欲しいものは

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（表現したいものが表現しきれないの辛い。絵も文も。）
（このシリーズは次でラストの予定す）
　
　
いつの間にか、当たり前の日常になっていた天人様と過ごした日々。
でも、どんなことにも変化は訪れるんだ。

人間と違う私は歳も取らないし寿命もない。
長い時間を生きる分、些細な変化に無関心になっていく。

でも、だからこそ、日常が壊れる恐ろしさを忘れて。
不意に訪れる大きな変化に絶望するんだ。
訪れる変化に、命の長さなんて関係ないんだって思い知らされる。

「もう・・・ここにいられない・・・ですか・・・？」

「ごめんね・・・・。紫苑ちゃんの引っ越し先はずっと探してたんだけど・・・。」

私が暮らしていた廃屋の買い手がついてしまった。
ゴミ溜めで、貧乏の気が漂うの私の住処は、時々来る天人様に清められていたのかもしれない。
　
　
何が悪かったんだろう？

誰かに落ち度があるかどうかなんて話じゃない。
でも、壊れていく日常を予想して、いたずらに自分の落ち度を探して自分自身を慰める。

天人様ともう会えないなんて勝手な想像を膨らませて。
　
　
私は何を失うんだろう？

いまここにあるものなんて、天人様が持ってきてくれた食べ物と、私が飾り付けたボロボロの花とゴミばかり。

勝手に住み着いた廃屋から、邪魔にならないうちに出ていく。
そんなこと、今まで当たり前にやってきた。
今度もそのつもりだった。

失うものなんて、何もないはずなのに・・・。
胸が、苦しい。

「うわああん！！」

どうしていいのかわからなくて、天人様に泣きついて。
天人様は優しく抱きとめてくれる。
　
　
天人様の腕の中はまるで天国のように落ち着く空間だった。
あっという間に涙はひいて、私は天人様の顔を覗き込んだんだ。

心底心配そうな天人様の顔を見た時。
私が本当に欲しいものが分かった気がする。
　
　
　
私は、天人様・・・天子さんが大好きで。
天子さんの笑顔を見たいんだって。

欲しいものが、「物」じゃないなんて。

貧乏神なのにね・・・。