file.13 「ントバス」

名前を「■■■トバス」から「ントバス」に改名。前の名を記しておく必要はないため、伏せておく。

子どもが無邪気に描いたようにも、荒んだ大人が筆を取ったようにも見える絵画のモンスター。日々その色や形を変えているが、現状はそれだけに留まっている。こちらに何かを伝えたいのだろう。その意志だけは感じられる。

前任者は、この紙に宿るモンスターの姿に飲み込まれ、あのような名前を付けた。だが、ントバスを描いたのは彼ではない。故に私は以前の名前を払拭し、「ん」という終わりの音から始まる名前をこのモンスターに付けた。仮に前任者の仮定が合っていたとしても、彼はこうして存在している。きっとこの名前の方が、この姿に相応しい。

諸君には、ントバスがどう見えているだろうか。絵の印象は受け手によって様々であり、また気分によっても変化する。そのうえ、彼の姿は日々変わるのだ。
鑑賞を楽しむ作品として、彼は受け手を全く飽きさせないものであると、私は考える。

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2022-04-19 20:03

 七瀬みこと


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