公園に行った

僕、今年でいくつになるのか忘れちゃったけどみんな話してくれなくてね。
誰も返事をしない部屋の中は暑いってんで、近所の公園に行って誰もいないベンチに腰掛けたわけだ。
そしたら、変なの。さっきまで夕方だったのにすっかり真夜中で、十三歳で止まったあの子が寂しそうにそこに座ってるもんだから、どうした君って話しかけたんね。
するとあの子は喋らないくせにこっちを向いて微笑んだ。
僕は、顔を知っていながらも、変な子だなーって思って。軽く手を挙げて逃げるようにブランコに乗った。
今度はねぇさっきよりもはっきり見えるんだけど、その子が隣に座ってて、
一緒にブランコを漕いだんだよ。
ぐるんぐるんするほど激しく遊んだ後、最後は勢いをつけてぴょんと飛び降りた。
正直、酔って気持ち悪かった。苦しくなってくるのを我慢して出口に向かうと、もう行っちゃうんだねというような顔で見つめてきたもんだから、それが頭に焼き付いてしまった。
酔ったのと怖くなったのとで四回くらい吐いた。
そのあと行き慣れた道で何故か迷って、帰ってきたらあの公園にいた。
また来てくれたんだねと、あの子は闇が深そうに笑ってたよ。
消える直前に言ったね。
人の命って尊くて柔らかいんだよ。涙は汚れて黒くなる前に雨で流してびしょ濡れになろうね。
あ、この公園に来るときはかならず二人で来てね。それとゴミは持ち帰るように。とくにタバコを吸ってはその辺に捨ててるあんただよ。